ま
現代

ミーム

Meme

人から人へ模倣され広がっていく文化的な情報の単位。転じてネット上で拡散する話題や表現を指す。

意味

ミームとは、遺伝子が生物の情報を伝えるように、模倣を通じて人から人へ受け継がれる文化的な情報の単位を指す概念である。習慣や言い回し、旋律などが、真似されながら社会に広がっていく様子を捉えている。

近年はとりわけ、ネット上で急速に模倣・拡散される画像や言い回しを指して用いられることが多い。ブランドの文脈では、意図せず生まれた模倣の連鎖が想起や話題を広げる一方、制御しにくいという両面を持つ。

成り立ち

「ミーム(meme)」は、生物学者R・ドーキンスが著書『利己的な遺伝子』で提唱した造語で、遺伝子(gene)になぞらえて文化的伝達の単位を表した。後にインターネット上の拡散現象を指す語としても広く用いられるようになった。

ミームと口コミの違い

口コミは、ある人が自分の体験や評価を誰かに伝える行為であり、伝わる中身は発信者の実感に紐づいている。ミームは、中身の実感よりも真似しやすい形式のほうが写し取られて広がる現象を指す。伝えているのが体験なのか、型なのかで見分けがつく。

打てる手も違ってくる。口コミは体験の質を上げれば増える見込みがあるが、ミームの広がりは真似のしやすさや手を加える余地といった形の側に懸かっており、中身を良くしても伝播するとは限らない。広がらない理由を探すとき、口コミなら体験を、ミームなら形を疑うことになる。

口コミの項へ →

ミームと話題性の違い

話題性は、取り上げられやすさという性質を送り手の側から見た評価である。ミームは、その性質が実際に模倣の連鎖を生み、送り手の手を離れて広がった結果を指す。前者は企画の段階で見積もれるが、後者は起きてからでないと確かめられない。

制御できる範囲でも切り分けられる。話題性は狙って設計できる余地があるが、模倣が連鎖した後の改変や文脈のずれには関与できない。狙って起こすものとして扱うと、広がった先で意図と違う使われ方をした際に、対応の準備がないまま迎えることになる。

話題性の項へ →

使いどころ

「ミームとして広がる」といった形で、模倣を通じて自然に拡散する表現や話題を指して用いられる。設計しきれない広がりを論じる際の語として使われることが多い。

実務でのチェックポイント

  • 自社の表現が引用や改変をされている場面を探し、どの部分が真似されているかを具体的に挙げる。真似された要素が自社の約束と結びついているかを見る。
  • 広がった話題を振り返り、名前だけが残ったのか、何をする会社かまで伴って残ったのかを分けて確かめる。前者だけなら、認知は動いても像は動いていない。
  • 自社の表現が意図しない文脈で模倣されたとき、静観するか、訂正するか、乗るかの判断を誰が下すのかを先に決めておく。決めていない場合、その判断は現場の即興に委ねられる。
  • 真似しやすい要素が自社の表現の中にあるかを洗い出す。短い言い回しや型のように、他人が手を加えられる余地がどこにあるかを見る。

よくある誤解

ミームとして広がることを施策の目標に置いてしまう誤りがある。模倣が連鎖するかどうかは受け手の側の条件に大きく左右されるため、送り手が確約できる結果ではない。狙えるのは真似しやすい形を用意するところまでで、そこから先を目標に据えると、達成の可否を自社の努力では説明できなくなる。

広がった量を、そのままブランドにとっての利得と見なす扱いも起きやすい。名前が多く目に触れても、どんな文脈で使われているかによって残る印象は変わり、面白がられ方によっては本来伝えたい約束と噛み合わない像が定着する。量を数える前に、どんな像を伴って広がっているかを見る必要がある。

よくある質問

ミームは意図してつくれますか?

形を用意することはできるが、広がるかどうかは決められない。真似しやすい長さや型を整えれば模倣の入口は増えるが、実際に真似するかは受け手の判断に委ねられる。つくる対象は広がりそのものではなく、広がったときに自社の像へ結びつく仕掛けの側に置くと、外れたときの損が小さい。

炎上とミームは何が違いますか?

広がる仕組みは近いが、伴う評価の向きが違う。どちらも模倣と拡散によって送り手の手を離れるが、否定的な評価を核に広がる場合は、対応を誤ると像そのものが上書きされる。別物として構えるより、手を離れた広がりにどう向き合うかという同じ備えの中で考えるほうが実務では動く。

流行しているミームを自社の表現に取り入れてもよいですか?

使えるが、文脈の寿命が短い点を織り込む必要がある。流行の型を借りると一時的な親しみは生まれるが、その型が古びた後には時期の刻印だけが残る。長く使う表現に取り込むのか、その場限りの接点にとどめるのかを、あらかじめ分けておくことになる。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
← 用語集の一覧へ