ゲーミフィケーション
ゲームの仕組みや面白さを、ゲーム以外の場面に応用して行動や関与を促す手法。
意味
ゲーミフィケーションとは、ゲームの仕組みや面白さを、ゲーム以外の場面に応用して人の行動や関与を促す手法を指す。達成や進捗の可視化、報酬、段階的な目標といった要素を取り入れ、続けたくなる動機を設計する。
この手法のねらいは、退屈になりがちな作業や継続の難しい行動に、楽しさや手応えを与えることにある。進み具合が見え、小さな達成が積み重なることで、関与が保たれやすくなる。
一方で、報酬や競争に頼りすぎると、本来の目的から関心がそれたり、外的な動機が尽きたときに続かなくなったりする。仕組みが目的に沿っているかが問われる。
成り立ち
game(ゲーム)に「〜化」を意味する接尾辞を付けた語で、ゲームの要素を他の分野に取り入れることを指す呼称として広まった。
デジタルサービスの普及とともに、利用者の関与や継続を促す設計手法として注目され、独立した概念として定着した。
ゲーミフィケーションと内発的動機づけの違い
内発的動機づけは行為そのものの面白さから生まれる動機で、ゲーミフィケーションが用いる報酬や順位は外から与えられる動機にあたる。外からの動機は立ち上がりが速い一方、与えるのをやめた時点で行動も止まりやすいという性質を持つ。
設計の目安は、仕掛けを外した後に何が残るかにある。取り除いたら誰も続けないなら、育っていたのは仕掛けへの反応で、行為そのものへの関心ではない。仕掛けは、面白さに気づくまでの橋として置く使い方が無理は少ない。
内発的動機づけの項へ →ゲーミフィケーションとカスタマーエンゲージメントの違い
カスタマーエンゲージメントは関与の深さという状態を指し、ゲーミフィケーションはその状態を作ろうとする手法の一つである。目的と手段の関係にあたるため、仕掛けを入れたこと自体は関与が深まった証拠にはならない。
確かめる場所も違う。仕掛けの中での行動は設計した側の画面に現れるが、関与は仕掛けの外の行動にも現れる。与えられた課題をこなす動きだけが増えて購入や紹介が動いていないなら、深まっているのは仕掛けへの習熟のほうになる。
カスタマーエンゲージメントの項へ →使いどころ
ゲーミフィケーションは、継続や関与を促したい体験に楽しさや手応えを組み込む場面で用いられる。達成や進捗をどう見せるかを設計する。
経験価値やカスタマーエンゲージメントの議論と結び付けると、関与を育てる具体的な仕掛けとして位置づけやすくなる。
実務でのチェックポイント
- 仕掛けを外したときに続く行動がどれかを想定する。すべて止まるなら、仕掛けに支えられているだけになっている。
- 増やしたかった行動と、バッジや連続記録が実際に増やした行動を突き合わせる。ログインだけが伸びて中身の利用が動かないなら、仕掛けは的を外している。
- 順位や比較を使う場合、下位に置かれた人の離脱が増えていないかを見る。
- バッジや順位表を入れ替える担当と時期を、公開前に決めておく。中身が固定されたままだと、達成し終えた利用者から順に見向きもしなくなる。
よくある誤解
点数や称号を付ければ人は動く、と考えられがちだが、効くのは行動の意味が本人にとって分かっているときに限られる。何のための行動か曖昧なまま点数だけを付けると、点数を集める動きが目的になり、本来増やしたかった行動とは別のものが増えていく。
一度作った仕掛けは長く効き続ける、という前提も外れやすい。目新しさによる部分が大きいため、同じ形を繰り返すほど反応は薄れる。続けるなら更新の手間が要り、その手間を見込まずに始めると、機能だけが残って誰も使わない状態になる。
よくある質問
ゲーミフィケーションはどんな場面に向きますか?
本人がやりたいと思っているのに続かない行動に向く。学習や記録のように、価値は分かっているが手間が勝ってしまう場面では、進み具合が見えることで続きやすくなる。そもそもやる気のない行動に仕掛けを足しても、見返り目当ての動きしか生まれない。
ポイント制度とは違うのですか?
重なる部分はあるが、狙いが違う。ポイント制度は購入額に応じた見返りで、割引に近い性質を持つ。ゲーミフィケーションは達成や進捗の実感を通じて行動を促す設計で、必ずしも金銭的な価値を伴わない。見返りを外したときに何が残るかで区別できる。
社内の業務にも使えますか?
使えるが、評価との関係に注意が要る。数値が可視化されると、処遇と結びついていなくても本人はそう受け取りやすい。競い合いを促す設計は、協力が要る業務では逆に働くことがあるため、何を増やしたいのかを先に定めることになる。