わ
体験

ワウ体験

Wow Moment

顧客の期待を上回り、思わず感嘆するような驚きや感動を与える体験の瞬間。

意味

「ワオ(wow)」という感嘆に由来し、想定を超えた品質や配慮に触れたときの感情的な高まりを指す。

記憶に残りやすく、口コミや再利用など、その後の行動につながる契機になるとされる。

成り立ち

サービス業やホスピタリティの文脈で、顧客満足を超える「感動」を狙う考え方として語られてきた。

顧客体験(CX)への関心の高まりとともに、体験設計の目標を表す言葉として使われるようになった。

ワウ体験とモーメント・オブ・トゥルースの違い

モーメント・オブ・トゥルースは、評価が決まる分かれ目の瞬間を指し、良し悪しのどちらにも転びうる。ワウ体験は、期待を上回った側に振れた瞬間だけを指す。前者は場所の指定であり、後者はそこで起きた結果の一つという関係になる。場所の指定と、そこで起きた結果を混ぜない。

設計の順序でも切り分けられる。まず評価が決まる場所を特定し、そのうえでどこを上回りに行くかを選ぶことになる。場所を押さえないまま驚きを足そうとすると、そもそも評価に効かない場面に手をかけることになりかねない。評価に効かない場面に手をかけても、印象は動かないままになる。

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ワウ体験と経験価値の違い

経験価値は、体験を通じて受け手に残る価値の全体を指し、静かな心地よさや安心も含む。ワウ体験は、その中で感情が大きく振れた一点を指す。全体の水準を語っているのか、突出した一点を語っているのかで対象の広さが違う。全体の水準と、突出した一点は別に測る。

取り違えると、驚きを足すことで体験の質を上げようとする発想になる。だが土台となる部分に不便が残っていれば、一点の驚きはそれを覆い隠せない。全体の水準を整える作業と、一点を突出させる作業は、着手の順序が入れ替わらないほうがよい。土台を整える作業のほうが先に来る。

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使いどころ

接点のどこでワウ体験を生むかを、カスタマージャーニー上で検討することがある。

何を驚きと感じるかは顧客や文脈によって異なり、過剰な演出は逆効果になる場合もある。

実務でのチェックポイント

  • 顧客がどの場面でどれくらいの期待を置いているかを書き出し、期待が低い場面を探す。上回りやすいのは、そもそも期待されていない場所になる。
  • 過去に強い反応が返ってきた対応を集め、それが偶発的なものか、誰でも再現できるものかを仕分ける。再現できないものは、裁量の設計で補う対象になる。
  • 現場の担当者が、その場の判断でどこまで裁量を持てるかを確認する。裁量がなければ、想定外の場面での上回りは起きない。裁量の幅が、上回りの余地を決める。
  • 驚きを狙っている場面より手前に、不便として残っている工程がないかを見る。土台の不備は演出では埋まらない。顧客が待たされている箇所がないかを先に洗う。

よくある誤解

驚きは費用をかけるほど生まれる、と考えられやすい。だが期待を上回るかどうかは、事前にどれだけの期待が置かれていたかとの差で決まる。豪華さそのものより、そこでは望めないと思われていたことが起きるほうが振れ幅は大きく、手間の小さい配慮が強く残ることも珍しくない。差を生むのは金額ではなく、置かれていた期待との隔たりになる。

一度うまくいった演出を仕組みとして固定してしまう扱いもある。繰り返されれば、それは驚きではなく標準の水準として受け取られ、次からは満たしても評価が上がらず、欠けたときだけ不満を生む。定着させると決めた時点で、驚きの持ち場からは外れることになる。仕組みにするかどうかは、効き目を捨てる判断でもある。

よくある質問

ワウ体験は仕組み化できますか?

きっかけの用意までは仕組みにできるが、中身まで固定すると効き目は落ちる。どんな場面で裁量を使ってよいか、どこまでの範囲なら判断してよいかを定めておけば、現場は状況に応じて動ける。定めるのは手順ではなく、動いてよい幅のほうになる。定めるのは手順ではなく、動いてよい幅になる。

驚きを狙うと過剰な演出になりませんか?

文脈を外れた演出が負担として受け取られるのは確かである。目安になるのは、相手がその場で望んでいたことの延長線上で上回れているかという点にある。急いでいる客に手間のかかるもてなしを重ねれば、意図が良くても足止めにしかならない。ワウ体験は演出の大きさではなく、求めの向きに沿った上積みとして成立する。

法人向けの取引でも意味がありますか?

意味を持つが、現れ方が違う。派手な演出より、対応の速さや、先回りして懸念を潰しておく類の行為が印象に残りやすい。担当者個人が社内で説明しやすくなる材料を渡すことも、その人にとっては期待を上回る働きかけとして受け取られる。派手さより、負担を減らす行為のほうが残る。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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