ブランドアクティベーション
体験や参加の機会を通じて、ブランドへの関心を具体的な行動や愛着へ結びつける活動。
意味
認知にとどめず、顧客が実際に関わる接点をつくることを狙う。
イベントや体験施策を通じて関係を能動的に育てる発想に立つ。
成り立ち
認知獲得の先にある「関与の喚起」を重視する潮流のなかで用いられるようになった。
体験マーケティングやイベント施策と結びついて語られる。
ブランドアクティベーションとエンゲージメントの違い
エンゲージメントが指しているのは、顧客の側に生じた関与の量や濃さという結果である。ブランドアクティベーションは、その結果を呼び起こすために組まれた働きかけ、つまり手前の仕掛けを指す。体験会を開いた、試用の機会を配ったという実施の記録は、関与が生じたことを保証しない。会場が埋まっても態度が動かない例はあり、実施の記録と関与の変化は別の帳簿に付ける。
見分けたいときは、数えているものが自社の行動か相手の反応かを問うとよい。実施した回数や動員した人数は自社側の記録で、そこから先に何が続いたかは相手側にしか現れない。会場が埋まったことをもって関与が生まれたと読むと、その日限りの参加と関係の変化が混ざる。
エンゲージメントの項へ →ブランドアクティベーションと経験価値の違い
体験価値は、顧客がその体験から受け取った価値の中身を指す。アクティベーションは、その価値が生まれる場や機会を用意する取り組みで、用意した側と受け取った側で話が分かれる。凝った仕掛けをつくっても、受け手の側で価値と感じられなければ成立しない。
切り分けの軸は、ブランドと結びついたかどうかにある。体験そのものが楽しくても、その記憶が特定の名前と結びつかなければ、活動としては目的を果たしていない。体験の満足度と、後日その名前を思い出せるかどうかは、別の設問として確かめる必要がある。
経験価値の項へ →使いどころ
認知から行動への橋渡しを狙う施策の説明に用いられる。
顧客との能動的な接点づくりを語る際に参照される。
実務でのチェックポイント
- 体験の当日に、来場者と再び連絡が取れる形を残しておく。会場の熱量は記録に残らず、名前と連絡先を持ち帰れなければ、その後の購買や人づての広がりまで線がつながらない。
- 体験のなかで、自社の約束が言葉ではなく行為として表れている箇所を挙げる。装飾に名前が出ているだけなら、体験と像は結びつかない。
- 参加した相手に後日、何をする企画だったかを説明してもらう。その説明のなかに自社の名前と主題が残っているかを見る。
- 同じ予算を広告に充てた場合と比べ、何が得られると見込んだのかを事前に書き出しておく。実施後の振り返りの基準になる。
よくある誤解
話題になった規模で成否を判断してしまいやすい。その場の人出や反応の量は測りやすい一方、参加した相手がその後どう変わったかは追跡の設計がなければ分からない。設計を用意しないまま実施すると、盛り上がりの記録だけが残り、次に何を変えるべきかという材料が手元に残らない。
認知の後に置かれる工程だという整理も、実務では窮屈に働く。関与の機会は、まだ名前を知らない相手にとっての入口にもなり、順序は固定されない。ただし何も知らない相手を招く場合、体験の内容だけで何のブランドの企画なのかが伝わる作りになっていないと、記憶は名前へ紐づかない。
よくある質問
ブランドアクティベーションとイベントは何が違いますか?
イベントは形式で、アクティベーションは目的にあたる。催しを開くこと自体は手段の一つで、店頭の仕掛けや使い方の提案であっても、関与を引き出す狙いがあれば同じ枠に入る。形式から入ると、集客の成否がいつのまにか目的とすり替わりやすい。
小規模でも効果はありますか?
人数より、参加した相手のなかで何が変わったかで決まる。少人数でも、その後に語り継がれたり継続的な関係に移ったりすれば、大規模な動員より残るものは大きい。規模を追うと一回性の集客に寄るため、小さく始めるなら追跡できる範囲を保つほうが向いている。
効果はどう測ればよいですか?
当日の指標と後日の指標を分けて置く。参加人数や反応の量は実施の記録であって成果ではない。後日に、名前を覚えているか、周囲に話したか、購入や再訪に至ったかを別途確かめる。前者だけを集めると、実施のたびに同じ数字が並び、改善の手がかりが出ない。