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体験

オムニコマース

Omni-Commerce

店舗・EC・アプリなどあらゆる販売接点を統合し、境目のない購買体験を提供する考え方を指す。

意味

オムニコマースとは、実店舗、EC サイト、アプリ、SNS など、商品を購入できるあらゆる接点を分け隔てなく統合し、顧客がどの経路を使っても境目を感じずに買い物できる体験を目指す考え方を指す。チャネルごとに分断された購買を、一つのなめらかな流れへとつなぐことを狙う。

その要点は、在庫・顧客情報・購買履歴といったデータを裏側で束ね、どの接点でも同じ顧客として扱える状態をつくることにある。オンラインで見て店舗で受け取る、店舗で試してアプリで買うといった行き来を、顧客に負担を感じさせずに成立させる下地となる。

ブランドの観点では、オムニコマースは購買という体験全体でブランドの一貫性を保つ営みでもある。接点ごとに印象や利便性がばらつけば体験は損なわれるため、デジタル接点と物理的な接点を通貫する設計が問われる。

成り立ち

「オムニ(omni-)」は「すべての」を意味する接頭辞で、あらゆる販売接点を統合する発想を表す。複数の接点を連携させるオムニチャネルの考え方が、購買・商取引(コマース)の領域で具体化するなかで用いられるようになった。

オムニコマースとオムニチャネルの違い

オムニチャネルは接点をまたいで一貫した体験をつくるという広い構えを指し、オムニコマースはそのうち買うという行為の成立に焦点を絞った言い方になる。在庫、決済、受け取り、返品といった、取引が実際に完了するまでの経路が対象の中心に来る点で、扱う範囲が違う。

焦点の違いは、詰まったときに触る場所に表れる。体験がちぐはぐだという課題は案内や接客の設計へ向かうが、買えないという課題は在庫や決済の連携へ向かう。同じ統合という言葉を使っていても、動かす対象が別の部署にあることは珍しくなく、招集すべき相手が変わる。

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オムニコマースとカスタマージャーニーの違い

カスタマージャーニーは顧客が実際にたどった道筋を描いた記述で、オムニコマースは売り手側がどの道筋でも取引が成立するよう整えた状態を指す。前者は観察から生まれ、後者は整備の結果として現れる。誰の側の話をしているのかで分かれると捉えると、見分けやすくなる。

両者を並べると、整備の抜けが見えやすくなる。描いた道筋のうち経路が切り替わる箇所を洗い出し、そこで顧客に何かをやり直させていないかを見る。やり直しが残っている限り、接点を並べただけの状態に留まっており、統合という言葉が実態を先取りしていることになる。

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使いどころ

小売や EC の体験設計を論じる文脈で用いられる。複数チャネルを併用する『マルチチャネル』や、それらを連携させる『オムニチャネル』との違い(統合の度合い)を意識して使い分けられることが多い。

実務でのチェックポイント

  • 店舗と通販で同じ商品の価格や在庫の表示が食い違っていないかを実際に確かめる。食い違うなら、統合は裏側のどこかで止まっている。
  • オンラインで購入した商品を店舗で返品できるかを試す。断られるなら、経路の切り替え地点に顧客の側から見える段差が残っている。
  • 顧客が経路を移るときに、氏名や住所をもう一度入力させていないかを確認する。入力のやり直しは、繋がっていないことの分かりやすい兆候になる。
  • 売上をどの部署の実績として数えているかを見る。経路ごとに取り合う仕組みのままなら、統合は現場の動機の面から妨げられ続ける。

よくある誤解

統合という語からは、店舗にもアプリにも同じ機能を並べていく作業が想像されることがある。しかし下調べに使う場所と決済に使う場所は顧客の中で分かれており、どちらにも全部を持たせる必要はない。揃えるべきは機能の一覧ではなく、経路をまたいだときにカートや会員情報が前の続きから立ち上がることである。そこさえ繋がっていれば、機能の差は不便として意識されにくい。

仕組みを統合すれば体験も統合される、という見方も外れやすい。裏側でデータが繋がっていても、店舗と通販で価格や在庫の扱いが違えば、顧客の側からは別の店に見える。基幹の連携と、現場での約束の揃え方は別々に手を入れる必要が残る。後者は価格の決め方や在庫の持ち方、部署ごとの評価の仕組みにまで及ぶため、システムの入れ替えだけでは片づかない。

よくある質問

小規模な事業でも取り組めますか?

取り組めるが、始める順序が変わる。接点をすべて揃える前に、顧客が実際に行き来している二つの経路を見つけ、その間の段差をなくすほうが効く。全体の統合は投資も調整も大きくなるため、行き来の多い箇所を一つ選んで手をつけるのが、現実的な入り方になる。

在庫を一つにまとめないと成立しませんか?

完全に一つにする必要はないが、どこに何があるかが互いに見えている状態は要る。まとめずとも、店舗の在庫を通販側から確認でき、取り置きや取り寄せが手続きとして繋がっていれば、顧客の側からは境目が薄くなる。在庫を一本化するより、まず互いに見えるようにする段階から入るほうが着手しやすい。

実店舗を持たない場合も関係しますか?

関係する。自社サイト、アプリ、外部の販売所など、店舗がなくても購入できる場所は複数に分かれている。会員情報や購入履歴がそれぞれで途切れていれば、同じ顧客が場所ごとに別人として扱われる。境目をなくす課題は、物理的な店舗の有無とは関係なく立ち上がってくる。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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