バイラルマーケティング
受け手同士の自発的な共有や口コミによって、情報が人づてに連鎖的に広がることを狙う手法。
意味
広告出稿より、人から人へ拡散する伝播の連鎖を主軸に据える。
共有したくなる仕掛けや話題性の設計が要点となる。
成り立ち
「ウイルス(viral)」のように人づてに広がる様子から名づけられた。
SNSやメッセージ共有の普及とともに実務で広く用いられるようになった。
バイラルマーケティングと口コミの違い
口コミは人から人へ評価が伝わる現象そのものを指し、バイラルマーケティングはその伝播を狙って仕掛ける側の手法を指す。前者は起きるもの、後者は起こそうとするもので、主語が受け手の側か送り手の側かで分かれる。
切り分けると、確かめる対象が変わる。口コミが起きているかは、語られている内容を見れば分かる。仕掛けが効いたかどうかは、誰が最初に広め、どこで連鎖が止まったかを追わなければ分からない。結果と設計は別に見ることになる。
口コミの項へ →バイラルマーケティングと話題性の違い
話題性は取り上げられやすさという内容の性質を指し、バイラルマーケティングは共有が連鎖して広がる仕組みを設計する取り組みを指す。話題になることと、人づてに連鎖していくことは、必ずしも同じ動きではない。
見分けの手がかりは、広がりが止まった後に何が残るかにある。話題は消費されて終わることが多く、連鎖の設計は、広げた相手が次の利用者になる導線まで含む。関心を集めた後の受け皿があるかで、性格が分かれてくる。
話題性の項へ →使いどころ
少ない出稿で広い到達を狙う施策の説明に用いられる。
拡散のきっかけとなる共有動機の設計が論点となる。
実務でのチェックポイント
- 広がった投稿の中に自社名や商品名が含まれている割合を確かめる。内容だけが流通しているなら、認知としては積み上がっていない。
- 共有した人が何を得ているのかを言葉にしてみる。得るものを説明できない場合、共有の動機はまだ設計されていない。
- 連鎖がどこで止まったかを、最初に届けた相手から順に追う。止まった地点が、次に手を入れる場所になる。
- 広がった直後に訪れた人が、その後に何をしたかを追う。受け皿がなければ、集まった関心はその場で解散する。
よくある誤解
費用をかけずに広がる手法として期待されやすいが、連鎖が始まるまでの入口は自力でつくる必要がある。最初に届く相手がいなければ何も起こらないため、実際には初動の設計に手間も費用もかかる。無償で広がるのは、始まった後の区間に限られる。
もう一つは、広がった量をそのまま成果として扱う点である。共有の理由が内容の面白さにある場合、伝わっているのは話題であって、何の会社の話かは残らないことがある。到達の数と、名前が結びついた数は、別の欄で数える必要がある。
よくある質問
バイラルは狙って起こせるものですか?
確実に起こす方法はないが、起きる確率を上げる条件は設計できる。共有する側に理由があるか、伝えるのに手間がかからないか、最初に届く相手が十分にいるかといった要素は事前に整えられる。偶然に賭ける部分を減らしていく作業になる。
炎上と拡散はどう区別すればよいですか?
広がる速さだけでは区別がつかないため、語られている内容の向きで見る。共有の動機が推奨にあるのか、批判の共有にあるのかで、その後に残る像は正反対になる。量の指標だけを見ていると、両者は同じ形の伸びとして現れる。
小規模な事業でも狙う価値はありますか?
狙いを絞れば成立する。市場全体へ広げるのではなく、特定の関心を共有する範囲の中で回ることを目指すなら、初動に必要な人数も小さくて済む。広さより、誰の間で回るのかを決めるほうが現実的になる。