— 01 —ニュースの概要
カンヌライオンズ2026で、ユニリーバのCMOレアンドロ・バレット氏が「Who Carries the Fire?(誰がその火を運ぶのか)」と題した講演を行った。日経クロストレンドは花王のマーケター廣澤祐氏の解説つきでこれを取り上げ、先に報じたP&Gのセッションと並べて、AI時代に人が果たす役割という切り口で位置づけている。
バレット氏は、自分たちが消費者に何を言いたいかを問うのをやめ、他の人が自分たちについて何を言いたいかを問うようになった、と話したそうだ。一貫性は繰り返しではなく預かり続けることだ、とも語っている。クリエイターを広告の在庫として扱うのではなく、ブランドの意味をつくる側の参加者として見直すべきだという主張も含まれていた。
正直、社内でいちばん時間をかけた一文ほど、お客さんは使ってくれないんですよね。短くて言いやすい別の言い方が、勝手に広まっていたりします。
— 02 —社内で通る言葉と、外で繰り返される言葉
他人が何を言いたくなるかを起点にすると、仕事がひとつ増える。自分たちの言いたいことを整えるだけでは足りず、それが誰かの口に乗るかを確かめる工程が要る。ここは代理店にも任せきれない。
運ばれる言葉には条件がある。短くて言いやすいことと、言った側が損をしないこと。社内の合意を全部詰め込んだ一文は、たいていどちらも外す。社内で通る言葉と、外で繰り返される言葉は別物だと考えたほうがいい。
一貫性を預かることだと言い換えた部分が面白い。同じ表現を何年も出し続けることではなく、渡した後に少しずつ形を変えていく言葉を、それでも同じ意味のまま保つ仕事だという読み方ができる。だとすれば管理の対象は表現ではなく、判断基準のほうだ。表現が変わっても判断が揃っていれば、受け取った人の語りは散らばらない。
— 03 —と、いうことで。
まず、自社の商品やサービスを人に薦めてくれた客の言葉を、5件でいいので原文のまま集める。レビューでも、SNSの投稿でも、商談で聞いた紹介のされ方でもいい。要約せずに、言い回しごと写すのがこつだ。
集めたら、自社の公式な説明文と並べてみる。重なっている語があれば、それが実際に運ばれている言葉だ。重なりがゼロなら、外で語られているブランドと社内で決めたブランドが別々に動いている。その場合に直すのは客の語彙ではなく、こちらの説明文のほうだと思う。
- 客が自社を薦めるときの言葉を、要約せず原文のまま集める
- 公式の説明文と客の語彙が重なっているかを確かめる
- 表現より判断基準を揃え、語り直されても意味が崩れないようにする