ブランドリフト
広告への接触の前後で、認知や好意、購入意向などがどれだけ高まったかを測る効果指標。
意味
売上ではなく、態度や意識の変化として広告効果を捉える。
接触群と非接触群を比べ、上昇分を効果として読み取る。
成り立ち
ブランド認知の効果測定手法として、調査ベースで用いられてきた。
デジタル広告では自動化されたリフト調査として提供されることも多い。
ブランドリフトとブランド認知の違い
ブランド認知は、ある時点でどれだけ知られているかという水準を表す。ブランドリフトは、施策の前後や接触の有無でその水準がどれだけ動いたかという差分を表す。前者は一枚の写真、後者は二枚の写真の引き算にあたり、答えられる問いが違う。
使い分けの手がかりは、比べる相手が誰かにある。認知の水準は自社の過去や競合と比べられるが、リフトは同じ時期の接触群と非接触群を比べて初めて成立する。比較の対象を用意しないまま前後の数字を並べても、季節や他の施策の影響を切り分けられない。
ブランド認知の項へ →ブランドリフトとアトリビューションの違い
アトリビューションは、成果が生じたときにどの接点が寄与したかを配分する考え方である。ブランドリフトは、成果に至る手前の態度がどれだけ動いたかを測る。前者は起きた行動を分解し、後者はまだ行動になっていない変化を捉える点で、扱う時間軸が違う。
混同すると、態度の変化を売上の配分として扱ってしまう。リフトで測れるのは思い出しやすさや好意の側の動きで、それが購入に至るかは別の条件に左右される。両者を並べる場合は、同じ指標として足し合わせず、段階の違う数字として置く必要がある。
アトリビューションの項へ →使いどころ
認知目的の広告効果を評価する場面で参照される。
直接の売上に表れにくいブランド効果を語る際に用いられる。
実務でのチェックポイント
- 測定の対象が接触群と非接触群に分かれているかを確かめる。前後の比較だけでは、同時期に走っている他の要因を切り分けられない。
- 何を問う設問で態度を測っているかを確認する。認知、好意、意向のどれが動いたのかによって、次に打つ手はまったく変わる。
- 上昇幅を見る前に、開始時点の水準を並べて記録しておく。水準の違う施策同士を伸び幅だけで比べると、順位が入れ替わる。
- 数字が上がった後、購入までの間で止まっている箇所を洗い出す。価格や在庫、購入の経路のどこかで詰まっていないかを見る。
よくある誤解
上昇幅が大きいほど良い施策だ、という受け止め方には落とし穴がある。もともとの水準が低ければ動かせる余地は大きく、すでに広く知られている状態では、同じ内容でも差は小さくしか出ない。伸び幅だけを施策どうしで比べると、出発点の違う相手を同じ物差しに載せることになり、水準の低い側ばかりが好成績に見える。
態度が動けば売上も動く、という前提で扱われることもある。好意や意向は購入の必要条件になりうるが、価格や入手のしやすさが揃わなければ行動には届かない。数字が上がっているのに売上が動かない状態は、測定の失敗ではなく、態度の先にある障害が残っている合図として読むほうが実務は進む。
よくある質問
ブランドリフト調査はどの規模の施策から意味がありますか?
接触した人と接触していない人を十分な数で比べられるかで決まる。届いた人数が少ないと、差が出ても偶然の範囲と区別がつかない。規模が小さい段階では、調査による測定より、名前で直接探された数のような行動側の記録を追うほうが確かめやすい。
リフトが出なかった場合、その広告は失敗ですか?
断定はできない。設問が測ろうとした態度と、広告が実際に動かそうとした態度がずれている場合があり、記憶の側が動いていても、問い方が違えば差として現れない。まず何を動かす意図だったのかに立ち返り、その意図と設問が対応していたかを確かめる。
売上とブランドリフトのどちらを見るべきですか?
施策の目的で決まる。すぐに買える状態にある相手へ働きかける施策なら売上の側が答えになり、まだ検討にすら入っていない相手を動かす施策なら、態度の変化のほうが先に現れる。両方を同じ期間で評価すると、後者は常に見劣りする形になる。