た
表現

トーン&ボイス

Tone & Voice

書き方・話し方の一貫した性格。Voiceが普遍的な声、Toneが状況に応じた表情の揺らぎを指す。

意味

トーン&ボイスは、ブランドの書き方・話し方に一貫した性格を与える考え方である。Voice(ボイス)はブランドが持つ普遍的な声の性質を指し、Tone(トーン)はその声が状況に応じて見せる表情の揺らぎを指す。

たとえば同じブランドでも、祝いの場面と謝罪の場面では言葉の温度が変わる。変わらない土台がVoiceであり、場面ごとに調整される表現がToneである、という二層で捉えるのが要点となる。

この区別があることで、一貫性と柔軟性を両立できる。Voiceを固定して芯を保ちつつ、Toneで場面に寄り添うことで、どの接点でも同じ人格が、しかし硬直せずに語りかけられる。

成り立ち

トーン&ボイスは、ブランドを一人の人格として捉え、その語り口を設計するという発想から広まった。声(voice)と口調(tone)という、話者を語るときの日常的な語彙が、そのまま概念の骨格になっている。

文章コミュニケーションが接点の多くを占めるようになるにつれ、言葉の性格を明文化して統べる必要が高まり、実務の枠組みとして定着した。

トーン&ボイスとトーン&マナーの違い

トーン&マナーは色・書体・写真まで含む表現全体の空気を指し、トーン&ボイスは言葉づかいに絞られる。扱う範囲が違うため、確かめ方も変わる。前者は制作物を並べて見比べれば判断できるが、後者は実際に読んでみないと分からない。目で見る揃いと、読んで感じる揃いの差になる。

崩れたときの現れ方も違う。トンマナが崩れると別の会社の制作物に見えるが、ボイスが崩れると、見た目は同じまま中の人が入れ替わったように読める。見た目は統一されているのに違和感が残る場合、疑うべきは言葉の側にあることが多い。

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トーン&ボイスとブランドパーソナリティの違い

ブランドパーソナリティは、どんな性格の人格かという像の定義である。トーン&ボイスは、その人格が実際にどう書き、どう話すかという出力の規定にあたる。性格を決めただけでは文章は書けず、書き方だけを揃えても、なぜそう書くのかは説明できない。定義と実装の関係で並んでいる。

切り分けたいときは、その記述で明日の原稿が直せるかを問うとよい。誠実で親しみやすいという一文だけでは直せないが、専門用語を使うときは必ず言い換えを添える、という記述なら直せる。前者が性格の側にあり、後者が書き方の側にある。

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使いどころ

使いどころは、文章表現の指針を定める場面である。ガイドラインでは、Voiceを数個の形容詞や原則で言い表し、Toneを場面別(歓迎・案内・謝罪など)に例文で示すと、書き手が迷いにくくなる。

近い言葉に「トーン&マナー」があるが、こちらは色・書体まで含む表現全体の雰囲気を指すことが多い。トーン&ボイスは、そのうち言葉づかいに焦点を絞った概念として使い分けられる。

実務でのチェックポイント

  • 自社の文章から社名と商品名を消し、競合の文章と混ぜて社内で読み比べる。書き手を判別できないなら、声はまだ立っていないことになる。
  • 謝罪文と告知文を並べ、同じ人が書いたと感じられるかを確かめる。別人に読めるなら、場面ごとの無難な正解に流されている。
  • 使わないと決めた言い回しが具体的に挙がっているかを見る。使う言葉の例しか無い指針は、書き手の迷いをほとんど減らさない。
  • 問い合わせへの返信を担当者ごとに数通並べ、丁寧さではなく相手との距離感が揃っているかを読み比べる。

よくある誤解

Voiceを形容詞で並べれば決まったことになる、という扱いが最も多い。誠実、前向き、親しみやすいといった語は、反対を掲げる会社が存在しないため、書いても選択肢が絞られない。効く記述は、何を選ぶかではなく何を選ばないかを含む。使わない言い回しや避ける態度が書かれて初めて、書き手の判断が変わる。

Toneを場面別の文例集として運用し、Voiceを置き去りにする崩れ方もある。謝罪は丁寧に、案内は簡潔に、と場面ごとに最適化していくと、それぞれが世間一般の無難な型へ吸い寄せられる。出来上がるのは、場面の数だけ別人が並んだ文章群である。Toneは同じ声の振れ幅であって別人格ではない。振ってよい端をどこに置くかは、場面ごとの文例より先に言い当てておく事柄になる。

よくある質問

トーン&ボイスは誰が決めるべきですか?

日常的に文章を出している人が関わる形が続きやすい。理念を扱う立場だけで決めると現場で守れない水準になりやすく、現場だけで決めるとその時々の書き手の好みに寄る。決める場に両方が居て、実際の原稿で試してから確定させる順序が現実的になる。

ガイドラインに例文はどれくらい必要ですか?

良い例より、迷いやすい場面の例が要る。歓迎や案内のような素直な場面は、原則だけでも書ける。判断が割れるのは、断るとき、遅れを伝えるとき、相手の側に非があるときといった場面で、そこに例文があると指針は実際に使われるようになる。

媒体ごとにボイスを変えてもよいですか?

媒体で変わるのはToneの範囲に収まる。字数や読まれ方が違えば、長さも語尾も変わってよい。ただし変えてよいのは表情までで、何を面白いと思い、何を許さないかという判断まで媒体ごとに変わると、同じブランドが語っている感触は失われる。

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この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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