— 01 —フィード設計の実務手順
フィードの統一感は、感覚ではなくルールで作る。まずカラーパレットを固定する。メイン・サブ・アクセントの3色程度に絞り、写真の色みまで含めてこの範囲に収める。色数が増えるほど、フィードは散らかって見える。3色に決めておくだけで、素材が変わっても全体のまとまりが崩れない。
次に型の本数比を決める。解説・事例・雑談など、投稿の器を2〜3種類に絞り、どの型を何割で回すかを先に決めておく。3つめはサムネイルの文字ルールだ。使うフォント、文字サイズの上限、文字を置く位置(上寄せか中央か)を統一する。フィードを引きで見たとき、文字の位置がバラバラだと、内容が良くても散らかって見える。逆に位置がそろっているだけで、ぐっと整った印象になる。
最後はグリッドプレビューでの確認だ。単体で良く見える1枚も、9枚並べると浮くことがある。投稿前に、既存のフィードに新しい1枚を並べた状態を必ず見る。この一手間が、単発の良さと全体の調和を両立させる分かれ目になる。プレビューを習慣にするだけで、投稿後に「浮いた」と後悔することが減り、全体の質が安定する。
統一感の出し方を聞かれると、つい「フィルタ何使う?」の話になりがちなんですけど、実際は文字の位置をそろえるだけで7割くらい解決したりします。地味なんですけど、いちばん効くのはそこだったりするんですよね。
— 02 —揃えすぎると退屈になる
良し悪しの分かれ目は、一貫性と変化の配合にある。ルールを厳密にしすぎると、フィードは整うが退屈になる。9枚がまったく同じテンプレで埋まっていると、スクロールする手が止まらない。統一感は、単調さと紙一重だということを忘れてはいけない。整いすぎたフィードは、記憶に残らないまま通り過ぎられてしまう。
ここで軸になるのがdistinctive asset(識別要素)だ。ブランドを一目で見分けさせる、色・形・レイアウトの型といった資産。これを軸として固定し、その周りで自由に崩す。たとえばアクセントカラーと文字位置は絶対に守り、写真の被写体や余白の取り方は毎回変える、という具合だ。軸が守られていれば、崩しても「らしさ」は消えない。
守るべき軸と、遊んでいい余白を分ける。これが配合の勘所だ。全部を揃えようとすると退屈になり、全部を自由にすると散らかる。「どこを絶対に外さないか」を1〜2点に絞れると、変化を加えても世界観は崩れない。この一本の軸があるかどうかが、退屈と散らかりのどちらにも転ばない条件になる。軸を決めずに「統一感を出そう」とすると、結局すべてを揃える方向に振れて、退屈なフィードにたどり着いてしまう。
— 03 —ブランドから逆算する──フィードは店構え
フィードは、ブランドの店構えだ。通りすがりの人がプロフィールを開いた瞬間の第一印象を決める、無言のショーウインドウにあたる。だから、パレットや型を「なんとなく可愛いから」で選ぶと、隣のアカウントと見分けがつかなくなる。可愛いフィードは世の中にあふれていて、それだけでは記憶に残らない。
色や型の根拠は、VI(ビジュアルアイデンティティ)やブランドコアから引く。ブランドカラーがあるなら、フィードのパレットはそこから展開する。トーンが「実直で温かい」なら、彩度の高すぎる配色は選ばない。02で軸にすると述べたdistinctive assetも、思いつきで決めるものではなく、VIから引き継ぐものだ。根拠がVIにあれば、担当者が増えても選択はぶれない。
「なんとなく可愛い」からの卒業は、根拠を持つことで起きる。この色を使う理由、この型を守る理由を、なぜと問われたときに一言で説明できるか。説明できれば、判断はぶれない。フィードの統一感とは、突き詰めればブランドの一貫性の可視化にほかならない。だから設計の出発点は、フィルタやテンプレ選びではなく、ブランドコアの確認なのだ。
— 04 —AIとの分業と、経営にどう効くか
テンプレの展開や各サイズへのリサイズは、AIやCanvaといったツールで自動化できる工程だ(機能や仕様は執筆時点のもので、変わりうる)。1枚の型を作れば、そこから複数の投稿バリエーションや、各プラットフォーム向けのサイズ違いを量産できる。人が時間を注ぐべきは、量産ではなく型そのものの設計だ。どの色を守り、どの型を何割で回し、どこを崩すか──この設計は自動化できない。
ツールに任せる工程と、人が握る判断を分けると、作業は速く、世界観は保たれる。逆に、型の設計を飛ばして量産だけを自動化すると、整っているのに何も伝わらないフィードになりやすい。速さは、設計があってはじめて武器になる。経営に説明するなら、統一されたフィードは「無言の営業資料」として語れる。商談前に相手がプロフィールを開いたとき、整ったフィードはそれ自体が信頼の証になる。営業担当が何も言わなくても、9枚が会社の姿勢を伝える。VI運用やCanvaでのブランド統制とあわせて設計すると、この資産はさらに強くなる。
- カラーは3色程度に固定し、写真の色みまでその範囲に収める
- サムネの文字位置とフォントを統一し、投稿前にグリッドで確認する
- distinctive assetを軸に固定し、その周りだけを崩す
- リサイズや展開はツールに任せ、人は型の設計に時間を移す