ま
定義

MVV

Mission / Vision / Value

使命(Mission)、ありたい姿(Vision)、価値観(Value)の三層。ブランドコンセプトの上流に置かれる経営の骨格。

意味

MVVとは、使命(Mission)、ありたい姿(Vision)、価値観(Value)の三層をまとめた略称で、組織の存在理由と方向を言葉で定義する経営の枠組みである。何のために在るか、どこを目指すか、どう振る舞うかを、それぞれ別の層で表す。

Missionは果たすべき使命を、Visionは実現したい未来像を、Valueは日々の判断を支える価値観を示す。三者は上流から下流へと連なり、抽象的な使命が具体的な行動規範へと降りていく構造をとる。

ブランドコンセプトのさらに上流に置かれる、経営の骨格として位置づけられることが多い。ブランドの約束や表現は、このMVVと矛盾しない範囲で組み立てられるべきものとされる。

成り立ち

Mission・Vision・Valueという三語は、経営学一般で組織の理念を整理する語彙として広く用いられてきたもので、特定の一人の考案に帰されるものではない。それらを三層セットとして扱い「MVV」と略す言い回しが、企業の理念策定の実務のなかで定着した。

MVVとブランドパーパスの違い

パーパスは、社会に対して何のために在るかという一点を指す。MVVは使命・未来像・価値観という三層の構成そのものを指す枠組みで、パーパスはその最上層と重なることが多い。一つの答えを指す語と、答えの並べ方を指す語という違いになる。

実務で迷うのは、両方を掲げている場合の扱いである。並べて置けば、社内には似た抽象度の言葉が二重に立ち、判断のたびにどちらを見ればよいのかで手が止まる。片方を上位に据え、もう片方を言い換えではない別の層として説明できるかどうか。そこで扱いやすさが決まる。

ブランドパーパスの項へ →

MVVとコアバリュー(中核的価値観)の違い

バリューはMVVの一層にあたり、日々の振る舞いを決める価値観を担う。三層のうち最も下流にあり、最も頻繁に参照される位置にある。使命や未来像が数年単位で参照されるのに対し、価値観は今週の判断に効いてくる点が違う。

混同すると、行動の基準として使えない言葉がバリューの欄に入る。社会に貢献するといった水準の記述は使命の層の話で、そのまま下ろしても明日の選択は変わらない。バリューの欄に入るのは、迷ったときにどちらを選ぶのかを示す記述になる。

コアバリュー(中核的価値観)の項へ →

使いどころ

「MVVを策定する」「MVVに立ち返って判断する」といった形で用いられる。新規事業やブランドの是非を、目先の損得でなく理念との整合で問い直す際の、最上位の判断基準として参照される。

実務でのチェックポイント

  • 断った依頼と受けた依頼を並べ、それぞれの決め手が使命・ありたい姿・価値観のどの層から来たのかを割り当ててみる。どの層にも収まらない決め手ばかりなら、三層は判断の場面で参照されていない。
  • 使命の一文と未来像の一文を入れ替えて読み、意味が通ってしまわないかを確かめる。通るなら、二つの層が実質的に分かれていない。
  • 価値観に掲げた項目を、採用面接の評価軸と人事評価の項目に照らしてみる。どちらにも登場しないなら、その言葉は壁の掲示物として保管されているだけである。
  • 社員数人に、迷ったときどの言葉に立ち返るかを尋ねる。名前が挙がらないなら、まだ日々の判断の外に置かれている。

よくある誤解

策定して掲示した時点で完了と見なされやすいが、MVVが働き始めるのは、それを理由に何かを断ったときからになる。あらゆる事業と両立してしまう言葉は、何も選ばせていないのと変わらない。掲げた内容に照らして見送った案件が一つも出てこないなら、判断の基準としてはまだ機能していない。

三層を揃えること自体が目的になる誤りもある。埋める欄があるから埋める形で作ると、使命と未来像の区別が曖昧なまま似た文が並ぶ。三層に分ける意味は、時間軸と抽象度の違う判断を混ぜないことにあり、分けた結果として違う場面で使われていなければ、層の数は意味を持たない。

よくある質問

MVVとパーパスは両方必要ですか?

両方を掲げること自体に無理はない。問題になるのは、参照する順番が決まっていない場合である。似た抽象度の言葉が横に並ぶと、判断のたびにどちらを基準にするかが揺れ、議論は言葉選びに逸れていく。片方を最上位に置き、もう片方をその下の層として位置づけてしまえば、二つを持ち続ける負担はかなり小さくなる。

MVVは何年ごとに見直すべきですか?

期間で区切るより、事業の前提が変わったときに見直す形になる。扱う商品や相手が大きく動いたのに言葉が同じままなら、実態から離れていく。逆に前提が変わらないうちに書き換えると、覚えかけていた社員の記憶をその都度もとに戻すことになる。

社員に浸透させるにはどうすればよいですか?

覚えてもらうより、使われる場面をつくるほうが早い。会議で案を選ぶとき、採用で候補を比べるときに、その言葉を根拠として口に出す運用を通すと、意味は自然に共有されていく。掲示や唱和は記憶には残るが、判断を置き換えるところまでは届きにくい。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
この用語を、経営の入口から深掘りする MVV →
← 用語集の一覧へ