た
運用

テストマーケティング

Test Marketing

本格展開の前に、限られた市場や条件で試し、反応を確かめて計画を練り直す検証の手法を指す。

意味

テストマーケティングとは、新商品や新施策を全面展開する前に、地域や対象を絞って小規模に試し、その反応を見て本番の判断に活かす手法を指す。大きく賭ける前に、実地で確かめる段階といえる。

机上の想定と実際の反応はしばしばずれる。小さく試すことで、価格や表現、対象の見立ての誤りを早い段階で見つけ、損失を抑えながら計画を修正できる点に意義がある。

成り立ち

新製品開発の実務の中で、全面投入に伴う失敗の危険を減らす方法として体系化されてきた。限定した市場での実地検証を経てから拡大する段階的な発想が核にある。

テストマーケティングとMVP(実用最小限の製品)の違い

MVPは、確かめたいことを検証できる最小限の中身まで商品側を削る考え方である。テストマーケティングは、商品はおおむね固めたうえで、出す範囲のほうを絞る。削るのが中身なのか、広げる範囲なのかという点で、手を入れる場所が違う。

確かめる問いも分かれる。前者は、そもそも求められているのかという成立の可否を問う。後者は、成立する前提で、どの価格や見せ方なら反応が良いかを問う。まだ需要そのものが疑わしい段階で範囲だけを絞っても、答えは返ってこない。成立の可否を問う段階と、条件を詰める段階は別になる。

MVP(実用最小限の製品)の項へ →

テストマーケティングと定量調査の違い

定量調査は、尋ねた答えから意向を捉える。テストマーケティングは、実際に買えるようにした場で、支払いを伴う行動を見る。答えと行動の間には常に隔たりがあり、買いたいと述べた人がそのまま買うわけではない点に、この差の意味がある。

費用と速さも逆になる。尋ねるほうは短い期間で広く集められるが、実地で試すほうは時間も費用もかかる。順序としては、意向で見込みの薄い案を落としてから、残った案を実際の売り場で確かめるという使い分けが噛み合いやすい。意向で絞り、実地で確かめる順序が噛み合う。

定量調査の項へ →

使いどころ

新商品の投入や訴求の方向を決める前に、限られた範囲で反応を確かめる場面で用いられる。試す条件が本番と大きく異なると結果を読み違えるため、設計の妥当性が問われる。

実務でのチェックポイント

  • 試す前に、どの数値がどこまで届けば進めると判断するかを書き出しておく。基準を後から決めると、結果に合わせて解釈が動く。進める、やり直す、やめるの三つに分けておく。
  • 試す場の条件が本番とどこまで違うかを列挙する。人手の厚さ、置かれ方、周囲の競合の顔ぶれのうち、再現できないものを確かめる。
  • 確かめたい要素を一つに絞れているかを見る。価格と表現と対象を同時に変えると、結果が出ても何が効いたか読めない。変える要素を一つに限れば、次の判断に使える結果が残る。
  • うまくいかなかった場合に、どこまで戻して何を変えるかを事前に決めておく。決めておかないと、やめる判断が先延ばしになる。判断する人と時期もあわせて決めておく。

よくある誤解

試した範囲で良い結果が出れば、そのまま全体に広げられると考えてしまう例が多い。試す場では担当者の手が厚く入り、店頭の扱いも通常より丁寧になりやすい。この上乗せ分を差し引かずに見込みを立てると、本番で同じ数字が出ない理由が分からないまま計画だけが残る。上乗せ分を差し引いてから、見込みを立てることになる。

問いを立てないまま始める試行も多い。売れた売れなかったの一行だけが残り、価格の設定なのか、棚の位置なのか、店頭の言葉なのかは分けられないまま終わる。原因の候補を後から並べても、どれも同じくらいもっともらしく見えてしまう。試す前に、この結果が出たらこう読む、という取り決めを一つ置いておく。それがないなら、それは検証ではなく小さな本番である。

よくある質問

テストマーケティングはどのくらいの期間が必要ですか?

商品が買い直される間隔をまたぐ長さが目安になる。初回の反応だけでは、物珍しさによる動きと定着した需要を区別できない。二度目が来るかまで見届けられる期間を確保できないなら、その結果は広がりの手がかりに留め、定着の判断には使わないほうがよい。二度目が来るかまで見届けられるかが目安になる。

小規模な事業でも実施できますか?

できる。範囲を絞る対象は地域だけではなく、特定の販路、特定の顧客層、期間を限った提供でも成り立つ。規模が小さいほど本番との条件の差は小さくなるため、大がかりに構えるより、いま届けられる範囲の一部で試すほうが読み違えは少なくなる。規模の大きさより、条件の近さのほうが効く。

結果が悪かった場合、中止すべきですか?

中止の前に、何が悪かったのかを切り分けることになる。商品そのものへの反応が鈍いのか、届け方が合っていなかったのかで、次の判断は変わる。試す設計に無理があったと分かる場合もあり、結果の悪さがそのまま商品の否定を意味するとは限らない。悪い結果が、そのまま商品の否定を意味するとは限らない。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
← 用語集の一覧へ