た
測定

動機づけ

Motivation

人を特定の行動へ向かわせる内的な力を指し、購買や選好の背後にある欲求や理由を捉える視点。

意味

動機づけとは、人をある行動へ向かわせる内的な原動力を指す。購買の背後には、便益を得たい・不安を避けたい・自己を表現したいといった多様な欲求があり、それを理解することが訴求設計の出発点になる。

同じ商品でも、人によって買う理由は異なる。表面的な行動ではなく、その奥にある動機を捉えることで、どの欲求に語りかければ心が動くのかが見えてくる。

成り立ち

心理学における動機づけの理論を土台に、消費者行動を理解するための視点として市場研究に取り入れられてきた。欲求の階層や、内発・外発の区別といった整理が参照される。

動機づけとドライバーの違い

動機づけは、人の内側で行動へ向かわせている力そのものを指す。ドライバーは、その結果として外から観測できる要因を指す。前者は本人の中にあって直接は見えず、後者は数値や記録の上に現れるという、見える場所の違いがある。見えるかどうかが、そのまま扱い方を分ける。

使う場面も分かれる。どの項目に資源を配るかを決めるときは観測できる要因の側が役に立ち、新しい訴え方を考えるときは内側の力の側に手がかりがある。要因の一覧を眺めていても新しい切り口が出てこないのは、そこに理由が書かれていないためになる。一覧の外側に、新しい切り口の種がある。

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動機づけとニーズの違い

ニーズが指すのは、何かが足りていないという状態である。動機づけが指すのは、その欠けを埋める方へ人を実際に押し出している力の強さである。足りないと自覚しながら手が動かない場面はいくらでもあり、欠けの有無を数えても、動く力の強さまでは分からない。

見分けの手がかりは、時間の扱いにある。ニーズは状態として持続するが、動機づけは高まったり静まったりする。いつ強まるのかを押さえずに欠けの大きさだけを根拠にすると、届ける中身は合っていても、届ける時機を外すことになる。何を届けるかと、いつ届けるかは別々に決める対象になる。

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使いどころ

訴求メッセージやコンセプトを検討する際、対象がなぜその行動をとるのかを掘り下げる目的で用いられる。動機は本人も自覚しにくいため、定性調査と組み合わせて探ることが多い。

実務でのチェックポイント

  • 自社の商品が選ばれる場面を、状況ごとに分けて書き出す。同じ商品でも場面が違えば動く理由は変わるため、一つに丸めていないかを見る。
  • 訴求の文言が、得られる良さを語っているのか、避けたい事態を語っているのかを仕分ける。片方に偏っていれば、届いていない層がある。
  • 顧客が購入を決めた直前に何が起きていたかを聞き取る。きっかけの出来事が共通していれば、届ける時機の手がかりになる。理由を尋ねるより出来事をたどるほうが手がかりは多い。
  • 社内で語られている購買理由を、顧客が実際に口にした言い方に戻せるか辿ってみる。作り手の語彙に置き換わった分だけ、理由からは角が削れている。

よくある誤解

動機を、その人が一貫して持っている性質のように扱ってしまう例がある。実際には、同じ人でも忙しいときと余裕があるとき、自分のために選ぶときと人に渡すために選ぶときで、動く理由は入れ替わる。誰かではなく、どの場面かで捉えるほうが、訴え方を決める材料としては使いやすい。人単位で固定すると、届ける時機まで一つに丸まってしまう。

深く掘れば必ず本音にたどり着くという前提にも無理がある。本人にも説明できない部分は残るし、掘り下げる過程で聞き手の想定に沿った答えが引き出されてしまうこともある。得られた理由が、尋ね方によって形づくられていないかを疑う余地は常に残しておく必要がある。聞き方そのものが、答えの形をつくっている場合がある。

よくある質問

動機づけとニーズはどう使い分けますか?

何が足りないかを語るときはニーズ、なぜいま動くのかを語るときは動機づけになる。企画の初期に市場の欠けを見立てる場面では前者が、その欠けを抱えた人に実際に行動してもらう設計を考える場面では後者が中心になる。段階が違うと考えると混ざりにくい。段階の違いとして捉えると混ざりにくい。

顧客の動機はどうすれば分かりますか?

理由を直接尋ねるより、直前に何が起きたかを聞くほうが手がかりが出る。人は理由を後から整えて語るが、出来事は記憶として残っている。買う前の数日に何があったか、何をきっかけに探し始めたかをたどると、本人も意識していなかった動きが見えてくる。出来事のほうが、記憶として残っている。

報酬や割引で動機はつくれますか?

行動は起こせるが、続く力にはなりにくい。外から与えた誘因で動いた場合、その誘因が消えれば行動も止まりやすく、値引きを重ねるほど元の価格が高く見えるようになる。誘因は入口を広げる手段として使い、続く理由は別の場所に用意する扱いが無難になる。入口を広げる手段と、続く理由は分けて設計する。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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