バイヤーペルソナ
購買の意思決定を下す担い手を対象に、その課題や検討基準まで描いた具体的な顧客像。
意味
利用者一般ではなく、買う判断を下す人物に焦点を当てた像を指す。
検討時の関心や不安、決め手を含めて具体化する。
成り立ち
ペルソナの考え方を、購買意思決定の担い手に絞って用いたもの。
特にBtoBの検討プロセスの理解で重視される。
バイヤーペルソナとペルソナの違い
ペルソナは使う人を中心に描かれることが多く、日々の困りごとや利用の場面が中心になる。バイヤーペルソナは、買う判断を下す人を描くため、予算の出どころや、社内で説明する相手といった検討の事情が中心になる。同じ会社のなかでも見ている景色が違う。
取り違えると、使い心地の良さばかりが訴求に並び、決裁を通すための材料が抜け落ちる。逆に買う側の関心だけで組み立てると、導入した後に使う人が受け入れず定着しない。どちらを描いているのかを明示しておかないと、同じ資料のなかで宛先が入れ替わる。
ペルソナの項へ →バイヤーペルソナとカスタマージャーニーの違い
バイヤーペルソナは、誰が買うのかという人物の側を描く。カスタマージャーニーは、その人物が検討のどの時点にいるのかという時間の側を扱う。人物が同じでも、情報を集め始めた時期と、社内の承認を用意する時期では必要な材料が違う。
併せて使うと抜けが減る。人物像だけでは、いつ何を渡すかが決まらず、道のりだけでは、その各段階で誰の関心に答えるのかが定まらない。片方だけで施策を組むと、内容は妥当だが渡す時期が合わないという形で噛み合わなくなる。
カスタマージャーニーの項へ →使いどころ
購買判断に沿った訴求を設計する場面で参照される。
検討過程の関心事を捉える際に用いられる。
実務でのチェックポイント
- 直近で失注した案件を並べ、止まった場所が誰の判断だったかを確かめる。像に描かれていない立場が出てくることが多い。
- 描いた人物が社内で説明を求められる場面を想定し、そのまま使える資料が用意されているかを見る。持ち帰った後で必要になる。
- 買う人の関心と使う人の関心を別の欄に書き分ける。同じ欄に混ざっているなら、どちらへ向けた訴求かが曖昧になっている。
- 像のなかに、その人が導入を見送る理由を一つ以上書き込む。書けないなら、都合のよい買い手として描かれている。
よくある誤解
役職や部門を書けば買う人の像になる、という扱いが起きやすい。実際に判断を左右するのは肩書きではなく、その人が社内で何を問われ、何を失敗と見なされるかという立場の事情になる。同じ役職でも、組織の規模や既存の取引の有無で、通しやすい提案の形は変わってくる。
買い手を一人の顔に集約できるという見立ても、現場では崩れやすい。日々触る担当者、候補を絞る担当者、稟議に判を押す上長、情報システムや法務の側から待ったをかける立場は、たいてい別人である。最も強く難色を示しうる相手を像に含めていなければ、稟議に上がった途端、理由の見えない足踏みが始まる。歓迎してくれる人物だけを描いた像は、受注時期の読みには役立たない。
よくある質問
ペルソナとバイヤーペルソナは分けて作るべきですか?
買う人と使う人が別なら分ける意味がある。個人向けの商品のように両者が同一なら、一つで足りる。分ける判断の目安は、購入の決め手と使用の満足が別々の観点で語られるかどうかで、そこが割れている商材ほど、二つに分ける効果が出る。
何人分のバイヤーペルソナが必要ですか?
提案の形を実際に変えられる数までにする。組織の規模や業種で通し方が大きく違うなら分ける価値があるが、資料も進め方も同じなら、分類は判断に効いていない。増やす前に、その像ごとに何を別々に用意するのかを先に決めておく。
情報が少ない段階でも作れますか?
作れるが、確かめた部分と推測の部分を分けて書いておく。営業が実際に聞いた懸念と社内の想像は、同じ紙面に並ぶと区別がつかなくなる。推測の箇所は、次の商談で確かめる項目として扱うと、像が更新されながら精度を増していく。