ワークショップ
参加者が対話や共同作業を通じて、課題整理やアイデア創出を協働的に進める場や手法。
意味
講義形式ではなく、参加者自身の発言・手作業を軸に進める点が特徴とされる。
ブランディングでは、価値観や言葉の共通理解を関係者間でつくるための場として用いられることが多い。
成り立ち
もとは「作業場」を意味する語で、演劇や教育の分野で参加型の学習・創作の場を指すようになった。
近年はデザイン思考の普及に伴い、共同での課題探索や合意形成の手法として広く使われている。
ワークショップとブレインストーミングの違い
ブレインストーミングは、案を数多く出すための一つの進め方を指す。ワークショップは、その進め方も含めて、目的に向けて複数の作業を組み立てた場の全体を指す。部分と全体の関係にあり、案出しだけで終わる場は、場としては半分しか設計されていない。
終わり方も違う。案を出す進め方は、数が集まれば役割を終える。場のほうは、集まった案をどう絞り、何を決めて持ち帰るかまでを含む。発散の時間だけが長く取られた場で消化不良が残るのは、収束の設計が抜けているためになる。収束の設計が抜けていると、参加した側に消化不良が残る。
ブレインストーミングの項へ →ワークショップとコ・クリエーションの違い
コ・クリエーションは、社外の相手と共につくるという関係のあり方を指す。ワークショップは、その関係を成り立たせるために使われる場の形式の一つになる。関係の話をしているのか、そのための道具の話をしているのかで層が違う。関係のあり方と、その道具を同じ言葉で語らない。
見分けたいときは、終わった後に何が続くかを問うとよい。場は日程が終われば閉じるが、共につくる関係は、その後の決定にも相手が関わり続けることを前提とする。一度集めて意見を聞いただけで共創と呼ぶと、関わった側との認識が食い違う。一度きりの場を共創と呼ぶと、関わった側との認識が食い違う。
コ・クリエーションの項へ →使いどころ
ブランドの理念やパーパスを言語化する過程で、関係者を集めたワークショップが設けられることがある。
進行役(ファシリテーター)の設計次第で、得られる成果や参加者の納得感は変わる。
実務でのチェックポイント
- その場で何を決めて終えるのかを、開催前に一文で書けるかを確かめる。書けないなら、集める理由がまだ定まっていない。書けて初めて、集める理由が定まる。
- 参加者の顔ぶれに、決定を実行する立場の人と、実行を止められる立場の人の両方が入っているかを見る。片方だけだと後で覆る。両方が揃わない日程なら、開催を延ばす判断もありうる。
- 当日の時間配分のうち、案を出す時間と絞る時間の比率を確認する。絞る時間が極端に短ければ、持ち帰るものは残らない。絞る時間が短いと、持ち帰るものが残らない。
- 終了後に決まったことをどの形で誰に共有するかを事前に決めておく。決め方が場に閉じると、参加していない人には伝わらない。場に閉じた決め方は、後から蒸し返される。
よくある誤解
集まって話し合えば何かが生まれるという期待が置かれやすい。だが場から出てくるものは、参加者が持ち込んだ材料の範囲を大きく超えない。手元に情報がない状態で長く議論しても、既に知っていることの並べ替えに終わる。事前に何を持ち寄るかの設計が、当日の進め方より結果を左右する。当日の進め方より、持ち寄る材料の設計のほうが結果を左右する。
参加した人の納得を、決まったことの正しさと取り違える例もある。その場にいた人の間では合意が生まれるが、いなかった人にとっては経緯の見えない結論になる。決めた内容そのものより、なぜそう決まったかを場の外へ運べる形にしておかないと、後から蒸し返される。決めた内容より、決まった経緯を外へ運べる形にしておく。
よくある質問
ワークショップは何人くらいが適切ですか?
全員が一度は発言できる規模に収めるのが目安になる。人数が増えるほど発言しない人が生まれ、その人たちは決まった内容への当事者意識も持ちにくい。大人数を集めたい場合は小さな組に分け、組ごとに結論を出してから全体で突き合わせる形にすると成立しやすい。
進行役は社外に頼むべきですか?
扱う議題によって変わる。社内の力関係が発言を左右しそうな場面では、外部の進行役のほうが率直な意見を引き出しやすい。一方で前提の共有が多く必要な議題では、事情を知る内部の人が進めたほうが速い。何が発言を妨げるかで選ぶと判断しやすい。議題ごとに使い分ける前提で考えると迷いが減る。
出てきた意見はすべて反映すべきですか?
すべてを反映すると、角の取れた結論になりやすい。集めた意見は判断の材料であって、決定そのものではない。参加者にもその位置づけを最初に伝えておくと、採用されなかった意見への不満は起きにくく、決める側も遠慮なく取捨できるようになる。材料と決定は分けて扱う。