か
表現

コピーライティング

Copywriting

ブランドの姿勢を言葉に翻訳する技術。売る文句であると同時に、判断基準を一行に凝縮する設計行為でもある。

意味

コピーライティングは、ブランドの姿勢や価値を、言葉に翻訳する技術である。商品を売るための文句であると同時に、伝えたいことを凝縮して一行に落とし込む設計行為でもある。

良いコピーは、単に上手い言い回しではない。何を言い、何を言わないかを選び取る判断が背後にあり、その取捨選択そのものが、ブランドの立ち位置を映し出す。

言葉は、書体や色と並ぶ表現の要素であり、声のトーンを担う。同じ内容でも、選ぶ語彙やリズムによって、ブランドの人格は大きく変わって伝わる。

成り立ち

「コピー」は広告文を指す業界用語で、それを書く技術がコピーライティングと呼ばれてきた。二十世紀の広告産業の発展とともに専門職として確立し、以後、広告に限らずブランドの言葉全般を設計する営みへと広がった。特定の個人に帰されるものではない。

コピーライティングとキャッチコピーの違い

キャッチコピーは、目を引いて足を止めさせるために置かれる一句であり、コピーライティングはその一句を含めた言葉全体を設計する営みである。部分と全体の関係にあたるため、良い一句が書けたことと、ブランドの言葉が整ったことは別の達成になる。

切り分けの軸は、どこで効き目を測るかにある。一句の良し悪しはその場の反応で判断できるが、書き手の仕事の質は、複数の接点を並べたときに同じ人格が現れているかで測られる。一つずつは目を引くのに、並べると別々の会社の言葉に見える状態は、この取り違えから生まれる。

キャッチコピーの項へ →

コピーライティングとトーン&ボイスの違い

トーン&ボイスは、どんな人格でどう語るかを定めた規定であり、コピーライティングはその規定の内側で実際に言葉を選ぶ行為である。前者は誰が書いても揺れない範囲を示し、後者はその範囲の中で最も効く一つを探す。規定と実行の関係にある。

困ったときの手当ても違う。書いた言葉がしっくりこない場合、選び方の腕の問題なのか、そもそも語るべき人格が決まっていないのかを分ける必要がある。書き手を替えても違和感が残るなら、原因は個々の言葉ではなく、その手前の規定の側にある。

トーン&ボイスの項へ →

使いどころ

実務では、コンセプトやトーン&ボイスを踏まえたうえで、媒体や場面に応じた言葉を編んでいく。タグラインのような長期の一行から、日々の細かな文言まで、一貫した声で書くことが求められる。

注意したいのは、目を引くことだけを狙うと、ブランドの人格から浮いた言葉になりやすい点である。伝わりやすさと「らしさ」の両立が、良いコピーの条件になる。

実務でのチェックポイント

  • 自社の広告文、商品説明、問い合わせへの返信を並べて読み、同じ人が書いた言葉に見えるかを確かめる。宛先が違っても人格まで変わっていないか。
  • 直近のコピーについて、なぜこの言葉を選び、どの候補を落としたのかを書き手に尋ねる。答えが好みの話に終始するなら、判断の根拠が言葉になっていない。
  • 自社の文章から社名と商品名を外し、競合の文章と混ぜて社内で見分けられるか試す。判別できないなら、語り口はまだ借り物の状態にある。
  • 禁止したい言い回しの一覧があるかを確認する。使ってよい語だけが定められていて、避ける語が示されていないなら、現場では判断が揺れる。

よくある誤解

上手い言い回しを思いつく才能の話として語られやすいが、実務で差がつくのは、何を書かないかを決める段の作業である。伝えたい要素が多く挙がるほど、どれを落とすかの判断が要り、その取捨をせずに全部を詰めた文章は、読み手にとってどれも印象に残らない。書く時間より、削る根拠を持てるかで質が変わる。

短ければ良い言葉だ、という思い込みも根強い。短さは記憶に残りやすさを助けるが、そのぶん受け手が補って読む余白が増える。前提が共有されていない相手に短い一句だけを渡すと、こちらの意図と違う読みが定着することがある。短くするかどうかは、相手が何をすでに知っているかによって決まる。

よくある質問

コピーは社内で書くのと外部に頼むのとどちらがよいですか?

決め手は費用より、判断の根拠を渡せるかにある。何を大事にし、何を言わないかが言葉になっていれば、外部に頼んでも像は揺れにくい。逆にそれが渡せない状態では、社内で書いても書き手ごとに人格が変わる。外に出す前に、内側で決まっているかを先に確かめることになる。

良いコピーかどうかはどう判断すればよいですか?

好き嫌いを先に置き、二つの問いで確かめるほうが揺れにくい。狙う相手が読んだときに自分のことだと分かるか、そして他社が同じ文を掲げても成り立たないか。この二つを通らない案は、読みやすくても選ばれる理由をつくれていない。社内の多数決は最後に置く。

見出しと本文で言葉づかいを変えてもよいですか?

変えてよいが、変えるのは密度であって人格ではない。見出しは短く言い切り、本文は丁寧に補うという差は自然に生まれる。一方で、見出しだけ砕けていて本文が硬いような差は、受け手には別人が書いたように映る。変える範囲をあらかじめ決めておくと判断が楽になる。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
← 用語集の一覧へ