ま
現代

マス・カスタマイゼーション

Mass Customization

量産の効率を保ちながら、一人ひとりの好みに合わせた製品やサービスを提供しようとする考え方。

意味

マス・カスタマイゼーションとは、大量生産の効率性を維持しつつ、顧客ごとの要望に応じた仕様を提供しようとする考え方である。一点物と量産という二者択一ではなく、その中間を狙う発想に立つ。

選べる部品の組み合わせや後工程での個別対応などを通じて、標準化と個別化を両立させようとする。ブランドにとっては、規模を保ちながら一人ひとりに向き合う姿勢を示す接点にもなりうる。

成り立ち

「マス・カスタマイゼーション(mass customization)」は「大量生産(mass production)」と「個別対応(customization)」を組み合わせた造語で、相反する二つを両立させる狙いを一語で示している。生産・情報技術の進展を背景に論じられるようになった。

マス・カスタマイゼーションとパーソナライゼーションの違い

パーソナライゼーションが手を加えるのは、見せ方や出し分けの側である。届ける中身は変えず、誰にどの順で何を見せるかを相手ごとに切り替える。マス・カスタマイゼーションのほうは、届く物そのものの仕様を相手ごとに組み替える。表示を差し替えるだけで済むのか、生産や在庫まで巻き込むのか。手を入れる先が伝達の側か製造の側かで、両者は別の話になる。

取り違えると、期待の水準がずれる。表示が自分向けに変わることと、届く物が自分の指定どおりであることでは、受け手が許容する待ち時間も、食い違ったときの落胆の大きさも違う。何を個別にしたのかを、相手に分かる形で示す必要がある。

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マス・カスタマイゼーションとワントゥワンマーケティングの違い

ワントゥワンマーケティングは、一人ひとりに合わせて関わり方を変えるという考え方の全体を指す。マス・カスタマイゼーションは、その発想を生産や提供の仕組みの側で実現しようとする取り組みにあたる。考え方と、それを支える作り方の関係になる。

切り分けの軸は、変えるために何が要るかにある。関わり方を変えるだけなら運用の設計で足りるが、仕様を変えるには工程や在庫の持ち方まで踏み込むことになる。同じ個別対応でも、着手にあたって動かす部署の数が違ってくる。

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使いどころ

「マス・カスタマイゼーションで個別対応と量産を両立する」といった形で、標準化を保ちながら個別の要望に応える取り組みを指して用いられる。

実務でのチェックポイント

  • 用意している選択肢のうち、実際に選ばれている組み合わせの偏りを見る。選ばれない組み合わせは負担だけを残す。
  • 個別の仕様に応じた注文で、納期の遅れや不具合がどれだけ増えているかを確かめる。後の工程が受け止められているかを見る。
  • 受け手に、何が自分向けに変えられたのかが分かる形で伝わっているかを確かめる。伝わらなければ手間は評価されない。
  • 選ぶ工程の途中で離脱が起きていないかを見る。選択肢が判断できる量を超えていないかの手がかりになる。

よくある誤解

選択肢を並べた数だけ個別対応に近づく、という思い込みがある。組み合わせが膨らむほど選ぶ側は決めきれなくなり、途中で手を止めて離れていく。用意する幅を決めるのは、受け手が迷わず選び切れる範囲と、その注文を工程が破綻せず流せる範囲の重なりであって、技術的に作れる組み合わせの総数ではない。

個別に応じることが、そのまま価値として伝わるという前提も置かれやすい。手間をかけた側にとっては特別な対応でも、受け手にとっては当然の仕様に見えることがある。何が自分のために変えられたのかが伝わらなければ、負担だけが増えて評価には結びつかない。

よくある質問

マス・カスタマイゼーションとオーダーメイドは違いますか?

違う。一点ごとに設計から起こすのがオーダーメイドで、あらかじめ用意した範囲の中で組み合わせや後の工程を変えるのがマス・カスタマイゼーションになる。前者は仕様の自由度が高い代わりに量産の効率を持たず、後者は効率を保つために自由度へ線を引く。

選択肢はどのくらい用意すればよいですか?

受け手が選び切れる範囲と、後の工程が破綻しない範囲の重なりで決まる。増やすほど応えられる要望は広がるが、選ぶ負担と管理の負担が同時に増える。材料になるのは実際に選ばれている組み合わせの偏りで、使われない幅は削る対象になる。

小規模でも取り組めますか?

取り組めるが、変える工程をどこに置くかで負担が変わる。設計の段階から変える形は規模がないと支えにくい一方、最終の工程だけを個別にする形なら小さくても成り立つ。どの工程で分岐させるかが、実行できるかどうかを決めることになる。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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