は
体験

ペインポイント

Pain Point

利用者が体験の途中で感じる不満や苦痛の点。解決すべき課題の所在を具体的に示す手がかりとなる。

意味

ペインポイントとは、利用者が製品やサービスを使う過程で感じる不満・不便・苦痛の点を指す。直訳すれば「痛みの点」であり、体験のどこに引っかかりがあるのかを具体的に指し示す。

痛みの所在が分かれば、どこを解決すべきかが定まる。派手な機能の追加より、既存の痛みを取り除くほうが価値につながることも多く、課題発見の起点として重視される。

成り立ち

pain(痛み)とpoint(点)を組み合わせた語で、マーケティングやユーザー体験の分野で、利用者が抱える具体的な困りごとを指す用語として広く使われる。

ペインポイントとニーズの違い

ニーズは満たされたい状態を指し、ペインポイントは現に生じている不具合の位置を指す。前者は望ましい方向を示すが場所を特定せず、後者は場所を特定するが方向までは示さない。求める状態を満たしても、痛みが残ることはある。

判別の手がかりは、時間の向きにある。痛みはすでに起きている出来事として観察でき、ニーズはこれからどうなりたいかという見込みとして語られる。改善の対象を選ぶ場面では、観察できる側から入るほうが合意を取りやすい。

ニーズの項へ →

ペインポイントとカスタマージャーニーの違い

カスタマージャーニーは接点の連なりを時間順に並べた全体像で、ペインポイントはその上に落ちる個別の引っかかりである。地図と、地図の上に打つ印の関係にあたり、印だけを集めても順路そのものは見えてこない。

並べる意味は、痛みが単独では解けない場合に出てくる。ある局面の不便が、その手前で受けた説明の不足に由来することは多い。痛みの場所と原因の場所が違うかもしれないと疑う段になって、時間順に並べた全体像が要る。

カスタマージャーニーの項へ →

使いどころ

観察や聞き取りで得た困りごとを整理し、体験のどの局面に痛みが集中するかを見極める。優先順位づけや改善案の的を絞る手がかりとして用いる。

実務でのチェックポイント

  • 挙がっている痛みに、起きる頻度と、そこで離脱した人の有無を書き添える。並列のままでは優先順位が決まらない。
  • 問い合わせや解約の理由を読み直し、同じ局面が繰り返し出ていないかを見る。集中している場所が本命になる。
  • 痛みが起きた場所と、その原因になった局面が同じかを確かめる。違うなら手前を直す対象になる。
  • 利用者が自分で回避策を工夫している場面を探す。工夫の存在は、報告されていない痛みの目印になる。

よくある誤解

列挙した数が、そのまま改善の材料の多さになるわけではない。挙がった不便には、毎回起きるものと稀にしか起きないもの、少し待てば済むものと途中で手を離させるものが混ざっている。同じ粒度の一覧に並べたままだと、着手はたいてい直しやすいところから始まり、離脱を生んでいる痛みは最後まで残る。頻度と重さを添えて初めて、順番が決められる。

もう一つは、痛みを取り除けば選ばれるという読み方である。不便がなくなることは不満を減らす方向には効くが、選ぶ理由そのものにはなりにくい。取り除く作業と、選ぶ理由をつくる作業を別に置かないと、欠点はないが決め手もない候補で終わってしまう。

よくある質問

ペインポイントはどうやって見つけますか?

利用者が余計な手間をかけている場面を探すのが近道になる。自作の一覧表、二度手間の確認、諦めて別の手段に移る動きは、いずれも不便の痕跡である。本人は慣れて不満として語らないことも多いため、聞くより見るほうが見つかる。

全ての痛みを解消すべきですか?

解消しなくてよい。頻度が低く影響も小さい不便まで直すと、手間の割に体験は変わらない。むしろ、狙う相手にとって痛みでない部分は残してよい。どの相手のどの痛みを引き受けないかを決めることも、選ばれ方の設計に含まれる。

痛みがない場合は改善の余地がないということですか?

そうとは限らない。不便がない状態と、選ぶ理由がある状態は別に成立する。痛みが見当たらないなら、改善の方向は不便の解消ではなく、まだ満たされていない期待やより良い状態の提示に移る。探す対象を切り替える段になる。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
← 用語集の一覧へ