さ
体験

ゾーニング

Zoning

空間や売場を目的や役割に応じて区分けし、人の動きや過ごし方といった体験を設計する考え方。

意味

ゾーニングとは、空間や売場を、目的や役割に応じたまとまり(ゾーン)に区分けし、人の動きや過ごし方を設計することである。どこに何を配置するかの全体構想を指す。

個々の陳列や装飾の前に、空間をどう分けるかという大枠を決める段階にあたる。動線や滞在の流れを見据えて、体験の骨格を組み立てる。

店舗に限らず、展示やイベントの空間設計でも用いられる。人がどう入り、どこで立ち止まり、どう出ていくかを、区分けを通じて導く発想である。

成り立ち

zoning は「区域分け」を意味する英語で、zone(区域)に由来する。もとは都市計画などで用途ごとに区域を定める考え方を指した。

この発想が店舗や商業空間の設計に取り込まれ、売場や施設を役割ごとに区分けして体験を組み立てることを指す語として用いられるようになった。

ゾーニングとカスタマージャーニーの違い

カスタマージャーニーは、顧客が時間の流れの中でどう動くかを捉える見方である。ゾーニングは、その動きを空間の区分けとして受け止める設計にあたる。前者が縦の時間軸なら後者は横の平面であり、同じ体験を別の座標で見ていることになる。

切り分けたいときは、扱っている単位を問うとよい。ジャーニーの段階は日をまたぐことも多いが、ゾーニングが扱うのは入場から退場までの数十分に収まる移動である。長い検討の話をしているのか、その日の足取りの話をしているのかで、直すべき対象が変わる。

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ゾーニングとタッチポイントの違い

タッチポイントは顧客が触れる個々の接点を指し、ゾーニングはそれらを配置する器のほうを決める。棚も掲示も接客もそれぞれ接点だが、どの区画に置かれるかによって、目に入る順番も受け取られ方も変わってくる。

順序としては区分けが先にあり、接点の設計は後に来る。接点ごとの改善を積み重ねても回遊が変わらない場合、原因は個々の出来ではなく、区画の切り方や隣り合わせ方にあることが多い。どちらの層の問題なのかを分けて見る必要がある。

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使いどころ

ゾーニングは、店舗や空間の設計で、動線や滞在体験の骨格を決める段階で用いられる。個別の演出より前の全体構想にあたる。

顧客の体験全体をどう設計するかという観点から、サービスデザインやタッチポイントの議論とあわせて論じられる。

実務でのチェックポイント

  • 開店直後に入口へ立ち、客の足が最初に向かう区画を何度か観察する。図面に引いた順路と実際の足取りはずれることが多く、はじめのゾーンとして設けた区画が素通りされている場合もある。
  • 区画ごとの滞在時間を比べ、面積の配分と釣り合っているかを見る。広く取った区画に人が留まっていないなら、割り当てのほうを疑う。
  • 隣り合う区画の組み合わせに理由を説明できるか試す。管理上の都合で並んでいるだけなら、買い手の探し方とは無関係に並んでいる。
  • 初めて来た人に目的の品物を探してもらい、どこで迷うかを見る。案内表示を足す前に、区分け自体が読めているかを確かめる。

よくある誤解

ゾーニングを配置図の作成だと捉えると、線を引いた時点で終わったことにしてしまう。図の上での区分けはあくまで仮説であり、実際に人がその通りに動くかは開けてみなければ分からない。想定した動線と違う歩き方が起きているなら、区分けの前提そのものが引き直しの対象になる。

商品カテゴリの分類をそのまま区画にする扱いも起きやすい。売り手側の管理単位で分ければ整然とは見えるが、買い手は用途や場面でまとめて探すことがある。分類の都合と探し方の都合が食い違うと、目当てのものが見つからないまま滞在が終わり、区画は整っているのに売場が働かない。

よくある質問

ゾーニングは店舗の広さに関係なく必要ですか?

広さに関わらず必要になる。狭い空間でも、入ってすぐに何の店かが伝わる区画と、じっくり選んでもらう区画では役割が違う。むしろ面積が小さいほど一区画あたりの影響が大きくなるため、どこに何を置くかの判断はかえって重くなる。

ゾーニングはどのくらいの頻度で見直すものですか?

陳列の入れ替えとは別の周期で考えるほうがよい。品物の並べ替えは短い間隔で行えるが、区分けを動かすと客が覚えている場所そのものが変わるため、頻繁に変えると探しにくさを生む。扱う品揃えや来場の目的が変わったときが、見直しの契機になる。

オンラインの売場にもゾーニングの考え方は使えますか?

使える。画面上でも、何をまとまりとして見せ、どの順に並べるかという判断は同じ性質を持つ。ただし物理的な空間と違い、入口が一つとは限らない点が異なる。検索から直接入ってきた相手にも、いまどの区画にいるのかが分かる作りが要る。

この項目は、ブランディング支援会社 Highlite Inc. 編集部が執筆・監修しています。
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