ら
資産

ブランド連想

Brand Association

ブランド名に触れたとき心に浮かぶイメージや意味の網。記憶の中で名前と結びついた連想の集合。

意味

ブランド連想とは、ブランド名に触れたときに人の心へ自然と浮かぶイメージ・言葉・感情などの集まりを指す。ある名前を聞いて連なって思い出される、記憶の中の網の目のようなものである。

この連想は、体験や広告、口コミなど多様な接点を通じて時間をかけて編まれていく。好ましく、強く、独自性のある連想ほど、ブランドの価値を支えるとされる。

ブランドの観点では、連想の集合はブランドエクイティの中核をなす資産として位置づけられる。何を想起させるかが、選ばれる理由の土台になる。

成り立ち

記憶の中でブランドと結びつく連想の集合を資産として捉える整理は、デイヴィッド・A・アーカーやケビン・レーン・ケラーらのブランド研究によって広く知られるようになった。

ブランド連想とブランドイメージの違い

ブランドイメージは、受け手が抱いている像の全体を指す。ブランド連想は、その像を構成している一つひとつの結びつきにあたる。像は総体として語られるが、連想は個別に数え上げ、強さや好ましさを別々に評価できる点が違う。

扱える単位が違うため、手を打つ場所も変わる。像が古いという課題は漠然としているが、どの連想が強く、どれが望ましくないかまで分解すれば、削るべきものと足すべきものが具体になる。像を語る段階に留まると、施策は雰囲気の話へ落ちやすい。

ブランドイメージの項へ →

ブランド連想とメンタルアベイラビリティの違い

メンタルアベイラビリティが測るのは、購買の場面でどれだけ手前に浮かび上がるかという到達のしやすさである。ブランド連想のほうは、その想起を呼び込む手がかりの中身にあたる。暑い日、贈り物、ひとりで食べる時間——こうした場面と結びついた記憶が多いほど、名前へ通じる入口の数は増える。到達しやすさは結果であり、連想はその材料である。

見分けたいときは、量と経路のどちらを問題にしているかを確かめるとよい。想起の総量が足りないのか、特定の場面からしか結びついていないのかで対処が変わる。一つの強い連想に依存している状態は、その場面が消えたときに想起を丸ごと失う。

メンタルアベイラビリティの項へ →

使いどころ

ブランドが何を想起させているかを棚卸しし、望ましい連想を強める方針を立てる際に用いる。個別の広告表現より、記憶の網全体を対象に考える点に特徴がある。

実務でのチェックポイント

  • 社名を聞いて思い浮かぶ語を、社外の人に三つ挙げてもらう。狙っている語が一つも出てこないなら、連想はまだ編まれていない。
  • 望ましくない連想が出た場合、その材料がどの接点から来ているかを特定する。発信ではなく取引条件や売り場が源になっていることがある。
  • 自社が伝えたい連想を書き出し、同分野の他社に置き換えても成立しないかを試す。成立するなら独自の結びつきにはなっていない。
  • 強い連想が一つに偏っていないかを見る。その一つが通用しなくなる場面を想定し、代わりに働く結びつきがあるかを確かめる。

よくある誤解

好ましい連想は多いほど良い、と受け止められがちである。ところが結びつきが方々へ伸びるほど、その名前を聞いた人が真っ先に思い浮かべるものは定まらなくなる。新しい連想を足すかは、既にある強い結びつきを弱めないか、これまで語ってきた内容と食い違わないかで決まる。連想は積み増す対象ではなく、束ね直す対象である。

連想は発信によってつくられる、という前提も根強い。実際には、価格帯や置かれている場所、一緒に語られる相手といった状況の側からも結びつきは生まれる。伝えたい連想を並べる一方で、意図せず生まれている結びつきを棚卸ししないと、互いに打ち消し合ったまま蓄積が進まない。

よくある質問

ブランド連想は意図的にコントロールできますか?

全体を制御することはできないが、方向づけはできる。連想は接点ごとの体験から自然に編まれるため、発信で上書きするより、材料の側を揃えるほうが確実に働く。どの接点でも同じ判断が下されていれば、そこから生まれる結びつきも同じ方向へ寄っていく。

悪い連想がついてしまった場合、消せますか?

消すというより、上書きに近い作業になる。記憶の中の結びつきは削除できないが、より強い結びつきが繰り返し与えられれば、想起の順位は下がる。ただし打ち消しの発信を重ねると、かえって元の連想を呼び起こす材料になるため、触れずに別の結びつきを積む形が取られる。

連想はどうやって把握しますか?

選択肢を提示して選ばせる方法より、自由に語ってもらう方法が向いている。用意した語を評価してもらうと、こちらが想定した枠の中でしか答えは返らない。何を思い浮かべるかを先に自由に挙げてもらい、その後で個別の語の強さを確かめる順序にすると、想定外の結びつきを拾える。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
← 用語集の一覧へ