— 01 —ニュースの概要
ユニリーバのヘアケアブランド「ラックス」が、8人組グループ MAZZEL と初めてコラボレーションした。テーマは「あなたの傷みを、輝きに。」。新TVCM「僕らはもっと輝ける。」篇が2026年8月31日から全国で順次放映される。CMに先行して8月16日からは購入レシートによる応募キャンペーンが始まっており、購入金額に応じて三段階の賞が用意され、最上位の賞は「BMSG FES'26」でのリハーサル観覧となっている。あわせて撮影のメイキング動画とメンバーのインタビュー動画も公開された。
PR EDGE はこの施策を、話題づくりとしてのタレント起用ではなく、共感を軸にファンをブランド体験へ導く導線の設計として位置づけて報じている。誰を起用したかではなく、起用したあとに何が組み立てられているかに焦点を当てたまとめ方だ。
じつは、タイアップの企画書でいちばん飛ばされがちなのが、この「言葉が重なるか」の確認なんですよね。起用する名前が決まると、みんなそこで安心してしまう。
— 02 —起用は「借りる」ではなく「重ねる」
タレント起用の成否を分けるのは、知名度の大きさではない。ブランドが元々約束してきた提供価値と、起用相手が背負っている物語が、同じ一語の上で重なるかである。今回それは「輝き」だった。ラックスがヘアケアで言い続けてきたのは髪の輝きであり、MAZZEL というグループが歌ってきたのは自分たちはもっと輝けるという物語だ。この一語が重なっているから、CMを見たファンの共感と、店頭で製品を手に取る理由が同じ方向を向く。
逆に、共有できる一語を見つけないまま起用すると、話題は起きても「誰が出ていたか」だけが記憶に残り、ブランド側には何も積み上がらない。起用候補を前にしたときに問うべきは、フォロワーが何人かではなく、自社が言い続けてきた言葉を、この人はすでに自分の言葉として持っているかだ。ここが一致していれば、契約期間が終わってもブランド側に語彙が残る。
導線の組み立て方にも学べる点がある。最上位の報酬が値引きではなくリハーサル観覧という体験に置かれていることだ。「もっと近くで見たい」という感情の延長線上に報酬を置けば、価格を削らずに行動を促せる。共感を安売りに変換しない設計は、他業種にも応用が利く。
— 03 —と、いうことで。
まず着手すべきは、自社の「共有できる一語」の棚卸しである。過去3年分の広告コピー・採用サイト・営業資料を並べ、繰り返し出てくる名詞を一つだけ書き出してみる。複数残るなら、まだ絞れていないということだ。一つも見つからないなら、起用の議論より先に決めるべきものがそこにある。
一語が特定できたら、次に候補者リストの並べ替えをする。知名度順やフォロワー数順ではなく、その一語を自分の物語として語れるかという基準で並べ直す。順位が大きく入れ替わるはずで、その入れ替わり自体が、これまで何を基準に選んでいたかを教えてくれる。特典設計の見直しは、その後でいい。
- 起用候補は知名度順ではなく「自社の一語を語れるか」で並べ替える
- 過去3年の発信から繰り返し出る名詞を一つ特定し、共有語の候補にする
- 応募特典は値引きではなく体験に置き、価格を削らずに行動を促す