ま
戦略

目的志向ブランド

Purpose-Driven Brand

利益だけでなく、果たすべき社会的な目的を軸に据えたブランドのあり方。存在意義から判断や表現を導く。

意味

目的志向ブランドとは、利益の追求だけでなく、自らが果たすべき社会的な目的を軸に据えたブランドのあり方を指す。何を売るかの前に、何のために存在するのかを起点にする発想に立つ。

掲げた目的は、日々の判断や表現を貫く軸として機能する。ただし、言葉として掲げるだけで行動が伴わなければ形だけと見なされやすく、姿勢と実践の一致が問われる点に特徴がある。

成り立ち

「目的志向ブランド(purpose-driven brand)」は、企業の存在意義(パーパス)を経営やブランドの中心に据える考え方の広がりとともに用いられるようになった語である。利益と社会的意義の両立を論じる潮流の中で位置づけられる。

目的志向ブランドとブランドパーパスの違い

ブランドパーパスは、自社が何のために存在するのかという答えそのものを指す語であり、目的志向ブランドは、その答えを判断や表現の中心に据えて動いているあり方を指す。定めた内容の話か、その内容に従って組み立てられた状態の話かで分かれる。

取り違えると、目的を掲げた時点で目的志向になったと見なされる。掲げることは文言の作業だが、あり方として成立しているかは、その目的に反する選択肢を実際に断ったことがあるかで確かめられる。断った実例が一つもない場合、まだ言葉の段階にある。

ブランドパーパスの項へ →

目的志向ブランドとコーズマーケティングの違い

コーズマーケティングは、社会的な取り組みと販売を結びつける個別の手法であり、目的志向ブランドは、事業そのものの立て方を目的から導くあり方を指す。前者は施策として始めたりやめたりできるが、後者は事業の中身に組み込まれているため切り離せない。

見分ける手がかりは、やめたときに何が残るかにある。施策としての取り組みは、終えても本業は変わらずに続く。目的を軸に据えたブランドは、目的を外すと事業の説明そのものが成り立たなくなる。この差が、外から見たときの本気度の読み取られ方にもつながる。

コーズマーケティングの項へ →

使いどころ

「目的志向ブランドを目指す」といった形で、社会的な存在意義を軸にブランドを組み立てる文脈で用いられる。掲げた目的と実際の行動が一致しているかを問う際に語られることが多い。

実務でのチェックポイント

  • 直近の一年で、収益は見込めるのに目的に合わないという理由で降りた話を挙げる。一つも出てこないなら、掲げた言葉は判断の場面にまだ登場していない。
  • 目的の記述を外した状態で自社の事業を説明できるかを試す。問題なく説明できてしまうなら、目的は事業の外側に置かれている。
  • 掲げた目的に近い領域で、自社が実際に資源を割いている取り組みを挙げる。挙がらなければ、言葉と配分が離れている。
  • 採用や取引先の選定の場面で、目的が判断の材料に使われているかを確認する。使われていないなら、対外的な表現に留まっている。

よくある誤解

目的を高く掲げるほど支持が集まる、と期待されることがある。だが宣言は、事業の中身と照らし合わせるための物差しを外部へ手渡す行為でもある。原料の調達や働き方が言葉に追いついていなければ、その差はもともと何も言わなかった企業より大きく取り上げられる。掲げる範囲は、いま実行できている線から決まってくる。

もう一つは、目的を社会性のある話題に限る扱いである。事業を通じて誰のどんな状態を変えるのかという問いは、必ずしも広く語られる課題である必要はない。狭い領域であっても、自社が引き受ける理由を説明できていれば軸として働き、借り物の大きな言葉より判断を絞れる。

よくある質問

目的を掲げると事業の自由度は下がりませんか?

選べる範囲は狭まるが、それが目的を置く理由でもある。何でも引き受けられる状態は、判断のたびに一から検討することを意味する。範囲が決まっていれば、外れる案件を早く見送れ、残る案件に資源を寄せられる。狭まることと引き換えに、決める速さを得る取引になる。

利益と目的が衝突したらどうしますか?

衝突する場面が来ることを前提に、どこまでは目的を優先するかの線を先に決めておくことになる。その場で判断すると、業績が厳しい局面ほど利益の側に倒れ、掲げた言葉との差が積み上がる。線引きが決まっていれば、優先しなかった場合にも理由を説明できる。

取引先が企業でも目的志向は意味がありますか?

働く。判断の軸として社内に効く点は事業の形を問わないし、取引の相手も、継続的に関わる先として何を大事にする会社かを見ている。届く相手の数が少ない分、掲げた内容と実際の仕事ぶりの差は、かえって近い距離で確かめられることになる。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
← 用語集の一覧へ