二次的想起
手がかりを示されて初めて思い出される想起。純粋想起(一次的想起)に対し、助成された認知の段にあたる。
意味
二次的想起とは、選択肢やヒントを与えられて初めて「ああ、それも知っている」と気づく形の想起を指す。手がかりなしに自ら名を挙げる純粋想起(一次的想起)に対し、助けられて呼び起こされる段にあたる。
この区別は、認知の「深さ」を測るために用いられる。純粋想起できるブランドほど心の中で優位にあり、二次的想起にとどまるブランドは、その場面で真っ先には思い浮かばない位置にいると読める。
実務では、両者を測り分けることで自ブランドの立ち位置を診断する。二次的にしか想起されないなら、想起の入口をどう広げ、純粋想起へ引き上げるかが課題になる。
成り立ち
想起の測定では、手がかりなしの純粋想起(unaided recall)と、選択肢を示す助成想起(aided recall/recognition)を区別する枠組みが用いられてきた。二次的想起はこのうち助成された想起にあたる整理で、ブランド認知の深さを測る指標として実務に定着している。
二次的想起と純粋想起の違い
純粋想起は手がかりなしに名前が出てくる状態を指し、二次的想起は手がかりを示されて初めて出てくる状態を指す。分ける軸は、思い出すきっかけを誰が用意したかにある。棚や検索結果という手がかりが必ず介在する買い方なら二次的想起でも届くが、手がかりのない場で決まるなら純粋想起の水準でしか勝負にならない。
数字の読み方も違う。純粋想起は低く出て動きにくい代わりに、動いたときの意味は大きい。二次的想起は高く出やすく、上限に近づくほど改善の余地が見えにくくなる。同じ「認知が高い」でも、どちらの数字を根拠に言っているのかを確かめないと、次に打つ手を取り違える。
純粋想起の項へ →二次的想起とメンタルアベイラビリティの違い
メンタルアベイラビリティが捉えようとするのは、買う場面がいくつもあるなかで、そのどれだけから名前が立ち上がるかである。二次的想起が測るのは、調査という一場面で手がかりを差し出したときに返ってくる反応の有無になる。場面の広がりを追うのか、与えられた合図への反応を追うのか。立っている位置がそもそも違う。
二次的想起が高いのに買う場面では選ばれない、という食い違いはここから生まれる。示されれば分かるが、必要が生じた瞬間には浮かばない状態である。手がかりの有無を問う側から、どの場面と結びついているかを問う側へ移ると、見立てそのものが変わってくる。
メンタルアベイラビリティの項へ →使いどころ
使いどころは、認知調査で自ブランドの想起の質を診断する場面である。純粋想起と助成想起の差を見ることで、名前は知られていても場面で思い出されにくい、といった弱点が浮かび上がる。調査設計では、提示する手がかりの与え方が結果を左右する点に注意したい。
実務でのチェックポイント
- 自社の商品が選ばれる直前の場面を一つ思い浮かべる。そこに他社名の並ぶ一覧が目に入るなら、手がかりを得てからの想起がそのまま売上を左右する売り場だと分かる。
- 認知調査の設問文を読み返し、どこまでを手がかりとして与えているかを確認する。領域名だけか、社名の一覧までかで、同じ指標名でも意味が変わる。
- 純粋想起と二次的想起の数字を並べ、その差が前回から縮んでいるかを見る。差が固定したままなら、引き上げの施策は効いていない。
- 知っていると答えた人に、何をする会社かを自由記述で書いてもらう。書けないなら、名前だけが残り中身が伴っていない状態にある。
よくある誤解
数字が高く出るため「認知は足りている」と結論づけてしまう誤解が最も多い。選択肢を見せられれば大半の人が知っていると答えるので、この指標はもともと上振れしやすい。伸びしろの乏しいところを見て安心し、実際に不足している純粋想起の側が手つかずのまま残る、という形で影響が出る。
逆に、二次的想起にとどまる状態を一律の弱さとみなす誤解もある。検討の入口が検索結果や比較の一覧で、手がかりが必ず与えられる買い方であれば、その段で候補に残れること自体が実利になる。どちらの段が要るかは自社の理念ではなく、顧客の買われ方の側から決まってくる。
よくある質問
二次的想起と助成想起は同じものですか?
ほぼ同じ段を指す語として使われる。手がかりを与えたうえでの想起という点で重なり、調査の文脈では助成想起、認知の深さを階層で語る文脈では二次的想起と呼ばれることが多い。呼び分けを詰めるより、設問でどこまで手がかりを与えたかを揃えるほうが比較には効いてくる。
二次的想起を純粋想起に引き上げるには何が必要ですか?
名前の露出量より、思い出すきっかけとなる場面との結びつきが要る。人は名前を単体では覚えず、状況とセットで記憶を引き出す。どんな場面で使うものかを繰り返し同じ形で示していくと、その場面が訪れたときに手がかりなしでも名前が出るようになる。結びつける先を一つに定める作業が先に来る。
どちらの数字を目標に置くべきですか?
買われ方によって変わる。目の前に選択肢が並ぶ買い方なら二次的想起で足り、必要が生じた瞬間に相手が自分で名前を挙げる買い方なら純粋想起が要る。両方を同時に目標へ置くと施策が散るため、自社の取引がどちらに近いかを先に決めてから指標を選ぶ順序になる。