ら
測定

ブランドロイヤルティ

Brand Loyalty

繰り返し選び、他人に薦める度合い。価格に左右されにくい顧客の存在が、ブランドの厚みを裏づける。

意味

ブランドロイヤルティとは、顧客が特定のブランドを繰り返し選び、さらに他人にも薦めようとする度合いを指す。一度きりの購入ではなく、継続と推奨に表れる、ブランドへの結びつきの強さである。

ロイヤルティの高い顧客の特徴は、価格の変動に左右されにくい点にある。多少の値上げや競合の値引きがあっても選び続ける層の存在が、ブランドの収益を安定させ、その厚みを裏づける。

推奨意向を測るNPSなどが、ロイヤルティの代理指標としてしばしば用いられる。ただし数値は近似にすぎず、実際の反復購買や愛着の質と併せて捉えることが求められる。

成り立ち

「ロイヤルティ(loyalty)」は「忠誠・忠実さ」を意味する語で、顧客がブランドに寄せる継続的な選好を表す言葉として用いられてきた。デイヴィッド・アーカー(David Aaker)によるブランドエクイティ論では、想起・連想・知覚品質と並ぶ、資産を構成する要素の一つとしても位置づけられている。

ブランドロイヤルティとリピート率の違い

リピート率は、同じ相手が再び買った割合という観察できる数値である。ブランドロイヤルティは、その背後にある結びつきの強さを指す。数値は結果として現れるが、繰り返し買われている理由が愛着なのか、他に選択肢がないだけなのかまでは示さない。

見分けたいときは、条件が変わったときの動きを見る。近くに競合が現れた、値上げをしたといった変化の後も選ばれ続けるなら結びつきが働いている。変化と同時に離れるなら、それまでの反復は習慣か制約によるものだったことになる。

リピート率の項へ →

ブランドロイヤルティとNPSの違い

NPSは推奨する意向を尋ねて数値化した指標で、ロイヤルティの一面を切り取る道具にあたる。指標と、指標が測ろうとしている対象という関係になる。数値が動いたことと、結びつきそのものが変わったことは同じではない。

使い分けの目安は、答えが言葉か行動かにある。推奨する意向は尋ねれば返ってくるが、実際に薦めたかどうかは別の観察が要る。薦めると答えた人が多いのに紹介経由の顧客が増えていないなら、意向と行動の間のどこかで止まっている。

NPSの項へ →

使いどころ

「ブランドロイヤルティを高める」といった形で、新規獲得だけでなく既存顧客の維持と推奨を重視する場面で用いられる。価格競争に巻き込まれない強さの源泉として、その育成が論じられる。

実務でのチェックポイント

  • 継続している顧客に、乗り換えない理由を尋ねる。手間や契約の縛りだけが挙がるなら、結びつきではなく拘束で残っている。
  • 値上げを挟んだ前後で、離れていった顧客の割合を出す。その数字は、価格が動いた途端に選択を変える層をどれだけ抱えていたかの目安になる。
  • 紹介経由で来た顧客の数を追う。推奨する意向を答える人の多さと、実際の紹介数が連動しているかを見る。
  • 特典や割引を止めた場合に残る顧客を見積もる。見積もれないなら、何で留まっているかを把握できていない。

よくある誤解

会員制度や特典を整えればロイヤルティが育つ、という扱われ方が起きやすい。特典で維持されている関係は、特典を止めた瞬間に解ける。仕組みで留めることと、選び続けたいと思われることは別の話で、前者だけを厚くすると、離れるときの費用を上げているにすぎなくなる。

高い継続率を、そのまま関係の強さと読む誤りもある。契約の縛りや乗り換えの手間が理由で残っている顧客は、数の上では継続していても、より楽な選択肢が現れた時点で動く。留まっている理由を分けて把握しないと、実態より厚く見積もったまま計画を立てることになる。

よくある質問

ロイヤルティの高い顧客はどう見つけられますか?

購入の頻度だけでなく、条件が悪くなっても選んだ履歴で探すほうが確かになる。値上げの後も継続した、在庫がないときに待った、他社の勧誘を断ったといった行動は、単なる反復とは違う結びつきを示す。記録に残っているなら追える。

新規獲得と既存維持のどちらを優先すべきですか?

事業の段階で変わるが、どちらかに寄せる前に離脱の理由を把握する順序になる。穴が空いたまま新規を入れても総量は増えにくい。逆に離脱が少ないのに成長が止まっているなら、維持ではなく入口の側に手を入れることになる。

ロイヤルティは価格を上げる根拠になりますか?

根拠にはなるが、上げ幅の検証は別に要る。選び続けている顧客ほど値上げを受け入れる余地は広いが、その余地の大きさは事前には分からない。段階的に試し、離脱の出方を見ながら幅を決める形になる。一度失った顧客は戻りにくい。

参考文献

David A. Aaker(1991) Managing Brand Equity
この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
← 用語集の一覧へ