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運用

クロスセル/アップセル

Cross-sell and Up-sell

既存の顧客に関連品を勧める手法と、上位の選択肢を勧める手法。取引の幅と深さを広げる。

意味

クロスセルとは、ある製品を検討または購入する顧客に、関連する別の製品を併せて勧める手法を指す。アップセルとは、同じ目的の中でより上位の選択肢を勧める手法を指す。いずれも既存の関係を起点に取引を広げる考え方である。

クロスセルが取引の「幅」を広げるのに対し、アップセルは取引の「深さ」を増やすと整理できる。組み合わせの提案と、格上げの提案という違いがある。

どちらも、顧客の状況や目的に合っていることが前提となる。関係を無視した押し付けになると、かえって信頼を損ないうるため、顧客理解に支えられて初めて機能する。

成り立ち

cross-sell は「横断して売る」、up-sell は「上位を売る」を意味する語で、既存顧客への追加の提案を指す用語として定着した。

新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との取引を広げることの重要性が意識される中で、対で語られる手法として広まった。

クロスセル/アップセルと顧客生涯価値(LTV)の違い

顧客生涯価値は一人の顧客から得られる価値の総量を捉える見方で、クロスセル/アップセルはその総量を増やすための打ち手にあたる。総量が目的の側にあり、追加の提案は手段の側にある。手段だけを増やしても、離れる速さが上回れば総量は縮む。

確かめられる時点も違う。追加の提案が通ったかどうかはその場で分かるが、総量が増えたかどうかは、その後も関係が続いたかまで見ないと確定しない。通った件数だけを成果として見ると、無理な提案が後の解約として跳ね返る動きを見落とす。

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クロスセル/アップセルとカスタマーサクセスの違い

カスタマーサクセスは顧客の成果を起点に働きかける役割で、クロスセルとアップセルは自社の取引を広げる打ち手である。同じ担当者が両方を担う場面が多いため混同されやすいが、判断が割れたときにどちらの理屈を採るかで立場は分かれる。

見分ける問いは単純で、その提案が相手の成果に必要かどうかにある。必要でないものを勧めれば、その場は取引が増えても、次に本当に必要な提案をしたときに信用が効かなくなる。順序としては、成果の確認が提案の手前に来る。

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使いどころ

クロスセルとアップセルは、既存顧客との取引を広げる提案を設計する場面で用いられる。関連品を添えるか、上位へ導くかを顧客の目的に沿って選ぶ。

顧客生涯価値やカスタマーサクセスの議論と結び付けると、関係を通じて価値を積み上げる道筋として捉えやすくなる。

実務でのチェックポイント

  • 追加提案が通った顧客のその後の継続率を、通らなかった顧客と比べる。低いなら、必要でない提案が混じっている。
  • 直近の追加提案を、顧客側の使い方の変化から始まったものと、自社の締め日から始まったものに分けてみる。後者へ偏るなら、提案の中身ではなく暦が営業を動かしている。
  • 上位の内容を勧める前に満たすべき条件を書き出す。条件がないなら、勧める判断は担当者の裁量に委ねられている。
  • 関連品を勧めた場面で、実際に併用されているかを後から確かめる。使われていない組み合わせは提案の型を見直す。

よくある誤解

既存顧客への提案は新規の獲得より容易だ、と一括りにされやすい。関係がある分だけ話は聞いてもらえるが、すでに使っている相手は不足している点も知っているため、的外れな提案はより厳しく見られる。容易なのは接触までで、通るかどうかは理解の深さで決まる。

上位への切り替えを勧めることが常に望ましい、という前提もある。今の内容で足りている相手を上位へ移せば、使われない部分の分だけ割高な状態が生まれ、次の更新で見直しの対象になる。相手の使い方が上位を必要とする水準に達しているかが、勧める条件になる。

よくある質問

クロスセルとアップセルはどちらを優先すべきですか?

相手が今の内容をどれだけ使い切っているかで決まる。上限に近づいているならアップセル、今の用途では足りているが隣の困りごとが見えているならクロスセルになる。使い切れていない相手に上位を勧めると、割高感だけが残る。

提案がしつこいと思われないか心配です。

押し付けと受け取られるかを分けるのは回数ではなく、提案の出どころである。契約している機能のうち使われていないものや、上限に近づいた利用量といった相手の実情を踏まえた提案なら、続いても相談として届く。逆に、こちらの品揃えの都合から並べた上位プランは、たとえ初回でもしつこさの記憶だけを残す。

どの時期に提案するのが適切ですか?

自社の期末ではなく、相手の使い方が変わった時点が目安になる。人が増えた、扱う量が増えた、新しい用途が始まったといった変化は、必要が実際に生まれた合図になる。変化を捉える仕組みがないと、提案の時期は自社の都合に寄っていく。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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