シェアオブサーチ
カテゴリ内の検索数に占める自社名の割合。頭の中でどれだけ想起されているかの、手に入りやすい代理指標。
意味
シェアオブサーチは、あるカテゴリ内の検索数に占める自社名の割合を指す。人々の頭の中でそのブランドがどれだけ想起されているかを、検索という行動の跡から推し量る、手に入りやすい代理指標である。
調査によらず公開の検索データから算出できるため、比較的手軽に継続観測できる点に特色がある。カテゴリ全体の検索に対する自社の取り分として捉えることで、想起の勢いを相対的に読み取ろうとする。
あくまで想起の代理指標であり、検索の背景にある動機まで映すわけではない。数値の増減を需要や関心の先行きを読む手がかりとしつつ、他の指標と併せて解釈することが前提になる。
成り立ち
近年提唱された指標で、検索数のシェアを需要の先行指標として用いる議論として広まった。Les Binet らが提唱したとされ、市場シェアや売上に先立つ兆候を、検索という観測しやすい行動から捉えようとする発想に基づく。
シェアオブサーチと指名検索の違い
指名検索は、自社名がどれだけ検索されたかという自社単体の量を見る。シェアオブサーチは、その量をカテゴリ全体の中の割合として見る。同じ検索という行動を扱いながら、絶対量を見るか取り分を見るかで読み取れることが変わる。
使い分けの目安は、判断したい問いにある。自社の施策が効いたかを見るなら量の推移で足りるが、カテゴリ全体が伸びている局面では、量が増えても取り分が減っていることがある。市場の勢いと自社の勢いを分けたいときに、割合の側が要る。
指名検索の項へ →シェアオブサーチとメンタルアベイラビリティの違い
頭の中で購入の手がかりとブランドが結びついている度合いそのものを指すのがメンタルアベイラビリティであり、シェアオブサーチはその結びつきを検索という行動の跡から間接的に推し量った数値にすぎない。片方は測りたい当のもの、もう片方はそれを映すために選ばれた代用品である。
日用品のように棚の前で手に取られ、検索窓を一度も経ずに選ばれる商品では、頭の中の結びつきが強くても検索数のシェアはほとんど動かない。数値の停滞を想起の弱さと読むなら、その商品の買い方に検索という段階が挟まっているかどうかが先に問われる。代理指標は、代理が成り立つ場面でしか読めない。
メンタルアベイラビリティの項へ →使いどころ
ブランドの想起や関心の動きを、調査を待たずに継続して追いたいときに用いられる。カテゴリ内での自社の取り分の推移を見ることで、施策の効き目や需要の先行きを早めに読み取る手がかりになる。
解釈では、想起(メンタルアベイラビリティ)を測る他の指標と併せて読むことが望ましい。単一の数値で結論づけず、純粋想起や助成想起といった認知の指標と重ねて見立てる姿勢が求められる。
実務でのチェックポイント
- 分母に含めている競合の一覧を書き出し、直近の商談で顧客が実際に挙げた社名と照らす。ずれていれば取り分の議論は成立しない。
- 自社名の検索が増えた時期に何が起きていたかを記録に残す。原因を後から辿れないと、増減の解釈が毎回やり直しになる。
- 自社の商品が、検索を経て選ばれているのか店頭や紹介で選ばれているのかを確かめる。後者が中心なら指標としての説明力は弱い。
- 数値の推移と、問い合わせや受注の推移を同じ期間で並べる。動きが連動しない期間があるなら、その理由を先に説明できるようにする。
よくある誤解
検索の増減を、そのまま好意や評判の動きとして読んでしまう誤りが起きやすい。検索は関心の表れではあるが、その関心が肯定的か否定的かは区別されない。話題になった直後に数値が跳ねた場合、それが選ばれやすさの向上を意味するとは限らず、内容を確かめずに成果として扱うと判断を誤る。
カテゴリの範囲をどう区切るかで結果が変わる点も見落とされやすい。比較対象に誰を含めるかは分析する側が決めるため、自社に有利な範囲を無自覚に選ぶことがある。取り分の増減を議論する前に、その分母が実際に顧客の比較している範囲と重なっているかを確かめておく必要がある。
よくある質問
シェアオブサーチはどのくらいの頻度で見ればよいですか?
短い間隔で見るほど、季節や話題による揺れに振り回されやすい。判断に使うなら、施策の前後を比べられる程度の期間でまとめ、複数期の傾きとして読むほうが安定する。日ごとの上下は、原因を記録しておく対象として扱い、成果の判定には用いない。
BtoBのように検索数が少ない場合も使えますか?
使いにくくなる。母数が小さいほど、数件の変動が大きな割合の動きとして表れ、傾向と偶然の区別がつかなくなる。関わる人数が限られる領域では、検索の取り分より、商談で名前が挙がった回数のような直接の記録を追うほうが判断に耐える。
数値が下がったらどう対処すればよいですか?
まず分母と分子のどちらが動いたかを分ける。競合の露出が増えて分母が膨らんだのか、自社への関心が減ったのかで打ち手が別になる。前者なら自社の量は保たれている可能性があり、慌てて施策を変える前に、量と割合の両方を並べて確かめることになる。