— 01 —50周年の主役は、味の刷新ではなかった
亀田製菓の「ハッピーターン」が2026年に発売50周年を迎えた。MarkeZineは、この節目を単なる商品リニューアルではなく「コトブランド」への転換として報じている。記念ソングとCM、体験型のポップアップ、"聖地"と銘打った常設スポット、そして記念日「HAPPY TURN's Day」——複数の接点を同時に走らせ、「ハッピーがターンする」という体験そのものをブランドの中心に据え直す設計だ。
元記事は、これを「モノ(お菓子)を売る」発想から「コト(体験)を届ける」発想への移行として位置づけている。味の刷新も行われてはいるが、記事の主眼はそこにない。50年という時間をどう次につなぐか——その答えを、商品そのものではなくブランドの核の置き方に求めた事例として紹介している。
お菓子ひとつでここまで体験を設計しきるのか、と正直うなりました。うちのブランドも「何を売るか」の説明で止まっていないか、ちょっと胸に手を当てたくなりますね。
— 02 —「コト」への移行は、飽きられない工夫ではない
ここで起きているのは、飽き対策の話ではない。ブランドの核を「味・食感」という機能に置いたままだと、CMもコラボもポップアップも、それぞれが個別最適の寄せ集めになる。核を「顧客に何が起きるか」という一段上へ引き上げると、すべての接点が同じ問い——「これはハッピーがターンする体験になっているか」——で測れるようになる。
これは、判断基準としてのブランドの話だ。派手なキャンペーンの手前に、「うちのブランドの核は何か」という定義がある。核が機能で書かれている限り、施策は増えるほど散らばる。核を「顧客に起きる出来事」で書き直せて初めて、増えた接点が一つの意味に収束する。ロングセラーが向き合うべきは飽きではなく、核を機能に据え置いたまま接点だけ増やしていないか、という一点だ。
— 03 —と、いうことで。
この記事を読んだあなたが今日できるのは、自社のブランドの核を一文で書き出し、それが「モノの機能」で書かれているか「顧客に起きる出来事」で書かれているかを確かめることだ。「高品質な◯◯」「使いやすい◯◯」——もし機能で書かれていたら、それを「この商品を通じて顧客に何が起きるか」へ翻訳し直してみる。
翻訳できたその一文を、次に走らせる施策の合否判定に使う。新しいキャンペーンも、コラボも、記念日も、「これはその出来事を起こすか」で測る。核が定まっていれば、接点は増やすほど強くなる。まず一歩は、核の一文を機能から出来事へ書き換えること。派手な仕掛けの前に、そこから始めたい。
- 自社ブランドの核を一文で書き出し、機能語で書かれていないか点検する
- 核を「顧客に起きる出来事(コト)」の一文へ翻訳し直す
- その一文を、今後の施策すべての合否判定基準に使う