— 01 —測れることと、事業が動くことは別だ
ポーラが、ブランドを評価する指標そのものを見直す。日経クロストレンドは、これを新社長・小林琢磨氏のもとで進む改革として報じている。小林氏は、グループのオルビスで顧客生涯価値(LTV)を経営の軸に据え、二桁成長とV字回復を実現した人物だ。
記事は「ブランド価値は毀損していない、問題は既存顧客との接点にある」と状況を整理したうえで、認知度や好感度といった従来の指標が必ずしも売り上げと連動しない、という課題を取り上げている。測りやすい数字を並べることと、事業が前に進むことは、必ずしも同じではない——そう位置づける切り口だ。
正直、ダッシュボードの指標って、増やすほど安心する気がするんですよね。でも本当に効くのは、見るべき一本に絞ることのほうで。難しいけれど、そこにこそ意味があるんだろうな、と思います。
— 02 —良い指標は、精度ではなく「判断を変える力」で決まる
ここで問われているのは、計測そのものの目的だ。ブランドの数字は、集めるほど安心する。だが指標が増えるほど、どれを見て何を決めるのかは曖昧になっていく。認知度が一年で数ポイント上がったとして、そこから経営が何の判断を変えるのか——その問いに答えられない指標は、ダッシュボードを飾るだけで判断を動かさない。
私たちが計測を「判断基準としてのブランド」と結びつけて語るのは、指標の価値が精度ではなく、判断を変える力で決まるからだ。良い指標とは、たくさん測れる指標ではなく、その一本が動いたときに打ち手が一つ決まる指標を指す。ポーラの改革が示唆的なのは、指標を「測れるか」ではなく「事業を動かすか」で選び直そうとしている点にある。
この順番を守れるかどうかが、分かれ目になる。指標を先に増やすと、数字に振り回されて判断の一貫性が崩れていく。先に「どんな判断をしたいか」を決め、そのために必要な一本だけを測る。計測は、見える化の作業ではなく、意思決定の設計だ。
— 03 —と、いうことで。
この記事を読んだあなたが今日できるのは、いま追っているブランド指標を紙に書き出し、それぞれの横に「これが動いたら、経営は何を変えるか」を一行で書き添えてみることだ。書けない指標が出てきたら、それは測るのをやめてよい候補かもしれない。
指標を減らすのは勇気がいる。だが判断を動かさない数字を手放すほど、残った一本の意味は濃くなる。まずは「これが動いたら値引きに頼らず売れる」と言い切れる指標を一つ選ぶ。計測の改革は、新しいツールの導入ではなく、見る数字を絞るところから始まる。
- 追っている指標ごとに「動いたら何を変えるか」を書き出し、答えられない指標を洗い出す
- 良い指標は測れる数ではなく、その一本が打ち手を一つ決める力で選ぶ
- 計測はツール導入ではなく、見る数字を絞る意思決定の設計として始める