ジャーナル · 採用2026.06.27

紹介料を払い続けるか、選ばれる会社になるか

人が採れないから人材紹介に頼る。決まれば数十万から百万円規模の紹介料を払う。それが毎年の固定費のように積み上がっていく。採用が動いているようで、実は依存が構造化している——そんな感覚を持つ経営者は多い。

目次
  1. |採るたびに、紹介料が固定費になっていく
  2. |採用単価が高いのは、知られ方に投資してこなかったツケ
  3. |採用単価を下げるとは、知られ方を資産に変えること
  4. |明日、この一年の採用コストの内訳を並べる

— 01 —01|採るたびに、紹介料が固定費になっていく

自社の求人では応募が集まらない。媒体にも出しているが、質の合う人はなかなか来ない。だから人材紹介会社に依頼する。一人決まるごとに、年収の一定割合として数十万から百万円規模の紹介料を払う。急ぎで採りたいときほど、この選択に流れる。

紹介経由は、たしかにスピードが速い。会いたい人物像に近い候補者が、比較的短期間で出てくる。手間もかからない。だが決まるたびに大きな費用が出ていき、採用計画を立てるたびに紹介料の枠を前提に置くようになる。今期は何人採るから、紹介料はこれくらい——そうして採用予算が紹介料を中心に組まれていく。気づけば、採用コストは紹介料を軸に構造化している。

しかもこの費用は、払っても社内に何も積み上がらない。人が採れたという結果だけが残り、次の採用ではまた同じ額を払う。翌年も、その次の年も、採用のたびにゼロから紹介料が発生する。紹介料は、採用のたびに消えていく変動費であって、会社の資産にはならない。この構造が続く限り、採用単価は下がりようがない。むしろ紹介会社への依存が深まるほど、自社で採る力は落ちていく。

紹介料が毎年の固定費みたいに積み上がっていく感覚、経営者の方と話すと本当によく出てきます。動いているのに抜け出せない、というのがいちばんしんどいところなんじゃないでしょうか。

— 02 —02|採用単価が高いのは、知られ方に投資してこなかったツケ

なぜ紹介に頼らざるを得ないのか。それは、候補者が自分から「この会社を受けたい」と思う状態を、これまで作ってこなかったからだ。採用単価の高さは、日ごろの「知られ方」への未投資のツケとして現れる。今の紹介料は、過去に知られ方を育ててこなかった分の請求書でもある。

自社に直接応募が来る会社と、来ない会社の差は、規模でも待遇でもない。求職者の頭の中に「こういう会社がある」という像が置かれているかどうかだ。像がある会社には、紹介を介さずとも人が向かってくる。名前を聞いて、何をしている会社かが浮かび、受けてみようと思える。像がない会社は、そのつど紹介会社に連れてきてもらうしかない。

つまり紹介料とは、自前の「知られ方」を持たないことへの代金である。候補者に会社を説明し、応募につなげる——本来は自社で担える役割を、外注しているに等しい。毎年その代金を払い続けるか、それとも一度、直接選ばれる状態を作る側に投資するか。前者は変動費として出続け、後者は積み上がって採用単価を押し下げる。

この分かれ目を、多くの会社は費用の項目としてしか見ていない。紹介料が高い、媒体費がかさむ、という表面だけを見て、その裏にある「知られ方への未投資」という原因に手を入れない。だから毎年、同じ額を払い続けることになる。

— 03 —03|採用単価を下げるとは、知られ方を資産に変えること

この「知られ方」を意図して積み上げ、会社の資産に変えていく営みを、ブランディングと呼ぶ。採用の文脈では、紹介に頼らず直接選ばれる状態をつくる投資のことだ。一度きりの費用ではなく、払うほど翌年の単価が下がっていく資産になる。ここが、消えていく紹介料との決定的な違いだ。

ここで効くのは、見た目を整えることの手前にある、選ばれる理由の設計だ。何をしている会社で、どこが他と違い、なぜここで働く価値があるのか。この理由が明快で、求人・採用ページ・社員の語りに一貫して表れていれば、求職者は紹介を介さず自分から向かってくる。理由が曖昧なままいくら媒体費を積んでも、応募は増えない。

紹介会社が果たしていた「候補者に会社を説明し、応募まで導く役割」を、自社の言葉で担えるようになる。そうなれば、紹介はゼロにはならなくとも、依存からは抜けられる。直接応募が増えた分だけ、紹介料の総額は下がっていく。採用単価は、紹介会社と値切り交渉することでではなく、そもそも紹介に頼らなくていい構造に入れ替えることで下がる。

この投資は、採用だけに効くのでもない。直接選ばれる理由が言葉になれば、それは営業や取引の場面でも同じ会社の輪郭として働く。知られ方への投資は、採用単価を下げながら、会社そのものの資産を厚くしていく。

— 04 —04|明日、この一年の採用コストの内訳を並べる

まず、直近一年の採用にかかった費用を、紹介料・媒体費・その他に分けて書き出してみてほしい。そのうち、払っても社内に何も残らなかった費用がどれだけあるかを見ると、依存の大きさが数字で見える。多くの場合、その額は一度の設計投資を上回っている。

次に、直接応募で入った人と、紹介経由で入った人の割合を出す。直接応募がほぼゼロなら、知られ方への投資が止まっているサインだ。この割合を一割でも二割でも上げていくことが、採用単価を下げる最短の道になる。紹介をゼロにする必要はなく、依存から抜ければいい。

そのうえで、求職者が自社を選ぶ理由を一文で書けるかを試す。書けなければ、その空白こそが紹介会社に毎年払っているものの正体であり、そこが投資の出発点になる。まずは、いまの知られ方が採用単価にどう効いているのかを診断で確かめてみてほしい。

◆ 経営がここから判断すべきこと
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▸ 参考・引用
Highlite 編集部(2026) 採用単価をめぐる実務ノート

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