— 01 —ニュースの概要
日経クロステックは「企業理念を建築空間に実装、インナーブランディング強化」と題した記事を掲載した。見出しが示すとおり、企業が掲げる理念をオフィスなどの建築空間の設計に反映させ、社員の内側からブランドを強めていこうとする取り組みを扱った内容だ。
建築を主に扱う媒体なので、記事は理念の浸透を空間づくりの側から捉えているようだ。見出しの「実装」という言葉からは、理念を壁に掲げるより一歩踏み込んで、空間の使われ方そのものに理念を反映させる取り組みとして紹介していることが読み取れる。
じつは、理念をいちばん正直に語っているのはオフィスの間取りだったりするんですよね。言葉では「対話」と言いつつ、個室ばかりの会社もあるので。
— 02 —理念の浸透は、言葉より先に環境で起きる
多くの会社で、理念は冊子や研修、朝礼の唱和で伝えられる。どれも大切だが、人の判断に効くのは、繰り返し身を置く環境のほうだったりする。会議室の配置が部署をまたぐ会話を生むのか、仕切るのか。顧客を迎える場所に何を置くのか。会社は言葉にしなくても、こうした決め方の一つひとつで何を大事にしているかを社員に伝えている。
このニュースから学べるのは、理念を空間に置くことが、判断基準を日常の中に埋め込む手段になるという点だ。経営が判断の一貫性を通路の幅や席の配置にまで広げられれば、社員は理念をいちいち思い出さなくても済む。毎日そこで働くうちに、判断の前提がそろっていく。建て替えや移転の予定がなくても、この考え方は使える。
— 03 —と、いうことで。
まず、自社の理念やバリューを一つ選び、それがオフィスのどこで体験できるかを書き出してほしい。受付、会議室、執務スペース、休憩所と場所ごとに見ていくと、理念を後押ししている場所と、知らず知らず逆の振る舞いを促している場所が見えてくる。全部を変える必要はない。逆に働いている場所を一つだけ選び、席の配置や使い方のルールを理念に合わせて変えてみる。それが空間で理念を伝える最初の一歩になる。
- 理念がオフィスのどこで体験できるかを場所ごとに棚卸しする
- 理念と逆の振る舞いを促す場所を一つ選んで変える
- オフィス設計を、総務ではなく経営の判断として扱う