アトリビューション
成果に至るまでの複数の接点へ、どれだけ貢献したかを配分して評価する考え方。
意味
アトリビューションとは、購買やコンバージョンといった成果に至るまでに顧客が触れた複数の接点に対し、それぞれの貢献度をどう配分するかを扱う考え方である。最後の接点だけを評価する見方の限界を補い、成果を生んだ経路全体を捉えようとする。
配分の仕方には、最初や最後の接点を重視する方式、均等に割り振る方式、段階的に重みを変える方式など複数のモデルが存在する。どのモデルを選ぶかによって各施策の評価が変わるため、目的に応じた選択と、その前提の共有が欠かせない。
成り立ち
デジタル広告の普及により、接点ごとの行動データが取得可能になったことを背景に発展した。単一の接点に成果を帰属させる従来の評価では、認知や検討を担う施策が過小評価されるという問題意識から、貢献度配分の議論が広がった。
アトリビューションとファネルの違い
ファネルは接点を段階の順序として並べた構造であり、アトリビューションはその上を通った経路に貢献度を割り振る計算である。段階の設計が先にあり、配分はその設計の上でしか成立しない。段階の定義が曖昧なまま配分だけを精緻にしても、数字の根拠は増えない。
使い分けの軸は、何を問うているかにある。ファネルはどこで人が減っているかを問い、アトリビューションは残った成果を誰の手柄にするかを問う。前者は改善する場所を探す作業、後者は予算を動かす根拠をつくる作業であり、答えが出ても次に取る打ち手の種類が違う。
ファネルの項へ →アトリビューションとカスタマージャーニーの違い
カスタマージャーニーは顧客の側から見た体験の流れの記述であり、アトリビューションは送り手の側から見た評価の配分である。同じ接点の並びを扱っていても、前者は相手が何を感じたかを、後者は自社の投資が報われたかを説明しようとしている。
取り違えると、計測できた接点だけがジャーニーとして描かれる。実際の検討には記録に残らない会話や店頭での目撃も含まれるが、配分の対象になるのは記録された接点に限られる。描く順序としては体験の側を先に置き、そのうちどこまで測れているかを後から確かめることになる。
カスタマージャーニーの項へ →使いどころ
複数チャネルにまたがる施策の予算配分や効果検証で参照される。モデルの選択が結論を左右するため、数字だけを見て優劣を断じず、どの前提でどう配分したかを明示することが実務上の要点となる。
実務でのチェックポイント
- 現在使っている配分モデルを関係者に説明させ、なぜそのモデルなのかというところまで答えが揃うかを確かめる。
- モデルを別のものに差し替えたときに、各施策の評価の順位がどれだけ入れ替わるかを試算してみる。
- 配分の対象になっている接点と、実際には記録されていない接点を書き出して並べ、抜けの大きさを見る。
- 評価が低いという理由で止めた施策があれば、その前後で他の施策の成果がどう動いたかを確かめる。
よくある誤解
モデルを精緻にすれば正しい配分に近づく、という受け取り方が起きやすい。配分は事実の発見ではなく、あらかじめ決めた重みづけの規則を適用した結果であって、どのモデルでも数字は等しく出てくる。出た数字の説得力は、モデルの複雑さではなく、なぜその重みづけを選んだのかを説明できるかに依存する。
配分の低い施策を削る根拠として使われることもある。だが配分の低さは、その接点が不要だったことを意味せず、後続の接点が成立する前提を担っていた可能性が残る。削った後に他の接点の成果まで落ちるかどうかは、配分の数字の側からは予測できない。
よくある質問
アトリビューションはどのモデルを選べばよいですか?
目的から逆算して選ぶことになる。新規の入口を増やしたいなら初期の接点に重みを置き、取りこぼしを減らしたいなら終盤に寄せる。どれが正しいかを先に決めようとしても答えは出ないため、何を増やしたいかを決めてから、それが見えるモデルを選ぶ順序になる。
モデルを途中で変えてもよいですか?
変えてよいが、変えた前後の数字を同じ物差しとして扱わないことが条件になる。モデルが変われば同じ実績でも配分は動くため、比較には切り替えの時点を明示する必要がある。変更の理由と時期を記録に残し、期をまたぐ比較では旧モデルでも併算しておく形になる。
接点が少ない事業でも必要ですか?
接点が一つか二つしかないなら、配分より先に、その接点の外で何が起きているかを見るほうが実りがある。記録に残る接点が少ない事業ほど、紹介や既存の関係が成果を運んでいることが多く、配分の計算は実態の一部しか映さない。