マインドシェア
ある市場において、あるブランドが人々の意識の中で占める割合。市場シェアの前段に位置する認識上の占有率。
意味
マインドシェアとは、あるカテゴリーを思い浮かべたときに、特定のブランドが人々の意識の中でどれだけの位置を占めているかを表す考え方である。売上に基づく市場シェアが結果だとすれば、マインドシェアはその手前にある認識上の占有率にあたる。
頭の中で最初に想起されるか、複数の候補の一つとして残るかは、その後の選択に影響する。マインドシェアを高める営みは、認知の量だけでなく、どんな連想とともに記憶されるかという質の両面に関わる。
成り立ち
「マインドシェア(mind share)」は「心(mind)」と「占有率(share)」を組み合わせた語で、市場シェア(market share)との対比から生まれた。売上上の占有に先立つ、人々の意識の中での占有を指す表現として用いられるようになった。
マインドシェアとブランド認知の違い
ブランド認知は知られているかどうかという有無や量を扱い、マインドシェアは同じ領域の他社と比べてどれだけの位置を占めているかという相対の量を扱う。認知が伸びていても、他社がそれ以上に伸びていれば占有は薄くなることになる。
確かめ方も分かれる。認知は自社だけを尋ねれば測れるが、占有を見るには、まず領域を思い浮かべてもらい、そこに出てくる名前を並べる必要がある。自社を名指しして尋ねた時点で、相対の位置は測れなくなってしまう。
ブランド認知の項へ →マインドシェアとトップオブマインドの違い
トップオブマインドは、最初に思い浮かぶ一社であるかどうかという頂点の位置を指し、マインドシェアは候補全体の中で占める割合を指す。前者は一つの席をめぐる話で、後者は面積の話にあたり、追う対象の形が違っている。
打ち手の判断でも分かれる。最初の想起を取りに行くのは、選択がその場で終わる商品では効くが、複数を比べてから決める商品では、候補として残り続けることのほうが結果に効く。どちらを狙うかは、買われ方の側から決まることになる。
トップオブマインドの項へ →使いどころ
「マインドシェアを高める」といった形で、想起されやすさや意識上の存在感を論じる際に用いられる。市場シェアと切り分けて、選ばれる前段の認識状態を測る指標として語られることが多い。
実務でのチェックポイント
- 自社名を出さず領域だけを示して名前を挙げてもらい、何番目に出てくるかを見る。名指しで尋ねた調査とは別に置く。
- 調査で挙がった名前を並べ、自社が競合として名指ししてきた企業の一覧と重ねる。重ならない名前が上位にあるなら、戦っている土俵の見立てが実際とずれている。
- 自社の名前と一緒に想起される用途や場面を集める。名前だけが挙がって場面が伴わないなら、占有の中身が薄い。
- 占有の高い層と、実際に買っている層の年代や地域を突き合わせる。重なりが薄い場合、意識には入っているが手が届いていないか、買えるのに思い出されていないかのどちらかである。
よくある誤解
占有が高ければ売上も付いてくる、と受け止められることがある。真っ先に名前が出ることは候補に残る条件にはなるが、近所の棚に置かれているか、財布と釣り合う値段かが欠ければ、選択までは進まない。占有が説明するのは選ばれる一歩手前までであって、結果そのものではない。
露出を増やせば占有が高まる、という前提も取り違えを生む。思い出される量だけでなく、どんな場面と結びついて記憶されているかが占有の中身を決める。名前は挙がるが用途が結びついていない状態では、思い浮かんでも候補には残らないまま流れていく。
よくある質問
マインドシェアはどうやって測るのですか?
領域を示して思い浮かぶ名前を自由に挙げてもらい、自社が挙がった割合や順位を並べる形が基本になる。選択肢を先に見せると助けになってしまうため、相対の位置を見たいなら名前を提示しない形で尋ねる。同じ聞き方を保って期ごとに比べることが前提になる。
マインドシェアが高いのに売上が伸びないのはなぜですか?
意識の側は満たされていても、買える条件が欠けている場合がある。取り扱いのある場所が限られている、価格帯が想定と合わない、選ぶ場面で別の担当が決めているといった事情は、想起の量では説明できない。詰まりが手前にあるのか後ろにあるのかを分けて確かめることになる。
市場シェアとどちらを先に見るべきですか?
動く順序としては意識の側が先になるため、変化の兆候を早く捉えたいなら占有の側を見ることになる。ただし占有が動いても、買える条件が整っていなければ売上には現れない。二つを並べて、ずれが広がっているか縮まっているかを見るほうが読み違えにくい。