アーンドメディア
報道や口コミなど、第三者によって自発的に生み出される獲得型の露出。
意味
アーンドメディアとは、報道・記事・口コミ・SNSでの言及など、企業が費用を払って直接掲載するのではなく、第三者の判断で自発的に生み出される露出を指す。「信頼を勝ち取って(earn)得る」ことからこの名で呼ばれる。
自社が管理するオウンドメディアや、費用で枠を買うペイドメディアと対比される。送り手の利害から独立した声として受け止められやすく信頼性が高い一方、内容や量を直接コントロールできないため、良い評判も批判も生じうる点に特徴がある。
成り立ち
オウンド・ペイド・アーンドの三分類(トリプルメディア)の一角として整理された枠組みに由来する。広報・PRが担ってきた「報じられる」領域を、広告やオウンドメディアと並べて捉え直す文脈の中で位置づけられるようになった。
アーンドメディアとオウンドメディアの違い
オウンドメディアは掲載の可否も内容も自社が決められる場であり、アーンドメディアは第三者が決める場である。同じ情報を出すにも、前者はいつ出すかを選べるが、後者は取り上げられるかどうかから相手側の判断に委ねられる。統制の所在が最も大きな違いになる。
使い分けの軸は、確実さと信頼のどちらを取るかにある。自社の場は確実に出せる代わりに、送り手の言い分として読まれる。第三者の場は出せる保証がない代わりに、利害から離れた評価として読まれる。同じ内容でも、読まれ方の前提が変わる。
オウンドメディアの項へ →アーンドメディアと口コミの違い
口コミは個人が個人へ伝える言及そのものであり、アーンドメディアはそうした自発的な言及や報道を施策の分類として括った枠組みである。前者は現象、後者は現象を扱うための区分にあたり、口コミはアーンドに含まれる一部として位置づけられる。
実務では、担い手の違いが判断を分ける。報道機関に取り上げられる筋道と、利用者が語りたくなる筋道は別で、前者は取材に足る出来事の設計、後者は語るに足る体験の設計になる。どちらもアーンドだが、働きかける先も、成果が出るまでの時間も揃わない。
口コミの項へ →使いどころ
施策全体をメディアの性質で整理する際の分類軸として用いられる。買える露出と買えない露出を区別し、信頼を要する局面ではアーンドを、確実な到達を要する局面ではペイドを、といった役割分担の検討に役立つ。
実務でのチェックポイント
- 直近一年で自社が言及された記事や投稿を集め、そのうち自社の意図と合う文脈だったものを数える。
- 記者から連絡が入った当日のうちに一次回答を返せる担当を決めておく。窓口が空席のまま照会が滞ると、せっかく向けられた関心が別の取材先へ移る。
- 語られている内容が、自社が伝えたい要点と同じ言葉になっているかを読み比べる。
- 言及を増やすために動いている担当と、その業務量が計画上どこに置かれているかを確認する。
よくある誤解
費用がかからない露出として扱われやすい。掲載の枠を買う費用は生じないが、取り上げられる状態をつくるための情報整備、問い合わせへの応対、語られる体験そのものへの手当てには資源がいる。かからないのは掲載料であって獲得の労力ではなく、無償の露出として計画から外すと、担う人の負荷だけが見えない形で積み上がる。
もう一つは、良い評判だけを想定して設計してしまうことである。自社の判断が及ばない場で語られる以上、想定と違う切り取られ方も批判的な言及も同じ経路に乗る。取り上げられること自体を目標に置くと、どう取り上げられたかを読む段階が抜け落ち、量が増えるほど像が散らばる。
よくある質問
アーンドメディアは狙って増やせますか?
掲載そのものは相手の判断だが、取り上げられやすい状態はつくれる。何が新しいのか、誰にとっての話かが外から分かる形に整えられているか、裏づけを確かめられる材料が揃っているかで、扱いやすさは変わる。増やすというより、選ばれる確率を上げる作業になる。
批判的な言及が出たときはどう扱えばよいですか?
打ち消す対象ではなく、像の一部として読む対象になる。第三者の場で出た評価は、こちらが訂正しても訂正した事実ごと記録に残る。まず言及の中身が実態を指しているのかを確かめ、指しているなら実態の側を直すほうが、結果として語られ方が変わる。
広告とアーンドはどちらを先に考えますか?
順序は目的で決まる。決まった時期に確実に届けたい情報があるなら買える露出が先に立ち、信頼を要する情報なら第三者の言及が先に効く。両方を同時に走らせる場合も、どちらが主でどちらが補助かを決めておかないと、評価の物差しが混ざる。