— 01 —ニュースの概要
創業108年の神戸屋は、2023年に売上の約7割を占めていた包装パン事業を山崎製パンに譲渡した。そのうえで2026年7月、約40年ぶりにコーポレートロゴとブランドロゴを刷新し、新ステートメント「Be Playful」を掲げたリブランディングを発表している。8月には「神戸屋キッチン アトレ恵比寿店」をリニューアルした。2022年11月からは、全国のパン屋の冷凍パンを届けるサブスク「毎月PANDA!」も展開している。
東洋経済オンラインは、桐山晋社長が主導したこの転換を、量産から手作りと対面販売へ経営資源を寄せる「次の100年」に向けた再編として取り上げている。大手への譲渡を身軽になる戦略として前向きに位置づけ、ほかのパン屋まで支える事業の広がりにも注目している。
正直、売上の7割を手放すって、外から見ているだけでも胃が痛くなる決断なんですよね。それでも新しいロゴが晴れやかに見えるのは、その覚悟が先にあったからだと思います。
— 02 —ロゴの刷新は、事業の決断の後にくる
このニュースで目を引くのは、順番だ。神戸屋は先に事業の形を変え、数年おいてから見た目を変えた。主力事業を譲るという判断で「自分たちは何の会社なのか」が問い直され、その答えが出たあとにロゴとステートメントが整えられている。リブランディングを見た目の刷新から始める企業は多いが、神戸屋の進め方は見た目の手前にある判断を先に済ませた例と言える。
手放したことで、残ったものの意味もはっきりした。職人が焼くパン、店頭での対話、冷凍パンを通じた業界の下支え。どれも量の勝負から離れたからこそ打ち出せる価値だ。「Be Playful」という言葉が軽く響かないのは、事業の選択がその言葉を裏打ちしているからだろう。
競合でもある街のパン屋を支えるサブスクも、同じ線上にある。自社の売上だけでなくパン文化の広がりを担うという姿勢は、ブランドの約束を自社の外にまで伸ばす試みとして読める。
— 03 —と、いうことで。
リブランディングを考えている企業は、デザイン会社に声をかける前に「やめること」のリストを作ってほしい。事業、商品、顧客層、販路のどれでもいい。続けている理由が「これまでやってきたから」以外に説明できないものを書き出し、その中から一つ、手放す候補を決める。手放す候補が一つも挙がらないなら、ロゴを変えてもブランドの中身は変わらない。逆に一つでも挙がれば、新しいロゴやステートメントが何を宣言すべきかが見えてくる。
- リブランディングは見た目より先に事業の選択から始める
- 続ける理由を説明できない事業や商品を一つ挙げる
- 手放した後に残る価値を、ステートメントの核にする