— 01 —ニュースの概要
AdverTimes.(アドタイ)が、広告制作向けの音楽ライブラリー Audio Network を取り上げた。同社は権利処理を済ませた楽曲をそろえ、テレビCMや企業動画、オンライン広告、ポッドキャストといった用途で使えるようにしているサービスだ。楽曲を探す機能のほか、放送で必要になるキューシートの作成を助ける機能も備えているという。制作の現場で手間になりやすい権利の確認を、あらかじめ片づけた状態で渡すところに特徴がある。
記事はこれを便利な素材集の紹介としてではなく、広告の中で音をどう組み立てるかという話と、その音を実際に使える状態にする権利のクリアランスを、ひと続きのものとして扱っている。音を選ぶ話と、音を使えるようにする話が、同じ記事の中に並んでいる。
正直、音は最後に決まりがちなんですよね。編集がだいたい終わってから、何か合う曲ありませんか、になる。あの順番のままだと音はずっと飾りのままな気がします。
— 02 —良い音を選ぶことと、同じ音を使い続けることは別の仕事だ
ブランドの一貫性を点検するとき、たいていロゴと色と書体までは見る。音まで見る会社は少ない。けれどテレビCM、店頭で流れるもの、展示会のブースの映像、採用サイトの動画、ポッドキャスト。接点の数だけ音は鳴っている。そしてその音は、多くの場合、映像がほぼ仕上がった最後の工程で、合いそうな曲として選ばれる。制作物ごとに違う人が違う基準で選ぶので、一本ずつ見れば悪くないのに、並べるとどこの会社か分からない。
音を企画の段階から考えるとき、効いてくるのは選曲の腕前よりも、選んだあとの条件のほうだ。同じ音を、どの媒体でも、期限を気にせず使えるか。ここが押さえられていないと、媒体が変わるたびに選び直しが発生し、そのたびに一貫性はふりだしに戻る。権利のクリアランスは法務の後片づけに見えて、実際にはブランドが積み上がるかどうかを左右する条件になっている。
同じことは音以外にも起きる。写真のトーン、書体、色。何を良しとするかを決めても、それを使い続けられる条件が伴っていなければ、基準は現場で折れる。ブランドが見た目の手前にあるというのは、決めごとを立派にすることではなく、決めたものが運用に耐えるかを先に見ておくことでもある。
— 03 —と、いうことで。
まず、この1年に出した制作物を並べて、そこで鳴っている音を数えてみる。CM、商品紹介の動画、展示会の映像、採用ムービー。何種類の音が使われているか。種類の数が制作物の数とほぼ同じなら、音は毎回ゼロから選ばれている。
そのうえで、これはうちの音だと言える一つを選ぶ。曲そのものでもいいし、テンポや楽器の性格といった大まかな決めごとでもいい。決めたら次にやることは一つで、それを他の媒体でも使える権利条件かどうかを確認することだ。使えないなら、使えるものに一度だけ置き換える。選び直しは面倒だが、毎回選び直し続けるよりは安く済む。
- この1年の制作物で何種類の音が使われているかを数える
- うちの音と言える一つを決め、全媒体で使える権利条件かを確認する
- 書体や色も、選ぶ基準と使い続けられる条件の両面で決める