デジタル接点
サイトやアプリ、SNSなど、顧客がデジタル上でブランドと接するあらゆる接触点を指す。
意味
デジタル接点とは、ウェブサイト、アプリ、メール、SNS、検索結果、オンライン広告など、顧客がデジタル上でブランドや商品と接触するあらゆる点を指す。実店舗や紙媒体といった物理的な接点に対して、画面越しに生じる出会いや関わりの場を束ねた言い方である。
デジタル接点の特徴は、接触の履歴がデータとして残り、行動を捉えやすい点にある。どの経路から訪れ、何を見て、どこで離れたかが把握できるため、体験の改善に活かしやすい。一方で接点が増えるほど、それらをまたいで一貫した印象を保つ設計の難しさも増していく。
ブランドの観点では、一つひとつのデジタル接点がブランドの印象を積み重ねていく。顧客接点全体を見渡し、どの画面でも約束する価値がぶれずに伝わるよう整えることが、デジタル上のブランド体験の要になる。
成り立ち
「接点(タッチポイント)」は顧客とブランドが接するあらゆる点を指す語で、そのうちデジタル環境で生じるものを特に「デジタル接点」と呼ぶ。オンラインの顧客接点が多様化・重層化したことを背景に、体験設計やDXの文脈で用いられるようになった。
デジタル接点とタッチポイントの違い
タッチポイントは接点全般を指す上位の語で、デジタル接点はそのうち画面越しに生じるものを切り出した呼び方になる。切り出す実益は、数えられるかどうかにある。店頭での立ち話は記録に残らないが、画面上の接触は一つずつ数えられ、後から経路をたどることもできる。
数えられることは扱いやすさを生む一方で、偏りも生む。測れる接点だけを見ていると、印象を大きく左右する電話や対面のやり取りが視界から外れていく。デジタル側の数字だけで体験を評価していないかは、上位の語に立ち返って確かめる対象になる。測れない接点にも担い手は要る。
タッチポイントの項へ →デジタル接点とチャネルの違い
チャネルは情報や商品が通る経路を指し、デジタル接点はその経路の上で実際に出会いが生じた点を指す。経路は用意した時点で存在するが、接点は相手が触れて初めて成立する。用意した数と生じた数は一致せず、開設したまま誰も通らない経路が残ることもある。
数える単位も違う。チャネルは自社の側で列挙できるが、接点は一人の顧客が何度も通るため、同じ経路の上に何度でも生じる。施策を振り返るとき、経路ごとの成果を見ているのか、一人あたりの接触の積み重なりを見ているのかで、読み取れることは大きく変わる。
チャネルの項へ →使いどころ
オンライン上の顧客体験や、その一貫性を論じる文脈で用いられる。物理的な接点も含むオムニチャネルの議論のなかで、デジタル側の接点群を指して使われることが多い。
実務でのチェックポイント
- 自社のデジタル接点を一覧にし、それぞれの更新を誰が担っているかを書き添える。担当が空欄の接点は、すでに放置されている可能性が高い。
- 一人の顧客が一週間に自社から受け取る連絡の総数を数える。部署をまたいだ重なりが起きていないか、頻度が多すぎないかを併せて見る。
- 各接点で名乗っている自社の説明文を並べ、約束している内容がずれていないかを読み比べる。宛先が違っても、根の部分が食い違っていないかを見る。
- 検索結果や外部の口コミなど、自社が管理していない接点も一覧に含める。管理外の接点ほど、顧客の目には先に入る場所に置かれている。
よくある誤解
接点を増やすほど届きやすくなる、という見方が起きやすい。実際には運用の手が分散し、更新の止まった画面が増えていく。放置された接点は、無いよりも印象を損ないやすい。増やす判断は、その接点を誰が継続して手入れするのかが決まってから下すことになり、決まらないうちは開かないという選択も含まれる。
個別に最適化すれば全体も良くなる、という前提も崩れやすい。それぞれの担当が自分の指標を追うと、同じ顧客に同じ案内が重なって届いたり、言っていることが場所ごとに食い違ったりする。部分の合計が体験にならない場面は接点が増えるほど起きやすく、横に並べて見る役割を誰かが担う必要が出てくる。
よくある質問
デジタル接点はどこまでを数えればよいですか?
自社が管理していない場所まで含めて数えるほうが実態に近い。検索結果の表示や外部サイトでの言及は、手を入れられなくても顧客が最初に触れる場所になりうる。管理できる範囲だけを一覧にすると、実際の入口が抜け落ちたまま体験を設計することになる。入口の多くは、手の届かない場所に置かれている。
すべての接点で見た目を統一する必要がありますか?
揃えるべきなのは見た目より、約束している内容と応対の質になる。画面の大きさや用途が違えば、見せ方は変わってよい。一方で、名乗っている価値や問い合わせへの返し方が場所ごとに違うと、同じ相手に接しているという感覚が崩れる。揃える層を分けて考える。
接点は少ないほうが管理しやすいのではないですか?
管理の面では少ないほうが有利になる。ただし顧客が探す場所に自社が居なければ、接点の少なさはそのまま出会いの少なさになる。数を絞るなら、絞った先が相手の通り道に当たっているかを先に確かめる。手入れを続けられる数に収めるのが、現実的な線になる。