コーズマーケティング
社会的な課題への貢献と事業活動を結び付け、購入が支援につながる形で関係を築く手法。
意味
コーズマーケティングとは、社会的な課題への貢献と事業活動を結び付ける手法を指す。製品の購入が寄付や支援につながる仕組みなどを通じて、顧客が消費を通じて課題解決に加われるようにする。
この手法では、ブランドが掲げる姿勢や価値観が、単なる訴求文句ではなく具体的な行動として示される。顧客は選択を通じて自らの価値観を表明でき、ブランドとの結びつきを深めやすくなる。
一方で、掲げる大義と実際の活動が食い違うと、うわべだけの善意と受け取られ、かえって信頼を損なうことがある。姿勢と行動の一貫性が問われる領域である。
成り立ち
cause は「大義・社会的な目的」を意味する語で、それをマーケティングと結び付けた呼称である。
企業の社会的責任への関心が高まる中で、事業活動と社会貢献を切り離さず結び付ける発想として広まった。
コーズマーケティングとブランドパーパスの違い
ブランドパーパスは自社が何のために存在するかという内側の定義で、コーズマーケティングはその姿勢を外向きの取り組みとして具体化する手法である。定義がないまま手法だけを動かすと、支援する対象が事業と結びつかず、その時々の話題に沿って移り変わりやすい。
掲げ続ける言葉と、始まりと終わりのある取り組みという違いもある。パーパスは経営陣が代わっても据え置かれる前提で書かれるのに対し、コーズの活動は支援先を決め、期間を区切って走らせる。区切りが来て寄付の受付を閉じたあと、会社側に何が残ったと言えるか。ここを答えられる設計になっていれば、単発の活動は掲げた言葉を裏づける実績として積み上がる。
ブランドパーパスの項へ →コーズマーケティングとサステナビリティの違い
サステナビリティは事業の続け方そのものに関わる話で、自社の調達や生産の見直しを含む。コーズマーケティングは、外部の課題への支援を購買と結び付ける手法で、対象は自社の外に置かれることが多い。手を入れる場所が内側か外側かで分かれる。
取り違えると、外への支援を掲げながら自社の足元を問われる状況が生まれる。支援の告知が広がるほど、事業の中身との差も見られやすくなる。外向きの取り組みを始める前に、同じ論点で自社の内側が説明できるかを先に確かめる順序になる。
サステナビリティの項へ →使いどころ
コーズマーケティングは、ブランドの掲げる価値観を具体的な取り組みとして示す場面で用いられる。何を支援し、どう関わるかを事業と結び付けて設計する。
ブランドパーパスの議論と結び付けると、掲げる存在意義を行動として体現する道筋が描きやすくなる。
実務でのチェックポイント
- 選んだ社会課題と自社の商売がどこで接しているかを、一文で書き切ってみる。書き上がった文に自社の商品も製造の工程も現れないなら、支援先はまだ事業の外に置かれている。
- 同じ形で来年も続けられるかを先に確かめる。続けられないなら、告知の大きさもその範囲に収めることになる。
- 支援の内容を金額以外の言葉で説明できるか見る。金額しか出てこないなら、事業として関わる部分がまだない。
- 同じ課題について自社の調達や働き方が問われたときに答えられるか、社内で先に確認しておく。
よくある誤解
掲げる課題は大きいほど共感を集める、と考えられがちだが、事業との距離が遠いほど、なぜ自社が取り組むのかを説明しにくくなる。関わる理由を言えない支援は、金額の多寡にかかわらず宣伝の一部として読まれ、支援そのものへの評価にはつながりにくい。
一度きりの取り組みでも姿勢は示せる、という捉え方もある。単発の支援は告知の瞬間だけ注目を集めるが、翌年に何もなければ、その年の事情で行われたものとして片づけられる。続ける前提がないなら、掲げ方も一回の取り組みとして正直に説明したほうが、後の齟齬は少ない。
よくある質問
寄付を告知するのは売名だと受け取られませんか?
分かれ目は告知の有無ではなく、理由を添えられているかにある。なぜその課題を選んだのか、自社の製造や販売のどこがそこに接しているのか。この筋道が本文にあれば、告知は支援を必要とする側にとっての情報としても働く。逆に、経緯を省いて寄付の規模ばかりを前に出すと、善意の表明ではなく自社の宣伝として読まれる。
規模の小さい会社でも取り組めますか?
取り組める。金額の大きさより、事業との近さと続けられるかで見られる部分が大きい。自社が日常的に扱っているものや持っている技能を通じた関わりは、額が小さくても理由を説明しやすい。無理のある規模で始めるほど、翌年に続かなくなる。
支援先はどう選べばよいですか?
自社の事業が実際に関わっている領域から探すのが基本になる。顧客や取引先、働く人が日々接している困りごとは、関わる理由を説明しやすく、社内の理解も得やすい。話題性を基準に選ぶと、話題が移ったときに続ける理由がなくなる。