セリングポイント
買い手に選ぶ理由として訴える、その商品やブランドの魅力・強みの要点。訴求の焦点となる一点。
意味
セリングポイントとは、買い手に選んでもらうために訴える、その商品やブランドの魅力や強みの要点のことである。「ここが良い」と言い切れる中心的な訴求を指す。
多くの特徴のうち、どれを前面に出すかを絞る発想が伴う。あれもこれもと並べるより、選ぶ理由として響く一点を明確にすることが重視される。
作り手が推したい点と、買い手が価値を感じる点は必ずしも一致しない。買い手にとっての意味に立って選び取ることが要点になる。
成り立ち
selling point は「売りになる点」を意味する英語で、購入を後押しする魅力の要点を指す。他にない独自の訴求を強調する言い方として用いられてきた。
数ある特徴のなかから、選ばれる理由となる一点を際立たせるという発想とともに、販売やコミュニケーションの語彙に定着した。
セリングポイントとUSP(ユニークセリングプロポジション)の違い
USPは、他社が言えない独自の約束であることが条件になる。セリングポイントは、独自性を必ずしも問わず、選ぶ理由として訴える点の全般を指す。要求される厳しさが違っている。
使い分けの目安は、比較の場面で残るかにある。競合が同じ内容を掲げても矛盾しないなら、それは独自の約束ではなく訴求の一つに留まる。並べたときに消えてしまう点は、前面に置く候補から外れることになる。
USP(ユニークセリングプロポジション)の項へ →セリングポイントとベネフィットの違い
ベネフィットは、買い手がその商品から得る結果を指す。セリングポイントは、送り手が前面に押し出すと決めた訴求である。受け手の側にあるものと、送り手の選択という違いになる。
両者がずれたときに問題が起きる。技術的な優位を押し出しているのに、買い手にとっての結果が語られていなければ、優れていることは分かっても欲しさには変わらない。押し出す点を選んだ後、それが何をもたらすかまで書けているかを確かめる。
ベネフィットの項へ →使いどころ
セリングポイントは、コミュニケーションで何を前面に出すかを検討する際に使われる。訴求の焦点を定める役割を持つ。
作り手目線の主張に偏らないよう、価値提案や差別化の議論とあわせて、買い手にとっての意味から見直すことが求められる。
実務でのチェックポイント
- 掲げている訴求を一つに絞るとしたらどれかを、関係者それぞれに選んでもらい一致を見る。
- その訴求を競合の資料に置いても違和感がないかを試す。成立するなら独自ではない。
- 訴求の後に、それが買い手に何をもたらすかまで書かれているかを確かめる。
- 商談で相手の表情が変わった一言を集め、資料の見出しに掲げている訴求と並べてみる。ずれているなら、前面に出す一点は現場の言葉のほうから選び直す。
よくある誤解
強みを漏らさず伝えたいという意図から、訴求が並列に並べられることが多い。だが受け手が覚えられるのは一つか二つで、数が増えるほどどれも印象に残らない。何を落とすかを決める作業のほうが本体にあたり、並べた時点では選択がまだ行われていない。
作り手が苦労した点を選んでしまう傾向もある。開発の困難さは内側の事情であり、買い手の判断材料になるとは限らない。苦労の大きさと、選ばれる理由としての強さは別物で、後者は買い手が何と比べているかによって決まってくる。
よくある質問
セリングポイントは複数あってもよいですか?
持っていても構わないが、同時に出す数は絞ることになる。相手や場面によって響く点は変わるため、手元に複数あること自体は強みになる。問題は一つの資料や一つの接点に並べて出すことで、そこでは選ばれる理由が薄まってしまう。
価格の安さをセリングポイントにしてもよいですか?
使えるが、維持できるかを先に確かめる必要がある。安さは他社が同じ手を打てば消えるうえ、価格で選んだ相手は価格で離れる。原価の構造など、真似のしにくい理由に支えられている場合に限って、中心に据える判断が成り立つ。
セリングポイントはどうやって見つけますか?
既存顧客が他社ではなく自社を選んだ理由を、本人の言葉のまま集めるところから始まる。社内で挙がる強みは作り手の見方に寄りやすい。実際に選ばれた場面で何が決め手になったかを並べると、押し出す候補が絞り込まれていく。