プレスリリース
企業が報道機関へ向けて、公式に情報を届けるために作成し配信する、事実を伝える発表文。
意味
新製品や提携などの事実を、報道されることを想定して整えた文書である。
掲載を保証するものではなく、報道価値の提示が前提となる。
成り立ち
広報活動の基本ツールとして定着し、報道向けの標準的な体裁が用いられる。
近年は配信サービスを通じて広く届けられることも多い。
プレスリリースとパブリシティの違い
プレスリリースは送り手が用意する文書で、パブリシティは報道された結果として生じる露出である。前者は自社の意思で今日にも出せるが、後者は他者の判断を経て初めて発生する。出した数と載った数を同じ欄で数えると、自社で動かせる範囲とそうでない範囲が混ざる。
評価の締め方も分かれる。文書の側は、事実が正確か、報道する側が扱いやすい形かで良否を判断できる。露出の側は、どの媒体でどう書かれたかという結果でしか判断できない。書き方を改善しても載らない期間は起こりうるため、両者は別々に振り返る対象になる。
パブリシティの項へ →プレスリリースとオウンドメディアの違い
オウンドメディアは自社が編集権を持つ場で、書いた内容がそのまま読者へ届く。プレスリリースは、第三者が取り上げるかどうかを前提にした文書で、書いたとおりに伝わる保証がない。届け方の主導権が誰の側にあるかで、選ぶべき文体も変わってくる。
同じ発表を両方に載せる場合は、役割の分担で切り分けられる。報道向けの文書は事実の骨格を過不足なく示す側に寄り、自社の場は背景や意図を語る側に寄る。どちらにも同じ原稿を流すと、報道側には主観が多すぎ、自社の場では説明が足りない状態になる。
オウンドメディアの項へ →使いどころ
パブリシティ獲得の起点となる文書として参照される。
事実を正確に伝える文体が求められる場面で言及される。
実務でのチェックポイント
- 見出しと最初の一段落だけを社外の人に読ませ、何が新しいのかを言い直せるか試す。言い直せないなら、本題が後ろのほうに埋もれている。
- 発表に含めた記述のうち、事実にあたる部分と自社の評価にあたる部分を線で分ける。線が引けない文は、報道する側が引用しにくい。
- 過去一年の発表を並べ、掲載された回とされなかった回で内容の性質が違うかを見る。本数ではなく、扱われた主題の傾向のほうを読む。
- 記者が続きを聞きたくなった時に電話が鳴る先を、氏名と番号まで文末に置く。窓口が代表番号だけだと、締切を抱えた相手はそこで別の題材に移る。
よくある誤解
配信すれば取り上げられるという前提のもとで、本数だけが管理されることがある。報道する側が探しているのは自社の都合ではなく、読者にとっての新しさや影響の広がりで、その観点が文中に見当たらなければ、体裁が整っていても扱われない。出す前に、社外の誰にとっての新しさなのかを一文で言えるかが分かれ目になる。
掲載されたかどうかだけを成果と見なす扱いも起きやすい。実際には、報道されなくても、取引先や求職者、既存顧客が公式の発表として参照する場面がある。発表文は報道機関だけを宛先とするものではなく、後から事実関係を確かめる人が辿り着く記録としても働く。載らなかった文書を消さずに残す判断は、この役割から出てくる。
よくある質問
プレスリリースは配信サービスを使わないと届きませんか?
必須ではない。日頃から接点のある記者へ直接届けるほうが読まれる場合もあり、配信の範囲と読まれる確率は必ずしも比例しない。広く配ることで想定外の媒体に拾われる利点はあるが、誰に読んでほしいかが定まっているなら、届け先を絞る判断も成り立つ。
どんな内容ならプレスリリースを出す価値がありますか?
社外の誰かの判断や行動が変わる事実があるかで決まる。社内では大きな出来事でも、読者の側で何も変わらないなら報道の対象になりにくい。新しさ、影響の及ぶ範囲、時期の三つのうち、どれを理由に今伝えるのかを説明できる状態が目安になる。
出したのに全く取り上げられないのはなぜですか?
多くの場合、内容の価値より前に、伝わる形になっていないことが原因になる。結論が後半にある、業界の外に通じない語で書かれている、事実と評価が混ざっているといった状態では、読む側が要点を取り出せない。改善は表現の巧拙ではなく、構成の順序から始まる。