購買行動
顧客が必要を感じてから購入し使うまでにたどる一連の行動と、その背後にある心理。
意味
購買行動とは、顧客が必要を感じてから情報を集め、選び、購入し、使うまでにたどる一連の行動を指す。その行動の背後にある動機や判断の過程まで含めて捉えられることが多い。
この過程には、課題の認識、情報の探索、選択肢の比較、購入の決定、購入後の評価といった段階があると整理されてきた。どの段階で何が起きているかを理解することが、働きかけの手がかりになる。
購買行動は、個人の心理だけでなく、周囲の人や状況、文化からも影響を受ける。合理的な計算だけでは説明しきれない部分が多く、幅広い視点から捉えられる。
成り立ち
消費者が購買に至るまでの行動と心理を捉える研究の蓄積の中で用いられてきた概念で、消費者行動論の中心的な主題の一つである。
顧客を理解することがマーケティングの出発点だという認識の広まりとともに、行動の過程を段階で捉える見方が定着した。
購買行動とカスタマージャーニーの違い
購買行動は、顧客の側で実際に起きている行動と心理の流れを指す。カスタマージャーニーは、その流れを自社の接点に対応づけて描いた図で、作り手が整理のために置いたものである。現実と、その表現という関係にあたる。
取り違えると、図に描かれていない行動が視野から外れる。顧客は自社の接点だけを通って進むわけではなく、他社の情報や周囲の人の言葉にも触れている。図に空白がないことは、把握できていることを意味しない。
カスタマージャーニーの項へ →購買行動とファネルの違い
ファネルは、多くの人が段階を経て絞られていく様子を捉える枠組みで、購買行動は一人の顧客がたどる過程を指す。前者は集団の話で数として扱われ、後者は個人の話で理由として扱われる。
どちらで見るかで気づけることが違う。段階ごとの脱落は数で見えるが、なぜ落ちたのかは個人の過程を追わないと出てこない。落ちる比率が改善しないときは、数を眺める側から、実際に見送った人の話を聞く側へ移る必要がある。
ファネルの項へ →使いどころ
購買行動は、顧客がどう考え、どう動いて購入に至るかを理解する場面で用いられる。各段階での判断や障害を見立てる。
カスタマージャーニーやファネルの議論と結び付けると、行動の流れと接点の役割を対応づけて捉えやすくなる。
実務でのチェックポイント
- 直近で受注した顧客に、最初に検討を始めた時期ときっかけを尋ねる。想定より前から始まっていることは多い。
- 検討の途中で顧客が自社以外に見た情報源を挙げてもらい、自社の接点だけで判断されていないことを確かめる。
- 見送った相手に、何が決め手で他を選んだかを尋ねる。受注した顧客の話だけでは理由が偏る。
- 購入後に評価が変わった場面があるかを確認する。使い始めてからの印象は、次の判断に効く。
よくある誤解
段階を順に進むものとして扱いすぎると、実際の動きから離れる。多くの場面で、顧客は比較の途中で最初に戻り、一度見送ったものに後から戻ってくる。順序どおりに設計された導線は行き来する動きを想定していないため、途中で離れた人を拾えない。
購入の瞬間までを対象と考える扱いも狭い。買った後の使い方や、そこで下された評価が、次の購入や周囲への言及を左右する。購入で区切ると、繰り返し買われる商材ほど、最も影響の大きい部分が視野の外に置かれることになる。
よくある質問
購買行動は業種によって違いますか?
違う。金額が大きく決めるまでの期間が長いほど、比較の回数も関わる人数も増える。日用品のように習慣で選ばれるものでは、比較の段階がほとんど働かない。段階の枠組みを当てはめる前に、自社の商材でどの段階が実際に存在するかを確かめることになる。
購買行動はどうやって把握すればよいですか?
記録に残る行動と、本人に聞かないと分からない理由を分けて集める。訪問や問い合わせの履歴は経路を教えてくれるが、なぜその時に動いたのかまでは出てこない。受注した顧客に検討の経緯を尋ねる機会を、数件でも定期的に持つほうが早い。
BtoBの購買行動は個人と何が違いますか?
決める人と使う人が分かれる点が最も大きい。使う側が困っていることと、承認する側が問われることは別で、両方に答えられないと話が進まない。また、買わないという選択が常に残るため、比較の相手が他社ではなく現状のままであることも多い。