レレバンス
ブランドが受け手にとって「自分に関係がある」と感じられる度合い。関連性・切実さを表す。
意味
レレバンスとは、ブランドや情報が受け手にとって「自分に関係がある」と感じられる度合いを指す。どれだけ優れていても、相手の関心や状況とつながらなければ選択肢に入らないという見方に基づく。
好意や認知があっても、いま自分に必要だと感じられなければ購買には結びつきにくい。時代や生活の変化に応じて、関連性は保ち続ける努力を要する。
ブランドの観点では、レレバンスは差別化と並ぶ重要な軸とされる。優れていること以上に、受け手の暮らしのなかで意味を持ち続けられるかが問われる。
成り立ち
「関連性・切実さ(relevance)」という語に由来し、ブランド研究において差別化とともにブランドの強さを支える軸として論じられてきた。とりわけデイヴィッド・A・アーカーは関連性の維持を重視した。
レレバンスと差別化の違い
独自だが自分には関わりのないブランドと、ありふれているが今まさに必要なブランドは、どちらも現実に存在する。差別化が問うのは他との違いであり、レレバンスが問うのは受け手の暮らしに接点があるかである。軸が別である以上、足りない側を取り違えると、違いをいくら磨いても関心は戻らない。
見分けの手がかりは、返ってくる反応の質にある。差別化が足りなければ他と何が違うのかと問われ、レレバンスが足りなければ、よくできているがうちには関係ないと返される。後者の反応に対して違いを説明し直しても、話は前に進まない。
差別化の項へ →レレバンスとメンタルアベイラビリティの違い
買い物の場面で名前が浮かぶかどうかを扱うのがメンタルアベイラビリティであり、浮かんだ名前が自分の状況と噛み合うかを扱うのがレレバンスである。想起の入口を広げても、そこで示される内容が今の暮らしと接続しなければ、候補としては素通りされる。前者が呼び出される回数を、後者が呼び出された後の残り方を左右する。
順序で言えば、想起が先でレレバンスが後になる。名前が出てこない段階で関連性だけを高めても、その像に触れる機会そのものがない。逆に想起されているのに動きがない場合、問題は露出量ではなく、いまの暮らしの中での意味の側にある。
メンタルアベイラビリティの項へ →使いどころ
認知や好意だけでは選ばれない理由を説明する際に、関連性の有無を問う視点として用いる。差別化と対で語られることが多い。
実務でのチェックポイント
- 直近の失注理由のうち、価格や機能ではなく今は必要ないに分類されるものの件数を数える。割合が高ければ関連性の側に課題がある。
- 自社の提供内容が使われる具体的な場面を三つ挙げ、それが五年前と同じかを確かめる。同じなら、変化を捉え損ねている可能性がある。
- 既存顧客が導入を決めた直前に何が起きていたかを聞き取る。きっかけの出来事が、関連性の立ち上がる瞬間を示している。
- 自社の説明文の主語に線を引く。自社の取り組みばかりが並び、読み手が置かれている状況を指す一文が見当たらないなら、関係のなさはその紙面に現れている。
よくある誤解
レレバンスを、相手の属性に合わせて内容を出し分けることだと捉える誤解がある。年齢や地域で表示を変えても、その人がいま抱えている状況に触れていなければ関係は生まれない。問われているのは属性の一致ではなく、置かれた場面と提供する内容が噛み合っているかどうかになる。
一度確立すれば持続する性質だという前提も見られる。関連性は相手側の生活や仕事の変化に応じて薄れるもので、こちらが何も変えていなくても失われうる。長く選ばれてきたブランドほど、当時の切実さが今も同じ形で成立しているかを問い直す機会を持ちにくい。
よくある質問
レレバンスと共感は同じものですか?
別物として扱うほうが実務は動く。共感は語り口や価値観への同意で、感情の側にある。レレバンスは自分の状況に効くかどうかの判断で、必要性の側にある。共感されても必要とされない状態は珍しくなく、応援は集まるのに購入に至らないという形で表れる。
関連性が薄れてきた兆候はどこに出ますか?
反応の内容より、反応の温度に先に出る。否定されるのではなく、丁寧に受け止められたうえで話が進まなくなる。競合に負けた件数より、検討そのものが立ち上がらなかった件数のほうが、関連性の後退を早く示す材料になる。
既存顧客と新規で関連性のつくり方は違いますか?
違う。既存顧客はすでに自社の役割を知っているため、状況の変化に合わせて用途を更新する話になる。まだ取引のない相手には、そもそもこの種の問題を扱う存在だと結びつけてもらう手前の作業が要る。同じ説明で両方を賄おうとすると、どちらにも届きにくい。