ジャーナル · VI/CI2026.07.02

他社ロゴと比べる技術。競合マッピングで『空いている形』を見つける

ロゴ案を並べても「なんとなく良い」で議論が止まる。そんなときに効くのが、競合マッピングだ。他社のロゴを地図の上に並べると、業界に共通する記号法と、まだ誰も取っていない「空いている形」が見えてくる。この記事では、マッピングの具体的な手順、似せるか外すかの判断、そしてなぜ提案の前に地図を見せると説得力が上がるのかを、順に整理する。

目次
  1. 競合ロゴマッピングの型
  2. 似せるか、外すか
  3. 空いている形は、ポジショニングの視覚版
  4. 収集はAI、意味の読み取りは人

— 01 —競合ロゴマッピングの型

やり方はシンプルだ。まず対象業界の主要プレイヤーを20社ほど選び、ロゴを一覧にする。次に二つの軸を決める。よく使うのは形状(幾何的か有機的か、シンボル型か文字型か)と色相(寒色か暖色か、彩度の高低)。この2軸の平面上に各社を配置していく。

配置しながら、業界の「記号法」を棚卸しする。金融は青が多い、食は暖色が多い、テック系は幾何的なシンボルが多い、といった慣習だ。これは良し悪しではなく、その業界で「らしさ」がどう記号化されているかの現状把握になる。

20社を並べ終えると、密集している領域と、ぽっかり空いた領域が見えてくる。この空白が、次の議論の起点になる。手順としては、社数を無理に増やすより、主要な競合と、あえて異業種の参照を数社混ぜると、業界の枠の外も見えてくる。

地図を見せた瞬間にクライアントが前のめりになる、あの感じが好きなんですよね。案の好き嫌いより、位置の話のほうが冷静に議論できる。

— 02 —似せるか、外すか

地図ができると、次は判断だ。業界慣習に乗るべき場面と、外すべき場面がある。乗るべきなのは、その記号が顧客の「安心」や「カテゴリ理解」に直結している場合。たとえば、そのジャンルだと一目で分からせたいときは、慣習に寄せたほうが伝わる。

外すべきなのは、その慣習に埋もれると差別化できず、かつブランドが「違い」を打ち出したい場合だ。ただし外すこと自体が目的化すると危うい。周りが青ばかりだから赤にする、という発想は、根拠が「目立ちたい」しかなく、後で説明に詰まる。

似せる・外すの判断基準は、奇抜さではなく整合性だ。慣習に乗るなら「顧客の理解を助けるため」、外すなら「このブランドの違いを表すため」と、理由が言えるか。理由が言えない差別化は、次の章で見るように、ただの奇抜さに落ちていく。

— 03 —空いている形は、ポジショニングの視覚版

「空いている形」は、実はマーケティングで言うポジショニングの視覚版だ。ポジショニングが「顧客の頭の中で、どの位置を取るか」の戦略なら、空いている形は「見た目の地図で、どの位置を取るか」の話になる。両者はつながっている。

だから重要なのは、空白を見つけたら「なぜそこが自社に合うのか」を戦略と接続することだ。空いているから取る、では弱い。そのブランドが約束する価値や、選ばれる理由が、その空白の位置と一致しているか。ここが合って初めて、視覚の差別化が戦略の差別化を運ぶことになる。

逆に、戦略の裏づけなく空白だけを狙うと、差別化は奇抜さに堕ちる。目立ちはするが、なぜその形なのかを誰も語れない。マッピングは差別化の材料を出してくれるが、どの空白を選ぶかは、ブランドのコアが決める。地図は問いを与え、答えは戦略が出す。

— 04 —収集はAI、意味の読み取りは人

ロゴの収集や、色相・形状での分類といった整理は、ツールやAIで速く進む(機能は執筆時点のもの)。数を集めて並べる手数は下げられる。一方で、「この空白は自社の戦略と合うか」という意味の読み取りは、人の判断が要る。地図を作るのは半自動化できても、地図をどう読むかは自動化しにくい。

経営者への提案でも、いきなり「案」を三つ見せるより、先に「地図」を見せたほうが議論が締まる。地図があると、なぜこの案なのかが位置で語れる。案だけだと好き嫌いの話になりやすいが、地図があると戦略の話に乗せられる。これは提案の説得力を大きく変える。

良いロゴ提案は、案を見せる前に地図を見せる。その地図がどの空白を選ぶかは、ポジショニングという戦略から導く。次は、その形を長持ちさせるブランドコアの話へ進みたい。

◆ 経営がここから判断すべきこと
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Highlite 編集部(2026) 「ロゴ 競合 比較」をめぐる編集ノート

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