ブレインストーミング
批判を控えて自由な発言を促し、集団で短時間のうちに多くのアイデアを出し合っていく発想法のこと。
意味
ブレインストーミングとは、複数の参加者が批判を控えつつ自由に発言し、短時間に多くのアイデアを出し合う発想法を指す。判断を後回しにして量を優先し、互いの案に便乗して発想を広げる点に特徴がある。
その場での否定を避けるのは、萎縮を防いで発言の敷居を下げるためである。奇抜な案を歓迎し、他者の案に乗って発展させるといった約束事を置くことで、発散の質を高めようとする。
成り立ち
広告実務家アレックス・F・オズボーンが提唱した集団発想法として知られ、批判の保留や量の重視といった原則とともに広く普及した。
ブレインストーミングとアイデエーションの違い
アイデエーションは案を生み出す営み全体を指し、ブレインストーミングはその中の一手法である。前者には、事実の収集から発想する進め方や、試作を動かしながら思いつく進め方、既存の案を組み替える進め方も含まれる。集まって出し合う場だけが発想ではない、という包含の関係にある。
使い分けの目安は、何を約束しているかにある。アイデエーションと言えば案が必要な状態を指すにとどまるが、ブレインストーミングと言えば、批判を控える、量を優先するといった約束事が場に持ち込まれる。手続きの縛りが伴うかどうかで呼び分けられる。
アイデエーションの項へ →ブレインストーミングとワークショップの違い
ワークショップは、参加者が手を動かしながら何かを生み出す場の形式全体を指す。ブレインストーミングは、その場の中で用いられる一つの進め方にすぎない。場を設けたことと、発想が広がったことは別で、形式が目的を保証するわけではない。器と中身の関係にあたる。
見分けたいときは、終わった後に何が残るかを問うとよい。ワークショップは合意や共通理解が残ることもあるが、ブレインストーミングが残すのは案の一覧である。参加者の納得だけが残って案が残らない場は、発想の場としては役割を果たしていない。
ワークショップの項へ →使いどころ
アイデエーションの局面で、案の幅を一気に広げたいときに用いる。出し合った案は後の収束で整理・選別する前提で運用する。
実務でのチェックポイント
- 出た案を後で見返し、最初の十分間に出たものと後半に出たものの傾向が違うか確かめる。似ているなら、早い段階の案に全体が引きずられている。
- 参加者ごとの発言数を振り返る。特定の数人に偏っているなら、場の形式が発想の幅ではなく声の大きさを拾っている可能性がある。
- 場の冒頭で、批判を控える範囲がどこまでかを言葉にしているか確かめる。範囲が曖昧だと、絞る段階になっても誰も反対を言えなくなる。
- 終了時に案の一覧が形として残っているかを見る。記録が個人のメモに散っているなら、次の収束へ渡せる材料になっていない。
よくある誤解
批判を控えるという約束が、案を選ばないことと取り違えられやすい。否定を保留するのは案を出している最中の話で、出そろった後に基準で絞る作業まで免除されるわけではない。この線引きが曖昧なままだと、全員の案を等しく扱おうとして、結局どれも進まない状態が残る。
集まって出し合えば一人で考えるより多くの案が出る、という前提も置かれがちである。同じ場にいる分だけ、先に出た案に発想が引きずられ、方向が揃っていくことがある。各自が事前に書き出してから持ち寄る手順を挟むかどうかで、集まった案の幅は変わってくる。
よくある質問
ブレインストーミングで良い案が出ないのはなぜですか?
問いが広すぎることが多い。何でもよいと言われるほど発想は動きにくく、制約のある問いのほうが案は出る。加えて、参加者が答えを持っていない領域について尋ねている場合もある。案が出ないときは、場の進め方より先に、何を問うたのかを見直す対象になる。
オンラインでもブレインストーミングは成立しますか?
成立するが、拾える発言の性質が変わる。話す順番が一人ずつになる分、他人の案に反射的に乗る動きは起きにくく、代わりに各自が独立に書き出す形が取りやすい。幅を出すことには向くが、案どうしを掛け合わせる動きは意識して作らないと生まれにくい。
出た案は誰がどう選べばよいですか?
出す人と選ぶ人を分けるか分けないかを、先に決めておく。同じ顔ぶれで選ぶなら、案を出した本人の熱量が判断に混ざる前提で基準を用意しておく必要がある。いずれにせよ、選ぶ基準を場が終わってから決めると、残った案に合わせて基準のほうが作られやすくなる。