— 01 —ニュースの概要
広告のクリエイティブの質は、利益にどれだけ効くのか。Kantarが自社の広告効果データベース(25万本超)と、広告効果の研究機関WARCのROIデータを突き合わせ、450本の広告を分析した調査を公開している(著者はPolly Wyn Jones、2023年)。
中心的な発見は、クリエイティブとして優れ、かつ効果的な広告は、そうでない広告の4倍以上の利益を生むというものだ。さらに同社は、短期の売上指標よりも、長期のブランド価値への寄与のほうがマーケティングのROIと強く相関していた、という意外な結果も報告している。
「ブランドは大事、でも今期の数字が…」って、現場だと本当によく聞くんですよね。でもこの調査を読むと、その二つは足を引っ張り合うものじゃないんだ、と少し肩の力が抜ける気がします。
— 02 —余裕がないほど、クリエイティブの質が効く
この結果を、予算に余裕のある大企業の話だと読むと、いちばん大事な示唆を取りこぼす。むしろ逆で、余裕がない企業こそ、クリエイティブの質から降りてはいけない。理由はシンプルだ。使える予算が小さいほど、一回の広告のムダが致命傷になる。質の高いクリエイティブが同じ出稿費で4倍の利益を生むなら、それは資金力のない企業にとってこそ、限られた一発を最大化する数少ない手段になる。
よく「予算がないから、まずは数を打つ」「ブランドづくりは黒字になってから」と言われる。だが調査が示すのは、もっとも利益を生む広告が、短期の売上と長期のブランド構築を同時に満たしていたという事実だ。短期と長期は、どちらかを選ぶものではない。むしろ余裕がない企業ほど、その両方を一本の広告に載せて、一回あたりのリターンを引き上げる必要がある。
— 03 —と、いうことで。
この記事を読んだあなたが、まず今日できることは一つだ。次に出す広告や発信を「数」や「今週の反応」だけで判断するのをやめて、質の基準を一つ決めること。たとえば「毎回、同じ色・同じ言い回し・同じ人物を必ず入れる」と決めるだけでいい。派手さより一貫性が、限られた予算では効く。
そして、クリエイティブを好みで判断せず、出す前に一度たしかめる。この調査自体が、質は感覚でなくデータで磨けることの証拠だ。予算が小さいほど、この一手間が効いてくる。削るべきは質ではなく、質を測らないまま出す習慣のほうだ。
- 質の高いクリエイティブは同じ出稿費で4倍超の利益を生む。予算が小さいほど効く投資である
- 短期の売上と長期のブランド構築は二者択一でなく、一本の広告で両立させる
- 削るべきは質ではなく、質を測らないまま出す習慣のほうだ