態度変容
対象への好悪や信念といった心理的な構えが、情報接触や経験を経て変化していく過程を指す。
意味
態度変容とは、ある対象に対して人が抱く評価・感情・信念の構えが、広告接触や利用体験を通じて別の方向へ動くことを指す。ブランディングの多くの施策は、最終的にこの態度の変化を経て行動へつながることを期待している。
態度は認知(知っている)・感情(好き嫌い)・行動意図(買いたい)の層で捉えられることが多く、どの層に働きかけるかで打ち手が変わる。認知が十分でも感情が動かない場合と、感情はあっても行動に至らない場合とでは、必要な設計が異なる。
成り立ち
態度(attitude)の変化は社会心理学における中心的な研究主題であり、説得的コミュニケーションが人の評価をどう動かすかという文脈で長く論じられてきた。マーケティングはこの知見を、購買前の心理的準備を測る枠組みとして取り入れている。
態度変容とブランドリフトの違い
ブランドリフトは、特定の施策に接触した層としていない層を比べ、指標の差を取り出す測り方を指す。態度変容は、その差として現れる心理の動きそのものである。測定の方法と、測ろうとしている現象の関係にあたる。
混同すると、数値が動かなかったことを心理が動かなかった証拠として扱ってしまう。設問の作り方や比較の取り方によっては、実際に起きた変化が拾えないこともある。指標が動かないときは、変化がなかったのか、測り方が合っていないのかを分けて考える。
ブランドリフトの項へ →態度変容と購買行動の違い
購買行動は外から観察できる行いであり、態度変容は本人の中でしか起きない構えの変化である。買ったかどうかは記録に残るが、好意が増したかどうかは尋ねなければ分からない。残る場所が違うため、確かめ方も別になる。
時間軸では態度の変化が手前にあるが、順序が逆になる場合もある。試しに買った経験が後から評価を変えることもあり、行動が態度を動かす向きも存在する。どちらが先かを固定して考えると、施策の効き方を読み違えることになる。
購買行動の項へ →使いどころ
キャンペーン前後で「好意度」「購入意向」などを調査し、その差分を効果指標として扱う場面で用いられる。売上のような結果指標の手前にある中間指標として位置づけると、施策の寄与を捉えやすくなる。
実務でのチェックポイント
- 調査している指標が、認知・好意・購入意向のどの層を測っているかを確かめる。層が混ざった設問では、どこが動いたか読み取れない。
- 施策の前後だけでなく、接触していない層の同じ指標も取れているかを見る。比べる相手がなければ、差の意味は確かめようがない。
- 好意度は高いのに購入に至っていない層がどれだけいるかを出す。多いなら、態度ではなく購入場面の側に障害がある。
- 指標が動いた月に、施策以外で何が起きていたかを併記しておく。後から見返したときに、帰属の妥当性を検証できる。
よくある誤解
好意度が上がれば購入も増える、と一本の線で結んでしまう読み方が起きやすい。好意と購入意向は別の層にあり、好きだが買う場面がない、という状態は珍しくない。指標が上がったのに売上が動かないときは、どの層で止まっているのかを分けて確かめる作業が要る。
調査の数値の変化を、そのまま施策の成果として扱う運用も見られる。同じ期間には他の要因も働いており、季節の動きや競合の出方、報道の影響も混ざっている。比較する相手を用意しないまま前後の差だけを見ると、動いた分をすべて自社の施策に帰属させてしまう。
よくある質問
態度変容はどのくらいの期間で測るべきですか?
施策の性質によって変わるが、接触の直後だけを見ると過大に出やすい。見た直後の印象は時間とともに薄れるため、一定の期間を空けた時点でも差が残っているかを併せて確認する。残った分が、次の購買場面まで持ち越される部分にあたる。
態度が変わらなくても売上が伸びることはありますか?
ある。値引きや在庫、置かれている場所の変化でも購入は動く。その場合、伸びた分は構えの変化に支えられていないため、条件が戻れば元に戻りやすい。売上の増減を見るときは、態度の指標と並べて、どちらが動いたのかを分けて読むことになる。
小規模な事業でも態度変容は測れますか?
測れるが、少ない回答数で割合の細かい上下を追うと誤差に振り回される。数値の小さな変動を追うより、選ばれた理由の言葉がどう変わったかを集めるほうが、規模が小さいうちは実態をつかみやすい。言葉の変化は数の変化より先に現れる。