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戦略

エンパシーマップ

Empathy Map

対象者の見聞き・思考・感情を書き出し、視点を立体的に理解する図。

意味

エンパシーマップとは、理解したい対象者について「何を見ているか」「何を聞いているか」「何を考え感じているか」「何を言い、行動するか」などの観点を書き出し、その人の視点を立体的に捉えるための図である。

属性データだけでは見えにくい、対象者の内面や置かれた状況を関係者で共有することを助ける。作り手の思い込みを一度脇に置き、相手の立場から世界を眺め直す訓練としての性格を持ち、インサイトの探索やコンセプト検討の下地づくりに用いられる。

成り立ち

英語 empathy(共感)に由来し、人間中心のデザインやサービス開発の実務で用いられる可視化手法の一つとして広まった。対象者への共感を、感覚に頼らず構造的に整理しようとする発想に基づく。

エンパシーマップとペルソナの違い

ペルソナは、対象者を一人の人物として描き切った成果物である。エンパシーマップは、その人物の内面を観点ごとに書き出して理解を深める過程の道具にあたる。前者は共有して使い続け、後者は作る過程で効くという違いがある。

順序で言えば、マップが手前に置かれることが多い。観点ごとに書き出す作業を経ずに人物像を作ると、属性の記述は揃うのに、何を感じている人なのかが抜ける。逆にマップだけでは、誰に向けるかを一つに絞る判断は出てこない。

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エンパシーマップとカスタマージャーニーの違い

カスタマージャーニーは時間の流れに沿って接点と心情を並べる図であり、エンパシーマップはある時点の内面を多面的に捉える図である。前者は横に進み、後者は一点を掘る。何が分からなくて困っているかで、選ぶ図が変わってくる。

使い分けの目安は、問いの形にある。どこで離れているかを知りたいならジャーニー、なぜそう受け取るのかを知りたいならマップになる。離脱の場所は分かっているのに理由が説明できない状態で、ジャーニーを描き足しても答えは出ない。

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使いどころ

顧客理解を関係者ですり合わせる初期段階で作られることが多い。データの数字の背後にいる「人」を具体的に思い描くための共通の下地となり、ペルソナやカスタマージャーニーの検討へつなぐ手がかりとして活用される。

実務でのチェックポイント

  • 記入した項目ごとに、根拠が観察なのか推測なのかを印で分けてみる。推測ばかりでないかを見る。
  • 対象者が自社の提案を断る場面を、マップの中に一つ書き込めるかを試す。
  • 複数人で別々に書いてから突き合わせ、食い違った箇所を確認する。
  • 書かれた内容のうち、直近の制作や設計の判断を実際に変えたものがあるかを振り返る。

よくある誤解

作る作業そのものが理解と混同されやすい。観点の枠を埋めれば形は整うが、埋めた内容が作り手の推測だけで構成されていれば、共有されるのは思い込みのほうになる。埋まったかどうかではなく、どこが観察に基づき、どこが推測なのかを区別できているかが要点になる。

もう一つは、都合のよい内面だけが書き込まれることである。自社の提案を受け入れる方向の感情ばかりが並ぶと、企画を通す資料としては働いても、断る理由や気が進まない場面が見えない。迷いや不満が一つも書かれていないマップは、点検の対象になる。

よくある質問

エンパシーマップは誰と作るのがよいですか?

対象者に接する立場の人が入っていることが条件になる。実際に応対している人が持つ具体的な場面が、推測を減らす材料になるためである。企画側だけで作ると観察に基づく記述が集まらず、枠は埋まっても中身が仮定で構成される。

調査データがない場合は作れませんか?

作れるが、推測であることを残したまま扱うことになる。日々の応対で聞いた言葉や問い合わせの記録も材料になるため、正式な調査がなくても手がかりは社内にある。足りないのはデータより、それを一箇所に集める作業であることが多い。

作った後はどう使えばよいですか?

制作や設計の判断で迷ったときに、その人物ならどう受け取るかを確かめる場所として使う。使われないまま置かれている場合、書かれた内容が判断に効く粒度になっていない可能性があり、書き直す手がかりとして扱える。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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