顧客ロイヤルティ
顧客がブランドを繰り返し選び、他を勧めたくなる結びつきの強さ。関係の忠実さを指す。
意味
顧客ロイヤルティとは、顧客がブランドを繰り返し選び、他者にも勧めたくなるような結びつきの強さを指す。単なる惰性の再購入ではなく、意思を伴った忠実さとして捉えられることが多い。
ロイヤルティには、行動の面と心理の面がある。繰り返し買うという行動の忠実さと、そのブランドを好み信頼するという心の結びつきの両方が問われる。行動だけを見ると、他に選択肢がないための継続を取り違えることがある。
忠実な顧客は、価格の変動や競合の登場に対しても離れにくく、推奨を通じて新たな顧客を呼び込むことがある。そのため、関係資産としての価値が高いとされる。
成り立ち
loyalty は「忠実さ・忠誠」を意味する語で、顧客とブランドの関係に用いられ、繰り返し選ばれる結びつきの強さを指すようになった。
既存顧客との関係を維持することの価値が意識される中で、行動と心理の両面から関係の強さを捉える概念として定着した。
顧客ロイヤルティとブランドロイヤルティの違い
ブランドロイヤルティは像そのものへの結びつきを指し、顧客ロイヤルティは自社との取引関係の続きやすさを指す。前者は買っていない相手にも成り立つが、後者は取引が始まって初めて測れる。誰の側の話かではなく、何に対する忠実さかで分かれている。
取り違えると打ち手がずれる。像への好意が薄いまま取引だけが続いている状態と、像は好まれているのに買われていない状態では、手を入れる場所がまったく違う。取引の記録から見えるのは前者の側だけなので、購買の数字だけを見ていると区別がつかない。
ブランドロイヤルティの項へ →顧客ロイヤルティとスイッチングコストの違い
スイッチングコストは乗り換えの手間や費用によって留まらせる力であり、顧客ロイヤルティは選び直しても同じ相手を選ぶという意思の側にある。継続という同じ結果に見えても、留まっている理由が逆を向いていることになる。
見分けたいときは、障壁が下がった場面で何が起きるかを想像するとよい。契約の縛りが切れる時期や、乗り換えを助ける手立てが他社から現れたときに離れるなら、留めていたのは忠実さではなく費用だったことになる。両者は継続率の上では区別がつかない。
スイッチングコストの項へ →使いどころ
顧客ロイヤルティは、顧客との関係の強さを評価し、育てる場面で用いられる。繰り返し選ばれる理由と、離れる要因を見立てる。
ブランドロイヤルティや顧客生涯価値の議論と結び付けると、関係の忠実さがもたらす価値を捉えやすくなる。
実務でのチェックポイント
- 契約や仕組みの縛りが外れる時点で離脱が集中していないかを確かめる。集中しているなら、留めていたのは関係ではなく条件になる。
- 既存顧客に、他社へ替えるとしたら何が面倒かを尋ねる。挙がる理由が手間や移行の負担ばかりなら、忠実さの裏づけは薄い。
- 紹介や引き合いが実際に何件起きたかを数える。勧めたいという回答の多さと、起きた件数が釣り合っているかを見る。
- 値上げを伝えた際の反応を、離脱の数だけでなく問い合わせの中身まで見る。理由を尋ねてくる相手と、無言で去る相手では関係の厚みが違う。
よくある誤解
継続して買われていることを忠実さの証拠と読む誤解が起きやすい。他に選べる相手がいない、変える手間が大きい、担当者が変更を面倒がっているといった理由でも購入は続く。行動の記録だけを見ていると、離れられないだけの関係を厚い関係として数えてしまうことになる。
勧めたいという回答を集めれば忠実さを測れる、という扱いも実態から離れやすい。尋ねられた場面での答えと、実際に人へ伝える行動の間には隔たりがある。回答が高い水準で並んでいても紹介が起きていないなら、測っているのは態度であって関係の強さではない。
よくある質問
顧客ロイヤルティはどうやって測ればよいですか?
一つの指標で測りきることはできず、行動と態度を別々に置いて突き合わせることになる。継続や再購入の頻度は行動の側、勧めたいかや好意の度合いは態度の側にあたる。片方だけが高い状態にはそれぞれ別の原因があるため、二つを分けて並べるほうが読み違えにくい。
ロイヤルティが高い顧客は値上げしても離れませんか?
離れにくくはなるが、無条件ではない。忠実さが支えているのは、価格が上がった理由を好意的に解釈しようとする姿勢までで、説明のない変更が続けば解釈の余地は失われる。値上げに耐えるかどうかは、関係の厚みと、変更をどう伝えたかの両方で決まる。
ポイント制度を入れれば高まりますか?
行動の継続は増えやすいが、心の結びつきが伴うとは限らない。特典を理由に留まっている状態は、他社がより厚い特典を出した時点で崩れる。制度は関係を測る材料を増やす役には立つが、選ばれる理由そのものを制度でつくることはできない。