デモグラフィック
年齢・性別・居住地・所得など、人口統計上の客観的な属性で対象を捉える区分の視点を指す。
意味
デモグラフィックとは、年齢・性別・家族構成・所得・職業・居住地といった、人口統計に基づく客観的な属性を指す。誰でも同じ基準で把握しやすく、市場を分ける際の基礎的な切り口として広く使われる。
把握が容易な反面、同じ属性でも価値観や行動は大きく異なりうる。そのため、心理や価値観に基づく区分と組み合わせて、属性だけでは見えない差異を補うことが多い。
成り立ち
人口統計学(demography)に由来する語で、市場をとらえる基本的な変数としてセグメンテーションの理論に組み込まれてきた。心理的・行動的な変数と対比して語られることが多い。
デモグラフィックとセグメンテーションの違い
デモグラフィックは市場を分けるための変数の一種であり、セグメンテーションはその変数を使って実際に区分けする作業を指す。材料と工程の関係にあたるため、属性を並べただけでは区分けをしたことにはならない。
区分けが機能しているかは、分けた後に打ち手が変わるかで確かめられる。年代で分けても、どの層にも同じ内容を届けているなら、その分割は管理上の分類にとどまる。変数を選ぶ基準は、扱いやすさではなく、分けた先で違う対応ができるかになる。
セグメンテーションの項へ →デモグラフィックとビヘイビアターゲティングの違い
デモグラフィックは、その人が誰であるかという属性で捉える。ビヘイビアターゲティングは、その人が何をしたかという行動の記録で捉える。同じ相手でも、前者では長く変わらない区分に入り、後者では日々出入りする区分に入ることになる。
時間の扱いが違う点が使い分けの軸になる。属性は安定しているため、中期の方針を立てるときに使いやすい。行動の履歴は直近の関心を映すため、いま何を出すかという短い判断に向く。方針の議論に履歴だけを持ち込むと、その時々の動きに引きずられる。
ビヘイビアターゲティングの項へ →使いどころ
ターゲットの輪郭を描く初期段階や、媒体・エリアの選定で用いられる。属性が同じでも中身は多様である点を踏まえ、属性区分だけで対象を決めつけないことが望ましい。
実務でのチェックポイント
- 設定している属性条件ごとに、実際に用意している内容や対応が違うかを確かめる。すべて同じなら、分けている意味がない。
- 既存顧客の属性分布と、狙うと決めた層が一致しているかを見る。一致しているなら、現状の追認になっていないかを疑う。
- 同じ属性の中で、購入理由が大きく違う二人を挙げられるか試す。挙がるなら、属性だけでは判断の材料が足りていない。
- 媒体やエリアを選んだ理由を書き出し、年齢と性別と居住地を消しても理由が残るか見てみる。何も残らなければ、届く人数は稼げても関心とは噛み合わない。
よくある誤解
同じ属性なら似た嗜好を持つ、という前提が無自覚に入り込みやすい。年代や性別が同じでも、置かれた状況や価値観の幅は大きい。属性で分けた層に一つの人物像を重ねてしまうと、実際には存在しない平均的な誰かに向けてつくることになる。
属性を条件として扱うか、結果として扱うかの混同も起きる。既存顧客に多い属性をそのまま狙うべき層に設定すると、いま届いている範囲を追認するだけになる。多いのは狙った結果なのか、たまたま届いた結果なのかを分けないと、広がる余地を自ら閉じることがある。
よくある質問
デモグラフィックだけでターゲットを決めてはいけませんか?
決めてはいけないわけではないが、それだけでは打ち手まで降りてこない。属性は誰に届けるかという範囲を絞るには使えても、何を言えば響くかまでは示さない。範囲を絞る役割と内容を決める役割を分け、後者は別の観点で補うことになる。
価値観による区分とはどう使い分けますか?
観測のしやすさと、内容への近さで役割が分かれる。属性は外から把握しやすく、媒体やエリアの選定に直接使える。価値観の側は把握に手間がかかる代わりに、伝える中身を決める手がかりになる。前者で範囲を絞り、後者で内容を決める組み合わせが取りやすい。
BtoBでもデモグラフィックにあたる区分はありますか?
業種や従業員規模、所在地といった企業の属性が同じ役割を果たす。把握しやすく分けやすい反面、同じ規模でも意思決定の仕方は大きく違う。区分だけでは中身が決まらないという点は、個人を対象にする場合とまったく変わらない。