さ
戦略

生活者

Seikatsusha (Living Person)

人を「買う人」に限定せず、暮らし全体を営む存在として捉えるまなざし。消費者観の拡張。

意味

生活者とは、人を「商品を買う消費者」という側面だけでなく、日々の暮らし全体を営む存在として捉える見方のことである。消費は生活の一部にすぎないという前提に立つ。

消費者と呼ぶと、購買の瞬間だけに関心が集まりやすい。生活者という捉え方は、その人の価値観や暮らしぶり、社会との関わりまで含めて理解しようとする。

この視点は、売る側の都合ではなく、生活の側から発想するための立ち位置を与える。人を買い手ではなく、暮らす人として見ることを促す。

成り立ち

「生活者」は、人を消費者としてのみ捉えることへの見直しから、暮らしを営む主体として捉え直す発想とともに用いられてきた日本語の概念である。

購買という一場面に還元せず、生活全体のなかに人を位置づけようとする視点を表す語として、マーケティングやブランドの議論に定着した。

生活者とペルソナの違い

ペルソナは、狙う相手を一人の人物として具体的に描いたものである。生活者は、人をどう捉えるかというまなざしを指す。描かれた成果物と、その手前にある構えという違いになり、並ぶ層が異なる。

取り違えると、詳しい人物像を作ることが生活者の視点だと理解されてしまう。属性や購買行動を細かく書き込んでも、購買の場面だけを見ている限り構えは変わらない。買っていない時間に何をしているかが記述にあるかが、目安の一つになる。

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生活者とデモグラフィックの違い

デモグラフィックは、年齢や性別といった属性で人を区切る捉え方である。生活者は、属性の同じ人が同じ暮らしをしているとは限らないという前提に立つ。分類の道具と、分類を疑う視点にあたる。

実務では両方が要る。規模を数え、届ける手段を選ぶ段階では属性の区分が働く。何を作るかを考える段階では、同じ区分の中にある暮らしの違いが手がかりになる。使う場面を分けずに混ぜると、平均的な像に寄っていく。

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使いどころ

生活者は、顧客を「買う人」に切り詰めず、暮らしの文脈から理解しようとする際に使われる視点である。

インサイトの発掘やジョブ理論と結びつけて論じられ、購買の背後にある生活のありようを捉える発想として参照される。

実務でのチェックポイント

  • 顧客について社内で回っている資料を棚卸しし、購買の記録以外のものを抜き出す。手元に残るのが履歴と売上表だけなら、見ているのは暮らしではなく取引である。
  • 自社の商品が使われる前後の一時間に、その人が何をしているかを説明できるかを試す。
  • 顧客を語るときの言葉が、購買行動の用語だけになっていないかを会議の記録で確かめる。
  • 商品を買わない時間帯における自社との接点が、どこにあるかを挙げてみる。

よくある誤解

呼び名を消費者から生活者へ替えた時点で、見方も入れ替わったことにされやすい。会議に持ち込まれる資料が購買履歴だけであれば、語彙が変わっても目に入る範囲は少しも動いていない。何を材料に判断しているかが変わって、はじめて捉え方が変わったと言える。

暮らし全体を見るという言い方が、際限のない拡大につながる場合もある。生活のあらゆる側面を調べても、自社が関わる場面と結びつかなければ判断には使えない。広く見ること自体が目的ではなく、購買の前後にある時間のどこに関われるかを探す作業になる。

よくある質問

生活者と消費者は言い換えても問題ありませんか?

文脈によっては差し支えないが、使い分けたほうが判断は変わる。消費者と言うときは購買の場面に、生活者と言うときは暮らし全体に焦点が寄る。同じ相手を指していても、どちらの語を選ぶかで会議に持ち出される材料が変わってくる。

生活者の視点はどうすれば持てますか?

見る材料を増やすところから始まる。購買データだけを見ている限り、買う瞬間の外は視野に入らない。使っている場面に立ち会う、買わなかった日の過ごし方を尋ねるなど、購買以外の時間に触れる機会を作業の中に組み込む形になる。

BtoBでも生活者の考え方は使えますか?

使える。担当者は業務時間の外でも生活しており、そこで得た感覚が判断に持ち込まれる。業務上の要件だけを見ていると、なぜその案が通りにくいのかを説明できないことがある。組織の論理と個人の暮らしを分けずに見る点で共通する。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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